3月の第2土曜日のこと… |
穂乃香 | 「穂乃香と」 |
忍 | 「忍の」 |
穂乃香・忍 | 『フリルドネットワーク!!』 |
♪〜 |
音楽とともにパーソナリティの穂乃香と忍が喋り始めた。 |
穂乃香 | 「時刻は11時になりました。皆さんこんにちは、フリスクの綾瀬穂乃香です」 |
忍 | 「こんにちは、工藤忍だよ」 |
穂乃香 | 「この番組は仙台の○○をキーステーションに東北のXXX系列全6局をネットしてお送りします」 |
忍 | 「先週は生放送だったけど今週も生放送だからね」 |
穂乃香 | 「それというのも…」 |
忍 | 「まずはゲスト呼ぼっか、穂乃香ちゃん」 |
穂乃香 | 「それもそうですね。ではゲストのお二方どうぞ」 |
あずき | 「フリネットのリスナーのみんな、そしてフリクロのリスナーもこんにちはっ、桃井あずきだよ。そして…」 |
柚 | 「ラジオを聞いてるみんな、こんにちはー。喜多見柚だぞー」 |
穂乃香 | 「はい、今日はゲストにフリクロ側のお二人もお呼びして計12局ネットでお送りします」 |
あずき | 「というわけでっ」 |
三人 | 『忍ちゃん、お誕生日おめでとう(ございます)っ!』 |
忍 | 「ありがとうみんな。向こうの番組は毎週生放送だからさ、こっちで祝ってもらえるなんてねー」 |
柚 | 「アタシの時もライブで居ないのに来てもらったんだもん。今日はそのお返しだよ」 |
あずき | 「忍ちゃんの誕生日お祝い大作戦だねっ」 |
穂乃香 | 「今日の番組は通常コーナーはお休みで一時間フリートークとなります」 |
忍 | 「生放送だからFAXやメールも受け付けるよ」 |
柚 | 「テーマは、忍チャンについてなら何でもOKだぞー」 |
あずき | 「FAXは仙台022〜〜〜〜、メールは〜〜〜〜〜〜〜で待ってるよっ」 |
柚 | 「フリクロの方のみんなもジャンジャン送って忍チャンを困らせてねー」 |
忍 | 「むー…それは…まあいいけどね」 |
穂乃香 | 「それで今日お送りするステッカーには、いつもの私と忍ちゃんに加えて柚ちゃんとあずきちゃんのサインも入ります」 |
忍 | 「ステッカー希望の人は、住所と本名も忘れないでね」 |
穂乃香 | 「さて今日は番組開始前から実はかなり頂いています」 |
柚 | 「誕生日当日だもんねー。じゃあアタシから一通読んでもいいカナ?」 |
穂乃香 | 「お願いします、柚ちゃん」 |
柚 | 「じゃあ読むねー。郡山市のフリネームみはるさん」 |
あずき | 「ありがとっ」 |
柚 | 「『忍さん、穂乃香さんこんにちは』」 |
三人 | 『こんにちはー』 |
柚 | 「『まずは忍さん誕生日おめでとうございます』」 |
忍 | 「ありがとうございます、みはるさん」 |
柚 | 「『忍さんの芯のある頑張る姿にいつも元気をもらっています。これからも応援します』だって」 |
忍 | 「そう見てもらえてるなら嬉しいなあ、ありがとね」 |
穂乃香 | 「ファンレターとかでこういう話をもらえると励みになりますよね」 |
柚 | 「分かるー。自分のことって良いトコも悪いトコも意外と見えないからさー」 |
あずき | 「友達とか仲間の意見って参考になるよねっ」 |
忍 | 「おっと、そろそろ一旦CMだって。じゃあ今日の一曲は…来てるから柚ちゃん紹介お願いね」 |
柚 | 「うん。いくぞー。アタシ喜多見柚と村上巴ちゃんで、『Lunatic Show 〜For SS3A rearrange Mix〜』をどうぞっ」 |
……… |
帰りの新幹線… |
あずき | 「こうして四人で帰るのも新鮮だねっ」 |
穂乃香 | 「上手く並びの席が取れて良かったです」 |
忍 | 「今日は本当にみんなありがとう」 |
柚 | 「こんな機会滅多にないモン。アタシ達親友なんだから気にしなくてもいいんだよ」 |
忍 | 「う、うん…でも今日は楽しかったなー」 |
穂乃香 | 「……忍ちゃん?」 |
忍 | 「え?ど、どうしたの穂乃香ちゃん」 |
穂乃香 | 「あの…もしかして無理しちゃってませんか?」 |
忍 | 「そんなこと…」 |
ぎゅっ |
忍 | 「やっぱり穂乃香には隠せないよ…んっ…」 |
忍は穂乃香の胸へと顔を埋めた。 |
柚・あずき | 『忍ちゃんっ!?』 |
穂乃香 | 「泣きたい時は無理せずに泣いたっていいんです。忍さんは我慢しちゃうところがありますから」 |
忍 | 「だって…その言葉が嬉しくって…もう持たなかったよ…」 |
柚 | 「そうだったんだ…アタシ達分からなかったけど、穂乃香チャンよく分かったねー」 |
あずき | 「あずきも気付かなかったなー。やっぱり穂乃香ちゃんが一番傍にいるからね」 |
穂乃香 | 「何となくですけど、番組中から気配は感じてました」 |
ぽんぽん |
穂乃香は忍の背中をそっと叩いてあげた。 |
忍 | 「番組中は平静を装っていたんだけど…メッセージを読まれる度に感謝の感動っていうのかな…ぐすっ…してたんだ」 |
あずき | 「そっか。穂乃香ちゃんはしばらくそうしてあげててっ」 |
穂乃香 | 「わかりました、あずきちゃん」 |
柚 | 「何だか二人を見てると妬けちゃうねー、あずきチャン」 |
穂乃香 | 「もう、柚ちゃんっ…」 |
あずき | 「あずき達はこっちで静かにしてよ。見守り大作戦っ」 |
忍 | 「そうされると…それはそれで恥ずかしいんだけど」 |
穂乃香 | 「そういえば今日は柚ちゃんも寮ですよね」 |
柚 | 「誕生日もあるけど、明日は日曜日でレッスンもあるからねー」 |
あずき | 「帰ったらあずきの部屋で準備するから待っててね」 |
穂乃香 | 「分かりました、忍ちゃんは大丈夫ですか?」 |
忍 | 「うん…ああ、温かいな穂乃香ちゃん…」 |
穂乃香 | 「もう…いつまでもこうしてちゃダメですからね忍ちゃん」 |
忍 | 「分かってるけど…もう少しだけこうさせて…」 |
……… |
ここは寮の忍の部屋の… |
忍 | 「穂乃香ちゃん」 |
穂乃香 | 「どうしたんですか?忍ちゃん」 |
忍 | 「今日はありがと」 |
穂乃香 | 「え?」 |
忍 | 「無理にアタシの部屋に泊めさせちゃることにしちゃってさ」 |
二人の姿は既にベッドの上である。 |
穂乃香 | 「これくらいでお礼はいいですよ」 |
忍 | 「近くにいるはずなのに、一人になるのが急に怖くなっちゃったんだ」 |
穂乃香 | 「…忍ちゃん」 |
忍 | 「うん…」 |
穂乃香 | 「私もですけど忍ちゃんは…他の人に甘えるのが上手じゃないですよね」 |
忍 | 「そう言われると…だって、そういうのって迷惑じゃないの?」 |
穂乃香 | 「度が過ぎているのは別ですけど、柚ちゃんもあずきちゃんも私も、迷惑だなんて思ったりしませんから」 |
忍 | 「それなら今日は」 |
ぎゅうっ |
忍 | 「穂乃香に甘えさせてもらって…いいんだよね?」 |
穂乃香 | 「…はい。忍さんが好きなように…どうぞ…」 |
一つの布団の中、二つの吐息も二つの鼓動も徐々にシンクロしていく… |