For "once again"(「もう一度」のために)

「あずきちゃ…んむっ!」
隣にいた愛しの子に声を掛けようとした瞬間、その唇は動かせなくなったよ…
 
時は11月の最終日…
「それにしてもアニバーサリー、今年も盛り上がってきてるよねー」
あずき「うん、今年は特に一番星が輝いてる未央ちゃんだもんねっ」
穂乃香「事務所総出の周年記念祭ですから、このラジオが終わったら私たちも会場に大急ぎで戻るんです」
今日はフリルドスクエアの四人でレギュラーのラジオを放送してたんだ
「そうだネー、特に明日はその未央チャンの誕生日でもあるし」
「愛梨さんとかかな子さんとか、結構寮でも忙しそうにしてたなー」
「と・こ・ろ・で、その近くの誕生日の子、もう一人いなかったカナー?」
あずき「え?ちひろさんは「子」って歳じゃないんじゃない?柚ちゃん」
穂乃香「そうですね…ちひろさんも2日前が誕生日でした。ちょうど周年記念イベントの始まりの日なんですよ」
「そうそう、毎年この日から事務所の一年がスタートするって感じだよね」
「新年とか新年度以外だとここが始まりって感じするもんネ…って違うーっ!」
みんな分かってボケて…あれ?穂乃香チャンだけは違いそうだけど…
「もーみんな、分かって言ってたよネー?」
あずき「それはね。今日は何てったってそれのスペシャルも兼ねてるんだしっ」
「アタシ達もこっちでやることになった理由でもあるし」
穂乃香「そうですね。リスナーさん、今日のテーマはその『柚ちゃん誕生日スペシャル』です」
「メールは〜〜〜、FAXの方は埼玉048の〜〜〜まで、今日はいっぱい待ってるよ」
あずき「ツイッ●ーのハッシュタグは#〜〜〜〜、呟いた内容も読めたら読むよっ」
穂乃香「ではあらためて、少し早いですけど柚ちゃん…」
三人『お誕生日おめでとう(ございます)』
「ありがとー!みんなっ」
穂乃香「未央さんの次の日、2日が柚ちゃんの誕生日ですね」
「そういえば去年はこうして一緒に祝えなかったっけ」
あずき「去年はこの時期にライブだったよねっ」
「そうだったよん、あれももう1年前かー」
穂乃香「去年も一緒に集まって放送でしたから、あの時のあずきちゃん本当に寂しそうでした」
あずき「うぅ…だってぇ…」
「それは仕方ないんじゃないかな、よりにもよって祝いたい人がいないんしさ」
「前日はリハって、それはどうしても変えられないって言われたんだもん」
あずき「それは分かってたけど、いざその状況になるとやっぱり寂しかったなー」
穂乃香「今年はゆっくりみんなで祝えそうですね」
「そだね、今日は2日前だけど会場から帰ったらお祝いなんだー」
「それじゃあそろそろ曲に行こうか」
あずき「そうだねっ。それじゃあ聞いてね。ラジオでは初解禁だよっ」
三人『夢をのぞいたら』
………
今日のアニバーサリーイベントも終わってここは…
あずき「柚ちゃん、ちょっと早いけど…」
三人『誕生日おめでとー!』
「ありがとう、あずきチャン、穂乃香チャン、忍チャン…」
今日泊まる予定にしてた寮のあずきちゃんの部屋。
あずき「柚ちゃんの誕生日迎えると12月になったなって感じするよねっ」
「それは分かるなー」
穂乃香「12月って色々イベントもありますから、こういう区切りがあると始まるって感じが強いのかもしれないですね」
「クリスマスとか年末に向けてみんな忙しくなってくるもんネ」
あずき「だから今だけはのんびりと柚ちゃんの誕生日を祝う大作戦っ」
「そだね、それじゃあケーキも切ろうか」
穂乃香「今切りますね、柚ちゃんはどの辺を食べたいですか?」
「え?んーと、このプレートの辺りにしよっかな」
穂乃香「それならそこを切るのを避けて…四等分にっと、はい柚ちゃん」
「ありがとー穂乃香チャン」
穂乃香「残りは順番に配りますね」
「穂乃香ちゃん、はいお皿」
穂乃香「ありがとうございます、では忍ちゃん」
「ありがとう」
穂乃香「はいどうぞ、あずきちゃんも」
あずき「わーい、ありがとっ」
穂乃香「それでは残ったこちらを私がもらいまして…」
「じゃあ、いただきまーす」
三人『いただきまーすっ』
………
「楽しかったなー」
あずき「楽しかったねー」
穂乃香ちゃんや忍ちゃんにも色々と貰って、二人が部屋へと帰っちゃったあずきちゃんの部屋で…
「一緒って温かいね…って思ったよ」
あずき「柚ちゃんだけは通いだもんね」
「アタシもこうやって過ごしてたら、何か変わったカナー?」
あずき「どうかなー、柚ちゃんは柚ちゃんだと思うけど」
「やっぱりそっか、そうだよねー」
あずき「うんっ…」
「ねえ、あずきチャン」
あずき「どうしたの?柚ちゃん」
「あずきチャンのプレゼントって、アレで全部?」
あずき「えっ…?」
「なーんかまだあるような気がしてー」
あずき「あるって言えばあるんだけどー」
「やっぱりねー、ほらほらー隠し事はダメだぞー」
あずき「出してもいいけど、びっくりしないでね」
「え?」
あずき「あずきがプレゼントに用意した一番の心を籠めたのだからっ」
「それってどういう…あずきちゃ…んむっ!」
次の瞬間、その唇は動かせなくなったよ…
あずき「ちゅ…んちゅ…はあ…はあ…」
「はあ…あずきちゃん…」
あずき「どうだった?あずきの情熱的なプレゼントっ」
「もう、心の準備ができてなかったからびっくりしたよー」
あずき「そこまで言われたら、もう我慢できなかったんだもん」
「何だかむしろ貰われたって感じがするよ」
あずき「それなら今日は好きなだけあずきのこと貰って…」
「えっ…いいの?」
あずき「今日はお泊りの許可はもらってるし、こんな日なんだからっ」
「それならまず…」
あずき「まず?」
「もう一度、今度はちゃんとあずきチャンを貰いたいなー」
あずき「いいよっ、今日はいくらでも貰ってねっ」
アタシの唇、今日は休まることがないかも…ねっ
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あとがき
飛神宮子です。
フリルドスクエアの46本目、柚の誕生日SSです。
話としては11月30日のお話。今年も残すところ1か月、アニバーサリーが来ると年末が来た感じがしますね。
HAPPY BIRTHDAY Yuzu Kitami!!
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2019・12・02MON
飛神宮子
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