The Power of Ties(絆のチカラ)

「柚と」
あずき「あずきの」
『フリルドクロッシング!!』
♪〜
あずき「11時〜!今週もフリクロスタートだよっ」
「この番組はフリルドスクエアの埼玉出身喜多見柚と…」
あずき「長野出身桃井あずきが、北関東と信越のアイドル情報や私たちフリスクのこととかを」
「埼玉の××からラジオ局6局をネットして、ゆるくお喋りする番組だよ」
あずき「…と言いたいところなんだけれど、今週からしばらく特別放送になるよっ。ではどうぞっ」
「しばらくの間おじゃまするね、フリルドスクエアの工藤忍と…」
穂乃香「向こうでお送りできないのは少し残念ですが今は仕方ありませんね、綾瀬穂乃香です」
「できるならなるべくこっちでやって欲しいって、事務所から言われちゃったからしょうがないけどね」
「ということで、穂乃香チャンと忍チャンも今日からしばらくここから放送となるよっ」
あずき「ウィルスの影響で、お仕事はできる限り近場でって言われたんだよねっ」
穂乃香「はい。新幹線の移動ももしものことがありますし、移動先で何かあったら事務所での対応も難しくなりますから」
「そういうことで突然の放送で驚いた方もいるかもしれないけど、そういうことなので東北6県の方々もこんにちはー」
穂乃香「あらためましてこんにちは、しばらくは北関東と信越の6局に東北6局を加えた12局ネットでお送りします」
「そんなわけで今月いっぱいはこの体制になると思うケド、番組名どうしよっか?」
あずき「そうだねっ、じゃあそれも募集しようよ。来週から3週の番組名決定大作戦っ!」
「アタシ達だけでそういうの決めちゃってもいいのかなあ?」
穂乃香「どうでしょうか…あ、スタッフの方が○を出しているので良いみたいです」
「よーし、じゃあ今日のテーマは4つっ!まず1つ目は予定していた『卒業』についてだゾっ」
穂乃香「2つ目はこうして急に休みになってしまった小中高生の皆さん、今の気持ちとか言いたいなってことをフリーでお送りください」
「3つ目は来週からの番組名について、これはエンディングで発表した方がいいんだよね、たぶん」
あずき「4つ目は…本当はフリネットでやる予定だったんだよね?忍ちゃん」
「え?それアタシ聞いてないけど」
あずき「ということでっ!明後日だけど忍ちゃんの誕生日記念のメッセージを送ってねっ」
「えー!い、いいの?そんなただでさえ窮屈になっちゃうのに」
「いいのっ、だってこうして集まったならお祝いしてあげたいモン」
穂乃香「ふふっ、良かったですね忍ちゃん」
「うん…ありがと、柚ちゃん、あずきちゃん、穂乃香ちゃん」
あずき「どういたしましてっ。メールは〜〜〜、FAXの方は埼玉048の〜〜〜まで、お便りたくさん待ってるよー」
「ツイッ●ーのハッシュタグは#〜〜〜〜、呟いた内容も読むかもしれないからネ」
穂乃香「ではそろそろオープニングナンバーをいきましょうか」
「そうだね。じゃあ今日のオープニングナンバーは………」
………
『柚と!』 『あずきの!』 『フリルドクロッシング!!』
あずき「エンディングーっ!」
「今日は忍チャン誕生日スペシャルだったねー」
「でも良かったのかなー、急にこういうこと決まったのにさー」
あずき「いいのっ、あずき達が良いと思ったんだからね柚ちゃん」
「そういうことっ」
穂乃香「今日はありがとうございました。これを含めた今月いっぱいの四回は東北の皆さんにもこちらからの放送となる予定です」
「できる限り早く戻りたいとは思うけど、こればかりはどうしようもないからね」
あずき「というわけで、今月限定になるか分からないけど特別な番組名も決まったよっ」
「結構最後まで迷ったけど、これでいいんじゃないカナって」
穂乃香「それでは発表は忍ちゃんにお願いしましょう」
「アタシでいいの?」
あずき「いいよっ。これもせっかくだもんっ」
「じゃあ発表するね、特別な番組名は…『フリルドエーティーシー』だよ」
穂乃香「これはどういう意味なのかは…ちょっと秘密にしておきますね」
あずき「でもあずきはいい意味だと思うよっ」
「そうだよネ、薄々感づいているリスナーはいると思うけどそこはお口にチャックだよ」
穂乃香「そういうわけでハッシュタグが来週から3週間は#Frilled_atcに替わります。両番組のタグでも構いませんがこちらもお使いください」
「それで来週だけど、来週はリスナーウィークだったよね」
あずき「そうだねっ。来週はまた誰かからプレゼントを貰ってこようよっ」
「うん。あ、来週のコーナーは『忍コレクション』と『シャトル・ハート』だぞー」
あずき「『救いの女神A』は来週はやらないから気を付けてねっ」
穂乃香「それでまだ時間は…大丈夫ですね。ではもう一通お便りを…ファックスで頂きました、フリネームはありませんね」
あずき「この番組にしては珍しいねっ」
穂乃香「ただ文面からして青森の方のようですよ。では…『フリルドスクエアの皆さんこんにちは』」
三人『こんにちはー』
穂乃香「『そして誕生日おめでとう、忍ちゃん』」
「誰かは分からないけれどもありがとね」
穂乃香「『今は急な春休みに入ってしまったようで色々大変かもしれないけれど、そっちで元気に仕事をしている姿を見せてくれればいいわ』」
「えっ…」
穂乃香「『こっちはこっちで心配しなくとも大丈夫だから、春休み中にこの状況が落ち着いたならその頃にでも一度は顔を見せにいらっしゃい』」
「お母さん…」
穂乃香「『穂乃香ちゃん、柚ちゃん、あずきちゃん、娘のことをよろしくお願いしますね 母より』だそうです」
「………」
「途中の文面から何となく想像できてたけどネ」
あずき「フリネームが無いのもそういうことだったんだねっ」
穂乃香「昨日の夜にプロデューサーから預かってきました。秘密裏にしてくれと言われまして」
「んっ…ずるいよこんなの…」
「忍チャン、大丈夫?喋れそう?」
「ん…ちょっとだけ時間くれる…?」
あずき「いいけどもうさすがに時間がないかな」
「よし、じゃあ3人でエンディングしちゃおう」
………
その後、寮へと戻った四人…
「穂乃香ちゃんったら、黙ってるなんてズルいよ」
穂乃香「すみません。秘密裏に話が進んでいたものですから」
あずき「ねえ穂乃香ちゃん、それもう一回見して」
穂乃香「はい、どうぞ」
あずき「あれ?よく見るとこれってファックスだけど線入ってるね」
「もしかしてこれって本当はお手紙だったのカナ?」
穂乃香「そうみたいです。仙台の局に昨日届いた物だったみたいで、番組のディレクターからプロデューサーの方に送られたそうです」
「じゃあ原本は今は仙台?」
穂乃香「いえ、封書だと早くても今日の昼にしか届かないそうなので今日か明日にはプロデューサーの方に届くそうです」
「そっか…うん。あれ?でもじゃああの口ぶりからして柚ちゃんもあずきちゃんも知らなかったんだよね?」
あずき「最後に一枚どうしても読みたいのがあるから時間が欲しいって、穂乃香ちゃんにお願いされただけだよっ」
「アタシも穂乃香チャンからそんなこと言われてたー」
穂乃香「忍ちゃんにはどうしても秘密でしたから、今回は本当にゴメンなさい」
「終わったことだし、もういいんだけどね」
「それでだけど、9日はみんな大丈夫なの?」
あずき「みーんな休み…だよね?」
穂乃香「学校も休校ですし…」
「結構イベントとかもキャンセルになったりしてるから…大丈夫だね」
「どこで集まろっかー、カラオケとかは今はダメって言われちゃってるしさー………」
この四人で居られることの幸せ、忍はそれを感じていた…
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あとがき
飛神宮子です。
フリルドスクエアの48本目。忍の誕生日SS2020です。
話としては一昨日のお話。さすがに番組のためだけに新幹線移動とかも何かあったらと思いますし…
こういう時こそ仲間の力や現代技術の力で何とかするのが一番でしょう。
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2020・03・09MON
飛神宮子
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