Second pleasure(今一たびの楽しさ)

アタシ達が中心となったイベントから約1カ月…もうそんなに経つんだ…
 
あずき「ねえねえみんなっ」
「どうしたの?あずきチャン」
あずき「あのね、プリズムパークから手紙が来たんだー」
3月の最初の土曜日、ラジオ終わりに柚ちゃんも寮に来たんだ。
「どんな内容なの?」
あずき「あのね、また今度はプライベートで来園して欲しいってチケットも5人分一緒に入ってたよ」
穂乃香「また行きたいですね。少し遠いですが、向こうへ訪れる機会があればぜひ」
「あれ?ちょっとそのチケット……何枚か柄が違わないカナ?」
あずき「本当だっ……あーっ!」
「どうしたの?あずきちゃん」
あずき「これ2枚だけ有効期限が今月までだー」
「え、えーっ!?ほ、本当ナノ!?」
あずき「うん。だって3月31日までのスタンプがちゃんと押してあるし」
穂乃香「どうしましょうか……贈っていただいたものですしこちらから言うのも無粋ですよね…」
「でもどうしよっか。スケジュール的には今月は難しいよね」
「確かにラジオもあるし、四人ともどこかの週末は何か仕事入っちゃってるヨ」
穂乃香「そうなるとこの2枚はもったいないですね……」
あずき「……そうだっ、忍ちゃんどうかなっ?」
「え?アタシっ!?」
あずき「今週末自主レッスンだけだってさっき言ってたし、行ってきたらどうかなってっ」
「そうだネ!今週末フリーなのは忍チャンだけでしょ?」
「あれ?穂乃香ちゃんもアタシと一緒でフリーじゃなかったっけ?」
穂乃香「いえ、今週末はアズールの方でお仕事がありますから」
「そっか…それなら柚ちゃん達は?」
あずき「あずきはラジオの後にマジェスティとレッスンだよ」
「アタシはラジオ後にナターリアチャン達とお出かけするんだー」
「それだとやっぱりアタシだけか」
穂乃香「それにしても5枚ということは、プロデューサーの分も入っていますよね」
あずき「確かに4枚ならあずき達の分だけだけどそういうことだよね。プロデューサーは今週どうなんだろう?」
「予定は…共有スケジュールには特に無いみたいだネ」
「詳しくは電話とかしないと分からないけど…今大丈夫かな?」
穂乃香「まずは掛けてみましょう、忍ちゃん」
「それもそうだね、ちょっと失礼するね……」
アタシはプロデューサーに電話することにした。LONEとかでも良かったんだけど、直接聞いた方が良いかなって。
「……うん、それで今週って空いてるかな?……うん、じゃあ詳細は明日話すから。こんな時間に突然ゴメンね」
Pi♪
「ん?その口ぶりだと……オッケーだったのカナ?」
「金曜日までに他のお仕事が入らなければ大丈夫そうだって」
あずき「良かったね、忍ちゃん。プロデューサーとテーマパーク大作戦だっ」
穂乃香「楽しんできてくださいね、忍ちゃん」
「忍チャンお土産よろしくねー」
「も、もー……ま、行ってくるよ。たまにはこういう機会も……ね」
 
翌日、アタシは学校帰りに事務所に寄ることにした。
「なるほど、そういうことだったのか」
「うん。向こうの手違いだったのかな?」
「あれから向こうも盛況でてんてこ舞いって話だから、そうなったのも頷けるさ」
「アタシ達の成果だっていうのが今でも感慨深いな…」
「四人の力で再興のお手伝いできたことは俺も嬉しく感じてるよ」
「あずきちゃんの思い出の地が無くならなくて本当に良かったな」
「そうだな……。それでまあ何にせよ、せっかくの頂き物だもんな。ありがたく使わせてもらおうか」
「そうだね。それで当日はどうやって移動するの?」
「忍は金曜日って学校あるのか?」
「えっと……ちょっと待って、確かその日は合格発表だから行かなくていい日のはず」
「それなら……最後の送り届けが14時半だから、15時に寮に迎えに行くよ」
「ということは車で行って泊まり?」
「そういうことになるな。忍も1日楽しみたいだろ?」
「いいの?アタシだけのためにさ」
「え?今までの話は今度誕生日だからってことじゃないのか?」
「へ?……わ、忘れてた。今週じゃんか……だからみんなアタシを推してくれてたんだ……」
「もしかして無自覚で話してたのか」
「だってせっかくだから使わなきゃって想いが強かったから……あー、何だか恥ずかしいなあ」
「まあだから気にしないでいいよ。車とか泊まりとかさ、俺からのプレゼントだと思ってくれていいし」
「う、うん……ありがと、プロデューサー」
「詳細な予定とかは後でまとめてLONEか何かで送るよ」
「了解。楽しみにしてるね」
あー……何で自分の誕生日のこと忘れてたんだろう。思い出したらまた顔が紅くなってきちゃったかも……
 
プロデューサーも無事お仕事を済ませられたみたい。金曜日、アタシは寮の入り口でプロデューサーのことを待ってた。
「お待たせ、忍」
プロデューサーの普段使いの車が来た。プロデューサーもネクタイを外してジャケットだけでちょっといつもとは違う感じ。
「ううん…って言いたいけど、待ってなかったっていうのは嘘になっちゃうかな」
「そういうところが忍らしいな…って俺も人のこと言えたクチじゃないか」
「アハハ、そうだね…まだ予定の時間になってないもんね」
「お互いさまってところだな。じゃあ乗って」
「はーい」
ガチャッ バタンッ
アタシと荷物も載せて、車は一路首都高方面へ。二人っきりってちょっと緊張するね……
「一応向こうに到着は夜6時から7時くらいで予定してるから」
「意外と掛からないんだね」
「渋滞さえしなければそれくらいで着けるはずだ。だからもし寄ってほしいとか休憩したいとかあったら言って」
「うん……」
「……ん?どうしたんだ忍」
「二人っきりって思ったら急に緊張しちゃってさ……普段だったら穂乃香ちゃんとか柚ちゃんあずきちゃんもいるから」
「……俺も少しだけしてるよ。こんな素敵な女の子を載せてドライブなんて天にも昇る気持ちさ」
「プロデューサー……ありがと。お世辞でもそう言ってく……」
「お世辞なんかじゃないからな」
アタシの言葉を遮るようにプロデューサーは話してくれた。
「本当に忍は自分を引いて見過ぎなんだよ」
「えっ……」
「自身で思っている以上に忍は素敵な女性だよ。一人一人『素敵』の中身は違うんだから、素直に受け取ってほしいな」
「そっか……ゴメン……アタシ、自分の思ってた以上に思われてたんだ」
「自信が持てなくなったらいつでも頼ってくれて良いんだ」
「うん……安心した」
こんなことを話しているうちに下道から首都高、首都高から高速に入って……
「ゴメンな、ツインしか取れなくて」
着いたのはプリズムパークから少し離れた市街のホテル。行楽シーズン入りばなともあってかホテルも空きが少なかったんだって。
「こうなったのはしょうがないよ、時期が時期だし。プロデューサーも無理して別の所に泊まるとか言い出さないでね」
先に釘を指しといちゃった。だってこうでも言わないと、ネカフェに泊まるとか言い出しそうだったんだもん。
「う……分かった。着替えの時はなるべくそっち見ないようにするから」
「アタシもそうするよ。じゃあご飯食べに行こうよ」
プロデューサーにだったらちょっと恥ずかしいけど見られても……って思ったのはちょっとだけね。
「そうだな、美味しい物食べて明日に備えようか……」
翌日、お礼をした後は目一杯二人を楽しんじゃった!
デートっぽくてお互いにドキドキもしたけど撮り合った写真は少し顔が紅い笑顔がいっぱい。これはみんなには見せられないかもね……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
フリルドスクエアの53本目(51本目と日付は逆ですが52本目は10周年記念SS)。忍の誕生日SS2022です。
先月のデレマスのイベント明け最初なので忍を遊びに行かせました。話は道中までですが。
でもチャンスタイムを見る限りはキュート組の二人はPを独占したい感が特に強かったような気がしますね……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2022・03・09WED
飛神宮子
短編小説に戻る