冬、秋、夏、そして… |
五月も後半に入った頃、私の銀のぴにゃこら太集めも佳境でした。 |
17日にようやく4つ目、ここまで1つ目からもう約1年です。 |
5つ目が集まる時…何かが起こるそんな気がしました… |
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話はちょうど1週間前… |
穂乃香 | 「話とは何でしょうか…」 |
担当プロデューサーにプロデューサールームに来るように言われた穂乃香は、学校が終わったその足で向かっていた。 |
穂乃香 | 「特に今日はレッスン等も入れていないですし…まずは行ってみましょうか」 |
コンコン |
P | 「はい」 |
穂乃香 | 「プロデューサー、綾瀬です」 |
P | 「鍵は開いてるからどうぞ入って」 |
ガチャっ |
穂乃香 | 「失礼します」 |
バタンッ |
P | 「おつかれさま穂乃香、制服に鞄ということは学校からそのままか?」 |
穂乃香 | 「はい。直接でないと遅くなるかと思いましたから」 |
P | 「だったら迎えに行っても良かったなあ…」 |
穂乃香 | 「いえプロデューサーにそんな手数をお掛けするわけには」 |
P | 「もう来ちゃったしその話はいいか。話は座ってからにしよう」 |
穂乃香 | 「分かりました。では失礼します」 |
P | 「今そっちに資料持っていくよ」 |
応接用のソファに向かい合わせで腰かけたプロデューサーと穂乃香。 |
P | 「さてと、やっとこれで揃うことになったな」 |
穂乃香 | 「…はい?」 |
P | 「あ、そうだった。まだ資料を見せてなかったな。はい穂乃香」 |
穂乃香 | 「ありがとうございます…えっ…」 |
そんな穂乃香の瞳に映ったのは… |
P | 「ようやく納得のいく物が形になったよ」 |
穂乃香 | 「これって…本当なんですか」 |
P | 「ああ、上の方の了承も頂いた。最初の柚からもう2年以上経っちゃったな」 |
穂乃香 | 「んっ…嬉しいです…」 |
P | 「待たせちゃってゴメンな。でも最高の物が作れたと思う」 |
穂乃香 | 「はい…あの、これってもう…」 |
P | 「もうロッカールームに届いているよ」 |
穂乃香 | 「はいっ!行ってきてもいいですよね」 |
P | 「ああ。行ってらっしゃい」 |
穂乃香は急いでロッカールームへと向かった。 |
……… |
ガチャっ パチっ |
電気を点けたロッカールームの中には一台のマネキン。そこには… |
穂乃香 | 「これが…私の…」 |
バイオレットを中心とした衣装が着させられていた。 |
穂乃香 | 「着てみても…いいんですよね」 |
カチャッ |
穂乃香が着替えのために自分のロッカーを開けると… |
穂乃香 | 「あれ?これは…何でしょうか」 |
よく見覚えがある物がそこにあった。 |
穂乃香 | 「どうしてこんな所に…でも誰が…」 |
5つ目が集まった日、それは穂乃香にとって一生忘れられない日になった… |
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時は戻って… |
忍 | 「そっか、ちょうど一週間前だっけ」 |
ここは誕生日会をやっていた寮の穂乃香の部屋。 |
穂乃香 | 「はい。どちらもとても嬉しくて…忍ちゃん達も本当にありがとうございます」 |
あずき | 「あれは柚ちゃんのカンが冴えてたねっ」 |
柚 | 「一発でまさか出るとは思わなかったなー」 |
穂乃香 | 「そういえば忍ちゃん達はあの衣装を先に見たんですか?」 |
忍 | 「ううん、ちょうど入れ違いだったみたい。そうだよねあずきちゃん、柚ちゃん」 |
柚 | 「そうだねー。アイドルルームに居た時に何か音がしてたからその時なのカナ」 |
あずき | 「でもこれでみんなで踊れるねっ」 |
忍 | 「うん。フリスクのライブっていつになるっけ?」 |
穂乃香 | 「次は確かミニライブですけど7月の連休にありませんでしたっけ」 |
柚 | 「あー、川崎だっけっ」 |
あずき | 「そっか、じゃあファンの皆の前で披露大作戦はその時だねっ」 |
穂乃香 | 「その前にまた動きの確認が必要ですよ。今回正式な衣装になりますし」 |
忍 | 「そうだね。もうすぐ夏だしそれまでに身体整えないとなー」 |
あずき | 「うへぇ…大変な時期だよねっ」 |
柚 | 「露出が多くなるからネー」 |
穂乃香 | 「今年こそ…うん」 |
忍 | 「どうしたの?穂乃香ちゃん」 |
穂乃香 | 「いえ、何でもないです忍ちゃん。それより柚ちゃん時間は大丈夫ですか?」 |
柚 | 「ああっ!もうこんな時間かー。そろそろ帰らないとだ」 |
あずき | 「それならあずきが駅まで送っていくよ。二人はゆっくりしてて」 |
柚 | 「あずきちゃんありがとー。じゃあまたね穂乃香ちゃん、忍ちゃん」 |
忍 | 「またねー柚ちゃん」 |
穂乃香 | 「今日はありがとうございました、柚ちゃん」 |
ガチャっ バタンッ |
あずきと柚が帰って二人きりになった穂乃香の部屋。 |
忍 | 「…あらためてになっちゃうけど、おめでと穂乃香ちゃん」 |
穂乃香 | 「…ありがとうございます、忍ちゃん」 |
忍 | 「あのさ…実は穂乃香ちゃんの個人衣装、そろそろって予感はしてたんだ」 |
穂乃香 | 「えっ、どうして…」 |
忍 | 「最初の柚ちゃんの時覚えてる?」 |
穂乃香 | 「2年前の冬でしたよね。確か冬でプロデューサーが2年経ったって言ってましたから」 |
忍 | 「それならアタシのは?」 |
穂乃香 | 「同じ年の秋でしたっけ。確か…あ、周年祭が近い頃でしたね」 |
忍 | 「それであずきちゃんが次の年の夏だったから、きっとそうだなって思ってさ」 |
穂乃香 | 「だから私は残った春の…」 |
忍 | 「それでちゃんと数えてみたら柚ちゃんとアタシ、アタシとあずきちゃんが大体9カ月くらいずつ開いてたんだよね」 |
穂乃香 | 「それなら私が5月になったのは誕生日だからとかじゃなくて」 |
忍 | 「うん、偶然で必然だったんじゃないかな。こればかりは本当の所は分からないけどね」 |
穂乃香 | 「ずっと来なくて、忘れられているのかって思ってました…」 |
忍 | 「そんなこと無かったと思うよ。プロデューサーだってみんなの衣装を必死で考えてたし。でもさ…」 |
ぎゅうっ |
忍は穂乃香を抱き寄せた。 |
忍 | 「どんな衣装でも…穂乃香は素敵だよ」 |
穂乃香 | 「忍さん…」 |
二人の間にだけ流れる時間、それは点呼の時間まで続くのだった… |