柚 | 「ううっ…寒いねー…」 |
あずき | 「そうだね、柚ちゃん」 |
今日も事務所はアニバーサリーの真っ最中。 |
柚 | 「でもやっぱり今年は凄いね」 |
あずき | 「うん、だって10周年でしょっ」 |
柚 | 「10年かー、それならこれだけ盛大になるよねー」 |
そんな中柚達が向かっているのは… |
コンコン ガチャッ |
穂乃香 | 「柚ちゃんいらっしゃい、外は寒かったですか?」 |
柚 | 「寒かったヨー、今年は急に寒くなって来たからネー」 |
忍 | 「ま、柚ちゃんもあずきちゃんも座ってよ。今日はこの部屋自由にしていいってプロデューサーも言ってくれたしさ」 |
あずき | 「そうだねっ、プロデューサールームなんてこんな時くらいしか自由に使えないもんっ」 |
そう、彼女たちのプロデューサー用のプロデューサールームである。 |
忍 | 「さて、ここは…どうしようか」 |
穂乃香 | 「そうですね…あずきちゃんにお願いしましょうか」 |
あずき | 「え?あずきが何すればいいの?」 |
忍 | 「柚ちゃんの誕生日だし、乾杯の音頭はあずきちゃんがいいんじゃないかなって」 |
あずき | 「あ、そういうことねっ。うん、やるやる」 |
忍 | 「それじゃあお願いね」 |
あずき | 「では…グラスをお持ちくださいっ。こうして4人でずっと過ごせて、楽しいし嬉しいなって思うよ。そんなフリスクと今日誕生日の柚ちゃんにカンパイっ!」 |
柚・忍・穂 | 『カンパイっ!』 |
4人のグラスが高々と持ち上げられた。 |
忍 | 「このご時世だからグラスを当てられないからね」 |
柚 | 「でも何だか寂しいよネー、あの音で始まるって感じもするのに」 |
穂乃香 | 「そうですね、早く平穏な空間が戻ってくれば良いのですが」 |
あずき | 「まだこれは辛抱の時期だね。元に戻ったら盛大にやればいいんだからっ」 |
柚 | 「それにしても凄い豪華な食事ダネっ」 |
忍 | 「この時期ってさ、スーパーとかもクリスマスに向けて結構出してくるからさー」 |
穂乃香 | 「時期になる前の訓練の一環なんでしょうか」 |
柚 | 「そう思うよ。だってこんなポテトも普段は見ないモン」 |
忍 | 「それにしてもアニバーサリーの中で一日空けてもらえて良かったね」 |
柚 | 「未央チャンアタシ、翠サン、愛梨サンと、それぞれが指定したユニットの人だったカナ?誕生日は大切だからってネ」 |
あずき | 「そっかー、柚ちゃん信じてたよっ」 |
忍 | 「こうして一日ゆっくりさせてもらえて、柚ちゃんには感謝だよ」 |
柚 | 「ふふんっ、この時期が誕生日だった柚チャンを褒めたまえー」 |
穂乃香 | 「あ、あずきちゃん。そこ、袖汚れちゃいますよ」 |
あずき | 「あー、ここにあるの気付かなかったっ」 |
忍 | 「ちょっと部屋温かすぎたかな?チョコ少し溶けてきてたし」 |
柚 | 「ええっ!アタシのこと無視するノ!?」 |
忍 | 「まあでも助かってるところはあるんだよね。アニバ中だとお仕事の調整難しくなるし」 |
穂乃香 | 「特にラジオが重なると大変ですから」 |
あずき | 「あずき達は結構自由に行かせてもらえてる気がするね」 |
忍 | 「そういえば週末のラジオって柚ちゃん誕生日で良かったよね?」 |
穂乃香 | 「はい。クロストークもありますし、こっちでもお祝いしないと…」 |
柚 | 「あずきチャン、まさかサプライズとかは無いよね?」 |
あずき | 「今年は無いよっ。1時間まるまる柚ちゃんの誕生日記念になるだけだよ」 |
柚 | 「本当かなぁ…前にあったカラ、結構警戒しているんダヨ?」 |
あずき | 「大丈夫大丈夫っ、そんな古いネタは使わないもんねっ」 |
柚 | 「んー、あずきチャンがそこまで言うなら…」 |
穂乃香 | 「ところで柚ちゃん、そろそろケーキ食べますか?」 |
テーブルの真ん中には既にローソクが消されていたケーキが置いてあった。 |
柚 | 「食べる食べるー。これって穂乃香チャン達のお手製なのカナ?」 |
忍 | 「愛梨さんにスポンジだけ焼いてもらって、そこからはアタシ達のお手製だよ」 |
穂乃香 | 「他の物が既製品なので、これくらいは作らないとと思いまして」 |
柚 | 「ありがとー、じゃあ食べようっ!」 |
穂乃香 | 「それなら柚ちゃんはどこにしますか?」 |
柚 | 「この4色ってアタシ達の色ダヨネ?」 |
そのケーキは同心円状に四色が配されていた。 |
忍 | 「そうだよ。今から6等分にするから、まずは柚ちゃんが2つ選んで」 |
柚 | 「それなら…この辺とこの辺でっ」 |
穂乃香 | 「こことここですね………」 |
……… |
ケーキもプロデューサーの分を残して食べ終わって… |
忍 | 「それじゃあそろそろ、プレゼントあげようか」 |
あずき | 「そうだねっ」 |
柚 | 「おお、期待していないわけはないっ。みんなのプレゼントならどんな物でも嬉しいよー」 |
忍 | 「まずはアタシからかな。アタシからはこれだよ」 |
忍は柚に紙袋を渡した。 |
柚 | 「これ今開けても大丈夫カナ?」 |
忍 | 「大丈夫だよ」 |
柚 | 「これは………このお店ってことはバスボム?」 |
忍 | 「うん。シトラス系の薫りのバスボムなら柚ちゃんっぽいかなってね」 |
柚 | 「そっかー、こういうの使ったこと無かったカモ。ありがと、忍チャン」 |
忍 | 「ほら、寮だとこういうの入れられないからさ。自宅通いの特権じゃないかな」 |
穂乃香 | 「そうですね。入浴剤とかを戴いても家でないと使うのもままなりませんし」 |
あずき | 「くるみちゃんとかくらいまで多く貰えば別だけとねっ」 |
柚 | 「今晩…いや、明晩から使ってみよっかな」 |
忍 | 「え?明晩?」 |
柚 | 「だってさすがに今日はあずきちゃんとこに泊まるモンっ。ちゃんと着替えも持ってきたし」 |
忍 | 「きっとそうだと思ってたけどね」 |
穂乃香 | 「それでは次は私からで良いですか?あずきちゃん」 |
あずき | 「うん。あずきは最後の方が良いし」 |
穂乃香 | 「それでは私からはこちらです」 |
柚 | 「んん?触り心地が柔らかいぞ…」 |
穂乃香も柚に紙袋を渡した。 |
柚 | 「これも開けちゃっていいカナ?」 |
穂乃香 | 「はい、どうぞ開けてしまってください」 |
柚 | 「これは…もしかしなくても手編み?」 |
穂乃香 | 「はい。もう寒くなってきましたから一気に編んでしまいました」 |
柚 | 「相変わらず凄い腕だねー、穂乃香ちゃん」 |
忍 | 「しかも編み目もしっかりしてるし…」 |
柚 | 「ニットの帽子にマフラーって大変だったよネ?」 |
穂乃香 | 「慣れてしまえばそれほどでもないですよ」 |
柚 | 「これ明日学校に付けて行こっかなー」 |
あずき | 「良いと思うよっ。暖かそうで羨ましいなー」 |
穂乃香 | 「また皆さんにも編みますよ」 |
柚 | 「わーい。それじゃああずきからはこれっ」 |
あずきも柚に紙袋を渡した。 |
柚 | 「あずきチャン、この袋はアタシも見覚えがあるんだけどナー」 |
あずき | 「え?え?あずきは何のことか知らないなー」 |
柚 | 「先週ここに一緒に行ったー!」 |
あずき | 「だって、あずきが一番プレゼントしたいの、ここのだったんだもんっ」 |
柚 | 「でもこれはここじゃとてもじゃないけど開けられないヨ…」 |
あずき | 「そ、そうだねっ…忍ちゃん達に知られる前に…」 |
忍 | 「いや、それアタシ達もこの夏に別のモールのだけど行ったから知ってるし」 |
穂乃香 | 「しかも来週のお二人の予定は聞いてますが…」 |
忍 | 「でも細かいことは詮索しないでいいかな、穂乃香ちゃん」 |
穂乃香 | 「そうですね。お二人の時間を邪魔する気は無いですよ」 |
忍 | 「というかアタシ達その日はお仕事だもん。行ってらっしゃい」 |
柚 | 「これってもしかして、この前見てたお揃いのヤツ?」 |
あずき | 「そうだよっ。それを着て柚ちゃんと楽しみたいなって思ったから…‥」 |
柚 | 「…うん、来週たっぷり遊ぼうねっ…‥」 |
忍 | 「……穂乃香ちゃん、アタシ達は片付け始めようか」 |
穂乃香 | 「そうですね、柚ちゃんはあずきちゃんに任せましょうか…」 |
翌週の日曜日、某屋内温水プールにお揃いの水着を着たアイドル二人の姿があったらしい… |