柚 | 「今年もかあ…」 |
あずき | 「そうだね…」 |
ここはあずきの部屋。ラジオ終わりに柚ちゃんに来てもらっちゃった。 |
柚 | 「去年もあずきチャンの誕生日前日は雨だったし」 |
あずき | 「七夕と言っても梅雨だもん、そんな年もあるからっ」 |
柚 | 「確かにね。あー、空が恨めしいなー」 |
あずき | 「こればかりは仕方ないよっ、今日はゆっくりしてって」 |
柚 | 「うん。忍チャンたちはまだ収録中カナ?」 |
あずき | 「いつも通りならね。五時くらいには戻ってくるよ」 |
柚 | 「じゃあそれまでは…」 |
ぎゅっ |
床に寄り添ってたところで抱き寄せてくる柚ちゃん。 |
柚 | 「二人っきりだね、あずきチャン」 |
あずき | 「そ、そうだけどー…昼間っからは恥ずかしいなー」 |
柚 | 「そんなこと言っても今日はもう予定無いし」 |
あずき | 「レッスンも四人じゃないとだから明日だもん」 |
柚 | 「それなら………………どうかな?」 |
あずき | 「あ、いいかもっ。今年も送られてきたからね」 |
柚 | 「今日の夜は着て楽しめそうな天気じゃなさそうだし、明日も曇りで雨降るかもってやってたからさー」 |
あずき | 「でもそれならその前にお風呂も入らないとだね」 |
柚 | 「うん。お風呂ってもう開いてるんだっけ?」 |
あずき | 「お昼からもう開いてるよ」 |
柚 | 「じゃあ行こうよ。先に着て穂乃香チャン達を驚かせちゃおう」 |
あずき | 「そだねっ」 |
そんなこんなであずきと柚ちゃんは先にお風呂に行くことにしたよ。 |
柚 | 「あずきちゃん、アタシのはー?」 |
あずき | 「こっちにあるよ。…でもこの柚ちゃんのお風呂セット、すっかりこの部屋の一員になっちゃってるね」 |
柚 | 「よく来るもんねー」 |
あずき | 「泊まり込みレッスンとかもあるしっ」 |
柚 | 「よし、着替えも持ったし行こうよ」 |
あずき | 「うんっ」 |
……… |
柚 | 「ねえねえあずきちゃん」 |
あずき | 「どうしたの?」 |
柚 | 「この笹ってどこから持ってきたのカナ?」 |
あずき | 「うーん、知らないなー。何日か前に学校から帰ってきたらもう飾ってあったし」 |
柚 | 「そっかー」 |
あずきと柚ちゃんは大浴場入口近くにある玄関ホールにあった笹を見上げてたんだ。 |
柚 | 「飾りつけも凄いね」 |
あずき | 「この前の休みの時に、小学生の子とかクラリスさんとか…あと亜里沙先生とかが飾り付けてたんだ」 |
柚 | 「短冊もいっぱいだー」 |
あずき | 「短冊は大人の人とかも結構付けてたね。ほらそこは清良さんだし、あっちは早苗さんだし」 |
柚 | 「本当だ。ねえ、あずきチャンのは?」 |
あずき | 「あずきのは…内緒っ」 |
柚 | 「あ、ズルーい」 |
あずき | 「内緒っていうか、まだ書いてもないもん」 |
柚 | 「本当?」 |
あずき | 「うん。なかなかいいお願いが思いつかなくて」 |
柚 | 「そっかー」 |
あずき | 「せっかくだから今日穂乃香ちゃんと忍ちゃんと一緒に飾ろうかなって話になってたんだ」 |
柚 | 「そうなの?」 |
あずき | 「うん」 |
柚 | 「ねえねえ、アタシはダメかな?」 |
あずき | 「大丈夫だよ。寮じゃない人のも結構あるし。ほらそこに短冊が置いてあるでしょ」 |
柚 | 「なるほど…よく見たら美羽チャンとか卯月チャンか結構あったね」 |
あずき | 「それじゃあお風呂上がったら一緒に書こうっ」 |
柚 | 「そうしよっ」 |
ガチャっ バタンッ |
柚 | 「土曜日だからってこの時間はそうでもないんだネ」 |
あずき | 「んー、でも今日はこれからだよ」 |
柚 | 「これから?」 |
あずき | 「今日は雨だから降られてくる人とか結構いるんだよっ」 |
柚 | 「そっかー。今日は七夕イベントの人も多そうだし、夏だからって屋外イベントとかも多そうだよねー」 |
あずき | 「ラジオがあって良かったのかもね」 |
柚 | 「明日は晴れてくれればいいんだけど、無理カナ?」 |
あずき | 「天気予報だといいところ曇りだって話だし…」 |
ガラガラガラ |
柚 | 「籠の数で分かってたけど、ガラガラだねー」 |
亜季 | 「その声は柚殿でありますか?」 |
柚 | 「その声は亜季サン?」 |
亜季 | 「そうであります。寮のお風呂で会うとは珍しいですな」 |
柚 | 「今日はあずきチャンの所に泊まりだからネー」 |
亜季 | 「それはそれは」 |
清良 | 「あら、あずきちゃん?」 |
あずき | 「清良さんこんにちは。清良さんもお風呂早いんですね」 |
清良 | 「こんにちは。ええ、ちょっと亜季さんとトレーニングをね」 |
亜季 | 「はい。トレーニングで汗を流していたでありますよ」 |
柚 | 「そっかー。亜季サンのトレーニングキツそうだなー」 |
亜季 | 「柚殿、あずき殿も体験されますか?」 |
あずき | 「い、いやー、あずき達は遠慮しとこうかなー…」 |
柚 | 「う、うん…」 |
清良 | 「あら残念ね…」 |
柚 | 「ほ、ほらあずきチャン、身体流してお風呂入ろう」 |
あずき | 「そうだね、柚ちゃん」 |
……… |
お風呂を上がって一息ついて…あずき達はさっきの笹の所へと戻ったよ。 |
あずき | 「さて、願い事を書いちゃおっか」 |
柚 | 「あれ?あずきチャンは忍チャン達とじゃなくていいの?」 |
あずき | 「別に良いかなって。柚ちゃんと書きたい気分だもん」 |
柚 | 「…ありがと…」 |
あずき | 「さーて、何にしようかなぁ…」 |
柚 | 「よし、アタシはもう決めたっ」 |
あずき | 「え?どんなの?」 |
柚 | 「それはね………」 |
……… |
忍 | 「なるほどねー。アタシ達が帰ってくるより先に書いてたって言ってたけど」 |
穂乃香 | 「こう言ったら変かもしれないですけど微笑ましいですね」 |
忍 | 「ところで穂乃香ちゃんは何て書いたの?」 |
穂乃香 | 「何でしたっけ…確か………」 |
翌朝、忍ちゃんと穂乃香ちゃんが見つけたあずき達の短冊には大きさが違う文字でこう書いてたんだ。 |
柚 | 大【みんなとこれからも仲良く過ごせますように】小【あずきチャンともっと親密にっ】 |
あずき | 大【ずっと仲良くみんなとアイドル活動大作戦っ】小【柚ちゃんといつまでも一緒に…】 |