A Meltingly Kiss...(蕩けるような口付けを…)

「んっ!んむっ…!」
あずきチャンの唇は………
 
ある土曜日のこと…
「おっ菓子ー、おっ菓子ーっ」
あずき「今日は何かな?柚ちゃん」
ラジオの生放送前、二人は控室へとやってきた。
「今日は…チョコレートだっ!」
あずき「えーっと、でもこれ見たことないなー」
「期間限定って書いてあるネ、柚子味かー」
あずき「食べようよ柚ちゃん」
「美味しく食べてね、あずきチャン」
あずき「柚ちゃんじゃないでしょー、もーっ」
「エヘヘ、そうだけどネ」
あずき「でもでも、いただきまーす」
「あーむっ…ん?…おおー」
あずき「チョコの中から柚子の味が出てくるねー」
「そだね、これは美味しいっ」
あずき「この時期になるとイチゴのお菓子が多く出てくるけど、柚子も結構あるよね」
「去年もこの時期に柚子のチョコがあったなー。別の商品だけどねっ」
あずき「だけどこれ何個でもいけちゃうヤツだっ」
「食べ過ぎはダメだけど、手が伸びちゃうねー」
あずき「そろそろお終いにしないと、もうすぐ最後の打ち合わせだしっ」
「そだね、無くなるわけじゃないし」
あずき「これってお持ち帰りできるかな?」
「どうだろ?後でスタッフサンに聞いてみよっ」
………
「柚と」
あずき「あずきの」
二人『フリルドクロッシング!!』
♪〜
あずき「11時〜!今週もフリクロスタートだよっ」
「この番組はフリルドスクエアの埼玉出身喜多見柚と…」
あずき「長野出身桃井あずきが、北関東と信越のアイドル情報や私たちフリスクのこととかを」
「埼玉の××からラジオ局6局をネットして、ゆるくお喋りする番組だよ」
あずき「今日は寒いねっ」
「昨日から何だか急に寒くなってきたねー」
あずき「ちょっと雪っぽいのも降ってきてたし、ラジオ局に来るのも辛かったよー」
「あずきチャンと一緒に来たけど、家出る時から本当に寒かったー」
あずき「そういえば駅には学生さんがいっぱいだったね」
「うん。今日って確かセンター試験だっけ」
あずき「そうそう。もう時間的には始まってるかなー」
「たぶんもうやってる頃じゃないかな、ということで今日のお手紙のテーマは『テストとか試験』っ」
あずき「メールは〜〜〜、FAXの方は埼玉048の〜〜〜まで待ってるよー」
「ツイッ●ーのハッシュタグは#〜〜〜〜で、呟いた内容も読むかもしれないからネ」
あずき「今日はいつも通り、シャトルハートと救いの女神Aをやるよっ」
「そして今日はクロストークは無いからふつおたもたっぷり紹介するよ」
あずき「あ、そうだ。こんなテーマだし、あずき達に試験とかテストで応援してほしいことがあったら送ってほしいなっ」
「それいいねっ。せっかくだし応援してあげよっ」
あずき「ところで柚ちゃんは試験って言ったら何かある?」
「んー、でもアタシ達の場合はオーディションとかも試験って言えばそうじゃないカナ?」
あずき「確かにそうかもっ。面接と実技だから筆記が無いだけで試験と一緒かー」
「そのオーディションのためにするレッスンも勉強って思うとそうだなーって」
あずき「あー。そういえばアレって次のレッスンまでに仕上げないとって宿題じゃなかったっけ?」
「そーだったー!あずきチャンは…今はどんなカンジ?」
あずき「一応大丈夫…かなー?柚ちゃんは?」
「アタシもちょっと合わせてみて確認すればカナー」
あずき「レッスン明日だから、今日確認しよっ」
「うんっ。じゃあここでメールだよ。長野県のフリネーム諏訪っ子さん」
あずき「ありがとっ」
「『柚さんあずきさんこんにちは。私はまさに今頃センター試験を受けていると思います』」
あずき「…ってことはこのメールは試験の前に出してくれたのかな?」
「日付は…うん、一昨日の深夜みたいだっ。『もうすぐだと思うと不安が大きいですが、自分を信じて乗り切りたいなと思います』だって」
あずき「おおー、頑張って欲しいねっ」
「諏訪っ子さん、がんばー」
あずき「よーし、今日は全国の受験する人に頑張って欲しいって気持ちを込めて最初の一曲はこれっ」
「ポジティブパッションで…」
二人『情熱ファンファンファーレっ!』
………
番組を終えて寮のあずきの部屋へとやってきた二人…
あずき「うん、大丈夫そうだねっ」
「トレーナーサンには怒られたりしないで済む…カナ」
二人は音楽に乗せてダンスの振りの確認をしていた。
あずき「じゃあお風呂入ったらゆっくり休もっか」
「うんっ。もらってきたお菓子も食べちゃおっ」
 
お風呂から上がって、部屋のこたつへと入った二人
あずき「あらためて食べてもやっぱりこれ美味しいねー」
「チョコレートだから加減しないとだけどネ」
あずき「顔にニキビとかもNGだから、ここは我慢も大切大作戦っ」
「あと1個だけ…ってこれで最後だった」
あずき「えーっ!」
「また買って来ようよ。穂乃香チャン達の分も一緒にね」
あずき「見たことないから心配だけど売ってればいいね」
「うん。明日レッスン終わりはどう?」
あずき「いいよっ、どこ行こっか」
「これ売ってそうなスーパーと、あとデパートとか洋菓子のお店に行きたいナ」
あずき「あー、うん」
「今年も楽しみにしててね、あずきチャン」
あずき「あずきのも楽しみにしててっ、柚ちゃん」
「うんっ。じゃあ最後の1個いただきまーす…はむっ」
あずき「ああ、いいなーっ…よーしっ」
ガバッ
あずきは柚へと圧し掛かり、そのまま…
「あずきちゃ…んんっ!?…んむぅっ…ちゅうっ…」
あずき「んちゅ…ぷちゅっ…ちゅぷっ…」
あずきは柚へと深い蕩けるような口付けを見舞った。
あずき「…はあっ柚ちゃん、柚ちゃん味のチョコ、ごちそうさまっ」
「もー、いきなりするなんてビックリしたー」
あずき「だってぇ…あずきも食べたかったんだもん」
「こうなったら…って思ったけどいいや。明日もレッスンあるし、今日はもう歯磨きしておやすみしよっ」
あずき「柚ちゃん、もう一回っもう一回だけっ!」
「えー…まあいっか。アタシもあずきチャン味の唇、食べるからねっ」
その口付けは雪のように溶けるでも瑞々しい、幸せな二人だけの味だった…
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あとがき
飛神宮子です。新年一本目なので、明けましておめでとうございます。
フリルドスクエアの47本目。
話としては昨日のお話。某チョコ菓子の柚子味を食べて美味しかったのでつい…。
しかし今年は暖冬で思った以上に雪が降りませんね…本当に似合わない天候が続いていて心配です…はい。
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2020・01・19SUN
飛神宮子
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