For Attractive Techniques(魅せの技のために)

「さーて、楽しみだねぇ…ねぇ、あずきチャンや」
あずき「そうだねぇ、柚ちゃん」
「…二人ともそんな期待されても今年水着になるかはプロデューサーより上の人が決めることでさ」
穂乃香「そうですね。少し悔しい気もしてはいますが」
とある休日、四人はアイドルルームにいた。
「悔しいってどういうこと?穂乃香チャン」
穂乃香「自分の身体に魅力が無いって言われている気がしてるんです」
あずき「そんなことは無いと思うんだけどねっ、忍ちゃんもそう思うでしょ」
「アタシはまだ温泉レポートで晒してるからまだいいけど、穂乃香ちゃんに関しては本当に妙だよね」
穂乃香「プロデューサーは私のことをそういうのに推薦してくれていない気すらもう…」
あずき「穂乃香ちゃんって脚線美凄いんだけどねっ」
「うーん…こればかりは聞いてみないとってところだけどねー」
「そういえばあっちも今年も結局誰もやらなかったネ」
「こっちもこっちで変な話だなあ。もう四人に一人は越えたって聞いたけど」
穂乃香「もしかしてプロデューサーは私達のそういう姿を見たくないとか…でしょうか」
あずき「あずき達ってそんな溺愛されてたのかなっ」
「そう考えると嬉しいような恥ずかしいようなだね」
「そういえば今日って何のために集まったんだっけ?」
穂乃香「今日は来月のライブの打ち合わせって言いました…よね?柚ちゃん」
「えっ、アタシは集まるとだけしか聞いてないんだケド」
穂乃香「LI〇Eでたぶん流しているはずですが…」
「アタシは見てたけど、あの時は物凄いスタンプの応酬だったね…」
あずき「あっ、もしかして既読にしてなかったかもっ」
穂乃香「既読が1件しかないのが何だかおかしいとは思いました…」
「あずきチャンもアタシも既読どころか未読のままスルーしてたんだ」
「これからは気を付けなよ」
あずき・柚『はーい』
あずき「それで打ち合わせって何をするのっ?」
穂乃香「今日のところは希望の衣装と曲をある程度決めるとのことだそうです」
「本格的な夏の時期だから、秋冬曲は厳しいよね」
あずき「春曲も難しいかなっ、でもあずき達だけだと夏曲のストックが多くないし…」
「そこは何曲か借りるしかないんじゃないカナ」
穂乃香「そうですね、その辺はある程度までなら許容するとは言ってましたから」
………
あずき「あ、時間どうしよう」
「どうしたの?あずきちゃん」
「元々今日これから出かける予定だったんだー」
あずき「うんっ。あずきと柚ちゃんで前々から行くって決めてたしっ」
「でもプロデューサー来てないけど…どうしよっか穂乃香ちゃん」
穂乃香「どうしましょうか…」
「プロデューサーに伝えるだけなら柚ちゃん達はいなくても大丈夫かもだけど」
「そうダヨ、アタシ達先に帰っちゃってもいいカナ?」
穂乃香「プロデューサーからも連絡来ませんし…」
あずき「誰か連絡取ってみるっ?」
穂乃香「それなら私が…プロデューサーの電話帳は…」
「あ、二人ともどこ行くつもりだったの?」
あずき「美容院予約してたんだよっ。彩華さんに髪のことを相談してみたら、良い店知ってるって言われてっ」
「なかなか予約取れなくて、アタシ達二人分取れたのが今日の15時からでねー」
「そんな人気店なんだ、アタシも二人の髪見て良かったら紹介してもらおうかな」
穂乃香「電話、出ませんね…忙しいのでしょうか」
「穂乃香ちゃん、移動中かもよ」
穂乃香「確かにそうかもしれないですね」
「それならどうする?あずきちゃん達時間はどう?」
「ここからだと40分くらいかな、一度見たことがあるから場所は知ってるケド」
あずき「柚ちゃん知ってるの?」
「彩華さんとは同じ埼玉だモン。見たこと自体はあったんだー」
「それならもう出ないとじゃない?ここはアタシ達に任せて行っていいよ」
穂乃香「後は私たちに任せてください」
「それならお言葉に甘えさせてもらおうか、あずきチャン」
あずき「そだねっ、柚ちゃん」
「じゃあ先に帰らせてもらうねー。またね忍チャン、穂乃香チャン」
あずき「また寮でねー、穂乃香ちゃん、忍ちゃん」
ガチャっ バタンッ
柚とあずきはその場から去って行った。
「それにしてもどうしたんだろうねプロデューサー」
穂乃香「忍ちゃんは何か聞いていません?」
「アタシは何にも聞いてないよ。穂乃香ちゃんも?」
穂乃香「はい。来た時にはもうプロデューサーは居ませんでしたし…」
「午前中は営業って言ってたけどね」
穂乃香「それが長引いているとかでしょうか」
「それしか無さそうだね…それなら先に連絡してくれればいいのになあ」
穂乃香「今は帰ってくるのを待ちましょう。幸いまだ時間はありますので」
「そだね」
………
その後…
ガチャっ
「はー、ゴメンなフリスクのみんな」
どうやらプロデューサーが帰ってきたようだ
「あ、プロデューサー帰ってきた。おかえり、プロデューサー」
穂乃香「おかえりなさい、プロデューサー」
「ただいま…って二人だけ?」
穂乃香・忍「はい」 「うん」
「柚とあずきは?」
「今日はどうしても外せない用事で先に帰ったよ」
「あー、悪いことしたな。営業が長引いちゃってな」
穂乃香「それは仕方ないですから」
「連絡することがあればアタシ達から伝えておくよ」
「助かる、ありがとな。それでどんな感じになったんだ?」
穂乃香「私たちの中ではこのように考えていますがどうでしょう」
「なるほど…そうきたか」
「プロデューサー、衣装ってどんなのが用意できそう?」
「いつもの五種が基本的に大丈夫だし、忍と柚は専用衣装も大丈夫だ」
穂乃香「でも今回黒は少し重たいですかね」
「それはあるかもしれないな。夏だし黄色・青・赤くらいの方がいいか」
「穂乃香ちゃんとあずきちゃんにも早く専用衣装が来て欲しいなー」
「鋭意製作中なんだが、こればかりは順番に事務所から発表する決まりでな」
「穂乃香ちゃんだとどんな衣装になるんだろうね」
穂乃香「そうですね、期待してますプロデューサー」
「まだちょっと先になるかもだけど、努力するよ」
書類を持ったプロデューサーの顔は少し疲労交じりの精悍なものになっていった…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの38本目、そろそろ夏ですからね。
穂乃香と忍は今年まで水着は未着用のアイドルの一人。もう着ていない方が少ないくらいですからね。
梅雨来たりなば夏遠からじ、今年の夏も(水着的な意味でも)楽しみですね。
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2018・06・28THU
飛神宮子
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