An Important and Valuable day(何気ない大切な一日)

「あずきちゃん、柚ちゃんは来れそうだって?」
あずき「さっき電話で1時間くらいなら何とか顔出せそうって来たよっ」
穂乃香「今年は私の誕生日だけが週の真ん中で、何だか悪いです」
「穂乃香ちゃんが気にすることないよ。産まれる日なんてこっちが決められるわけじゃないんだしさ」
あずき「そうだよっ…あ、駅着いたって。あと10分もすれば来るよ」
ここは寮の穂乃香の部屋。
「穂乃香ちゃんの部屋だって言ってある?」
あずき「うんっ」
穂乃香「こうなると週末でも良かったかもしれないですね」
あずき「穂乃香ちゃんの誕生日の週末って6月じゃんっ、それはダメだよね忍ちゃん」
「さすがに月をまたぐのはね。ラジオは誕生日回だけどさ」
あずき「2日のラジオ、楽しみだなー。そういえば誕生日が月の終わりの方って穂乃香ちゃんだけだよねっ」
穂乃香「そうですね。忍ちゃんもあずきちゃんも柚ちゃんも前半ですし」
「そういやそうだった。アタシもギリで一桁だからね」
穂乃香「一桁の方、結構多いですよね」
あずき「月の前半で誕生日お祝い多いもんねっ」
穂乃香「でも意外と29日とか30日の月の終わりの方も多いって聞きました。年の一番最後なんかも洋子さん達の12月29日ですし」
「そういうの考えるのも面白いもんだね…あ、あずきちゃんケーキは?」
あずき「もう冷蔵庫に入れさせてもらったよ。今日は既製品だけどっ」
穂乃香「お祝いしてもらえるだけでも嬉しいんですから」
あずき「でもあずきの学校の友達のおススメの店だよ」
「そうなんだ、楽しみだなぁ」
………
三人『おめでとーっ!』
フーーーー
穂乃香「ありがとうございます」
「それじゃあ切り分けるね。穂乃香ちゃんはどこがいい?」
穂乃香「そのぴにゃのマジパンをいただけるならどこでもいいですよ」
「了解。それじゃあ…こう切ろうかな」
穂乃香「あずきちゃん、これってどこのお店なんですか?」
あずき「これ?えっとね…○○駅の……ってとこ。詳しいことは後で教えるよ」
穂乃香「ありがとうございます。このマジパンが気になってしまって」
あずき「これね、5月いっぱいなんだって」
穂乃香「ええ…そうなんですか」
「それってもしかして穂乃香チャンの誕生日に合わせたのカナ」
穂乃香「えっ…」
「あれだけ好きだって公言してるモン。プロデューサーサンから何か話とか無かったの?」
穂乃香「いえ、特には…。ただあと二日しかないとなるとさすがに難しいですね」
「へえ、穂乃香ちゃんでも知らない話ってあるんだ。はい、穂乃香ちゃん」
穂乃香「ありがとうございます。ではいただきますね」
あずき「それじゃああずきがここねっ」
「アタシはこっちにする」
「それなら残ったこっちがアタシか」
穂乃香「んっ…甘いですけど重たくなくて…これは美味です」
あずき「一番美味しいのまでちゃんと聞いてきたからね。本当だ…軽いわけじゃないけどスッと溶けていく感じがするっ」
「おおっ、これは甘さと酸味が調和してていいネ。でもこちらお高いんでしょう?」
あずき「それが何と、今ならこのロウソクとマジパンが付いて2780円っ」
「安〜い!」
「はいはい、コントはその辺にして。けど中のフルーツも味がしっかりしていて、負けてないね」
穂乃香「ふう…美味しかったです。皆さんありがとうございます」
「誕生日くらい奮発しないとネ」
「あ、柚ちゃん時間大丈夫?」
「まだ大丈夫だよ。家には一応遅くなるとは言ってあるし」
「よし、じゃあ今プレゼント渡しもやっちゃおうか」
あずき「そうだねっ」
「それなら誰からにする?」
「アタシは誰からでもいいよ」
あずき「それならあずきから行こうかな。プレゼント大作戦っ、はい穂乃香ちゃん」
穂乃香「ありがとうございます」
あずき「中身はねー…んー、やっぱり開けてみてっ」
穂乃香「はい、これは…これはっ、あの限定のパジャマですか?」
あずき「うん。この前CMのお仕事をした会社がそこで、穂乃香ちゃんにってもらったんだっ」
穂乃香「ありがとうございます、これSNSで見た時に凄く欲しかったんですがしばらく忙しくて…時間が出来て行った時にはもう売り切れてて…」
「このパジャマの一個一個顔が違ってる…細かいなあ」
「穂乃香チャンならもう持ってそうだって思ってたのにナー」
穂乃香「これは大切に着させてもらいますね」
あずき「喜んでもらえて嬉しいな」
「じゃあ次はアタシでいいかな?忍チャン」
「いいよ、アタシはもしだったら後でもいいからさ」
「そうだよネー、さすがは穂乃香チャンの相方サン」
穂乃香「そんな…それはそうですが…」
「そこは話の流れからして少し否定してもいいんだけど、穂乃香ちゃん」
あずき「まあまあ、それで柚ちゃんは何かなっ?」
「アタシからは…はい、コレっ」
穂乃香「これはちょっと重たい箱ですね…あれ?柚ちゃんってこの前のお仕事は…」
「もしかしてバレちゃったカナ?」
穂乃香「中身は…これ、やっぱり非売品のですねっ!」
「アタシも貰い物になっちゃったんだ。穂乃香チャンのぴにゃ好きは業界内で有名すぎるってあらためて知らされたよ」
穂乃香「この掛け時計、昔の物でもう手に入らないって思ってました」
「会社の倉庫から色々出てきたのに入ってたんだって言ってたなー」
穂乃香「こんな貴重品頂いて良かったんですか?」
「好きな人に貰われた方がいいかなって言ってたからってね」
穂乃香「嬉しい…寝室の時計は今日からこれにします」
「穂乃香ちゃんの寝室のって…緑色のだっけ。もしその時計に変えて使わないなら欲しいなあ」
穂乃香「まだ使って1年くらいですから、いいですよ忍ちゃん」
「え、いいの?それなら貰っちゃおうかな。ダイニングの方がどうも最近調子がおかしくてさ」
あずき「あー、いいなっ」
「こういうのは早い者勝ちだよ。それじゃあ最後はアタシだね…ってみんな貰い物だったんだ」
「あれ?もしかして忍チャンも…?」
「さっき柚ちゃんが言ってたけど、ぴにゃ好きは有名すぎるよねえ…」
穂乃香「忍ちゃんの最近のお仕事は…あっ…」
「穂乃香ちゃん、じゃあこれの中身も分かってるよね」
穂乃香「少なくとも服飾関係なのは分かりますが…」
あずき「忍ちゃんのこの前のお仕事って…なんだっけ柚ちゃん」
「アタシは知らないナー」
「知らないの当たり前だよ。そんなにメジャーな会社じゃないからさ、展示会のコンパニオンみたいな感じの仕事でさ」
穂乃香「縫製技術が素晴らしくて肌触りが凄く良いって話をお仕事の後に聞いていたんです」
「それでさ、つい最近なんだけどアタシ宛で送られて来たんだ」
あずき・柚『………』
あずきと柚はその中身を見て絶句した。
「これってこれしか作られていないから世界で一点物の上下セットだよ」
「ぴにゃのこと好きじゃないと…着けられないネ」
あずき「うん…でも穂乃香ちゃんなら着けられると思うよっ…」
穂乃香「い、今すぐにでも着替えてもいいでしょうか」
「穂乃香ちゃん嬉しいのは分かるけど落ち着いてって!」
穂乃香が服を脱ごうとするのを必死で止めることになってしまった三人なのであった…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの37本目、穂乃香の誕生日SSです。
誕生日プレゼントはぴにゃの応酬。きっと最後の下着セットの時にはもう「ぴにゃに包まれたい」の想いが出たのでしょう。
Happy Birthday Honoka AYASE!!!
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2018・05・29TUE
飛神宮子
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