We want to Spend four people on a Precious day(大切な日だから四人で…)

「柚ちゃんまだかなー」
穂乃香「着陸はしたようですからそろそろですよ」
あずき「プロデューサーさん、昨日電話した時無事発ったって言ってたからねっ」
忍、穂乃香、あずきが待っているのは羽田空港の国際線到着ロビー。
「あ、あの集団かな?ほら、あれフレデリカさんだし」
穂乃香「本当ですね、みんな意外と変装軽いんですね」
あずき「じゃあ…あ、いたっ!柚ちゃーんっ!プロデューサーさーんっ!」
ブンブンブンブンブン
あずきが手を大きく振り始めたところ、他の2人も釣られて小さく振り始めた。
「あっ、あずきチャーン!みんなー!」
それに気が付いたのか柚は駆け寄ってきた。
「ただいまーっ!」
ぎゅうっ
柚の身体はそのままあずきの腕の中へと飛び込んでいった。
「こら、荷物置いていくな柚!こっちは他の荷物もあるってのによ…」
三人『おかえり(なさい)、柚ちゃん』
「ただいま、こっちって今は何時?」
穂乃香「今は9日の16時半くらいですよ」
「いやー大変だったよー。行くのだけで半日掛かるんだモン」
「後からの合流にしてもらったけどさー、行く時までドタバタだったもんねー」
「すみません、ありがとうございましたー。ほら柚、荷物はこれで全部だな?」
「あ、ありがとープロデューサーサン」
「まったく…それにしてもフリスクはみんなして来てたのか」
「それはそうだよ。昨日電話したのはあずきちゃんだったけどさ、他の人も仲間来てるでしょ」
「そういやそうだな」
「だいたいアタシの誕生日近いっていうのに、柚ちゃん連れてっちゃうってどうなの?」
あずき「あずき、ラジオも大変だったんだよっ」
「ああ、それについてはスマナカッタ…それで今日ってまだ8日じゃないの?」
あずき「プロデューサーさん、今日は9日だよっ」
穂乃香「飛行機が半日で、時差が+8時間ですからね」
「…時差逆に計算してた…げ、スマン。俺の分のプレゼントまた後にしてくれ」
「えっ…」
「荷物の奥の方に入れちゃってすぐに取り出せないんだ。今日の夜整理して明日にしようって算段でな」
「う、うん…しょうがないな」
「それでこれからみんなでマイクロバスだって聞いたけど…」
穂乃香「はい、駐車場にいますよ。ここに来ている人はみんなそれに乗ってきましたから」
「よし、じゃあ柚の荷物手分けして手伝ってもらえるか?重たそうにしてたからさ」
三人『はーい』
………
ここは寮の忍の階の雑談スペース…
穂乃香「綺麗な景色…これがセーヌ川ですか」
「そだよー。夜景凄い良かったよー」
あずき「柚ちゃんでも絵になるねっ」
「アタシでもとは何だー、あずきチャンーっ」
グリグリグリグリ
あずき「わー、いたいいたいいたいっ!ギブギブっ!」
「それでどうだったの?ファッションショーの方はさ」
「それの写真はその前のね…」
スッスッスッスッ
「こっからだよっ」
「柚ちゃん、ボーイッシュなの似合うねー」
あずき「柚樹くんってとこかなっ」
穂乃香「ちょっと昔の映画に出てくる少年って感じですね」
「そうそう。レトロちっくなのもテーマにしてたからねっ」
「いいなあ、アタシも柚ちゃんみたいに外国で仕事したかったー。体型も似てるのになー」
あずき「何で忍ちゃんを連れて行かなかったのかなっ?せっかく誕生日も近かったのにっ」
「その答えはアタシちゃんと知ってるよー」
穂乃香「そうなんですか?柚ちゃん」
「アタシが一番パスポートを取りやすかったからっ。このメンバーで唯一の実家だモンっ」
「あー、そういうこと。プロデューサーさんの担当アイドルって基本は寮生だもんね」
「手続き大変だったんだぞー」
あずき「おつかれさまっ。ファッションショーって日本でも放送されるんだっけ?」
穂乃香「確かBSですけど放送されるみたいですよ。さっきプロデューサーからメール来ましたから」
「そうだって言ってたねー。日本のカメラもあったあった…ってこれが理由で集まったんじゃなかったヨっ」
穂乃香「そうですよ。ちょっと遅くなりましたが、忍ちゃんの誕生日パーティ始めましょう」
あずき「ケーキも用意したからね、誕生日大作戦の始まりだよっ」
「それなら一緒に消そうよ、柚ちゃん」
「え?アタシも?」
「柚ちゃんのおつかれさまも兼ねてさ。こういう機会だし、一人でも二人でも一緒だと思う」
「…ありがとっ、忍チャン」
穂乃香「それじゃあ点けますね」
ケーキの上のローソクへと火を点けていく穂乃香。
「いくよ、せーのっ」
フーーーーーー フーーーーーー
穂乃香・あずき『おめでとうアンドおつかれさまー』
「ありがとう、それから柚ちゃんおつかれさま」
「ありがとー、あと忍チャンおめでとー」
穂乃香「それじゃあ切りましょうか。4分割しますね…」
………
ここは忍の部屋の寝室…
穂乃香「今日は誕生日なのに一日おつかれさまでした、忍ちゃん」
「穂乃香ちゃんこそおつかれさま。出迎え楽しかったね」
二人は一緒のベッドに身を委ねていた。
穂乃香「はい。欲を言えば今度は出迎えられる側になってみたいです」
「それはアタシも。柚ちゃんの充実したあの顔を見せられるとね」
その柚はあずきの部屋に行ってしまった。
「負けてられないね、アタシ達もさ」
穂乃香「少しずつ助走つけて、最高のジャンプ魅せましょう」
「うん…その時は友達じゃなくて一人のライバルだよ、穂乃香」
穂乃香「もちろんです…受けて立ってみせます、忍さん」
「ありがと、穂乃香ならそう言ってくれるって思ってた」
穂乃香「こちらこそ、私はいつでも忍さんの一番の相手になっていたいですから」
「穂乃香…」
チュッ
「アタシのこと一番分かってくれる。そんな穂乃香が、アタシは大好きだよ」
穂乃香「忍さん…」
チュッ
穂乃香「私も…大好き…」
「やっぱズルいなあ…可愛すぎるよその穂乃香の仕草さあ…」
穂乃香「これは忍さんにしか見せない穂乃香ですから…」
「ああもうっ!そんなにアタシを喜ばせてどうするの穂乃香…」
ぎゅうっ
気恥ずかしさからか穂乃香の身体を抑え込むしかなかった忍なのであった…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの35本目。忍の誕生日SS…だけのはずだったのですがねえ…。
でも実際今日帰ってくるなら3人は絶対に出迎えに行ってると思います。
Happy Birthday Shinobu KUDO!!!
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2018・03・09FRI
飛神宮子
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