When we get tired ...(疲れた時は…)

ある日のレッスン場…
パンパンッ
トレーナー「はいストップ。工藤さんは足の踏み込みを意識して、反動を上手く使って」
「はいっ」
トレーナー「綾瀬さんはステップに気を取られすぎね。振りが雑になってる」
穂乃香「はい」
トレーナー「桃井さんは周りを見てタイミングを合わせて。ちょっとズレてるから」
あずき「はーいっ」
トレーナー「喜多見さんはちょっと歌に意識が足りないかしら…ダンスは合格点だけど」
「はいっ!」
トレーナー「5分休憩したらもう一度頭から通しをするから、準備していてね」
四人『はいっ』
 
トレーナー「はい、今日のレッスンはここまでにしましょう。もうすぐライブだからってちょっとやり過ぎましたか」
「はあ…もう近いからそれくらいでも十分だよね」
穂乃香「はい…これくらい厳しい方が燃えますから…」
トレーナー「そうですか。ではおつかれさまでした。ちゃんとストレッチは忘れないでね」
四人『ありがとうございましたー』
「はい、そこで倒れてる二人ー」
穂乃香「柚ちゃんもあずきちゃんも、汗をかいたままだと風邪ひいてしまいますよ」
「忍チャンありがとー…生き返るー」
あずき「んー…沁みこむね…」
「さってと、ストレッチしとかないとだね」
穂乃香「忍ちゃん、背中一緒にやりましょう」
「うん…んーっ!」
………
シャーーーーーーーーー
「あずきチャン、シャンプー貸してー」
あずき「はい、柚ちゃん」
「ありがとー」
「今日も厳しかったねー」
穂乃香「そうですね。はい忍ちゃん、ボディソープです」
「ありがと。だいぶ癖も直ってきたから、本番までにはいけるかな」
あずき「あー、忍ちゃんヘンな癖ついてたよねっ」
「何度やってみても身体が勝手に動いちゃってさー、大変だった」
穂乃香「やはり百聞は一見に如かずでしたね。私も振りが上手くいかなかった理由が分かりましたから」
「アタシは歌頑張らないとナー」
穂乃香「柚ちゃんは他のユニットもありますし、私たちでカバーはしますから」
「そうだね。でもソロの部分は頑張ってくれないとだよ」
「分かってるー」
あずき「あずきは釣られないようにしないとなー。後ろで見てるとつい動いちゃってっ」
「そこは練習あるのみでしょ」
「アタシとの二人だけのとこはもう完璧だけどネー」
穂乃香「やっぱり…あずきちゃんと柚ちゃんは息ぴったりなんですね」
あずき「そんなこと言って、あずきから見たら穂乃香ちゃんと忍ちゃんもそうだよっ」
「それはまあ…ね、穂乃香ちゃん」
穂乃香「そうですね…」
「アタシ達も人のこと言えないけどサー…ね、あずきチャン」
あずき「そだねっ。ねえねえみんなこれから予定はあるの?」
「アタシは無いよー。忍ちゃんたちは?」
「アタシも無いかな。穂乃香ちゃんは?」
穂乃香「私も今のところは特に…あずきちゃんどうしたんです?」
あずき「これからカフェ行こうよー。甘いもの補給したい気分じゃない?」
「アタシはいいよ。でも柚ちゃん時間大丈夫?」
「アタシは大丈夫だよ。だってもともと今日はあずきチャンとこ泊まりだモン」
穂乃香「明日ラジオですけど、ここからですか?」
あずき「そのつもりだよっ」
「テストも終わったし、ヒマだったら遊び行くよ」
穂乃香「あ、でも今日は委員会合が…」
「あー、穂乃香ちゃんはそれあったっけ。でも点呼無いしそれ終わったらあずきちゃんの部屋でいいよね」
穂乃香「そうですね、終わったらそっち行きます」
「よーし、じゃあまずはカフェに甘い物食べ行こうっ」
………
「それでさ、その子テスト用紙見たらさー、見事に解答欄が一個ずつズレてるの」
「アハハっ、現実にそういうのする子居るんだネー」
「よりによって答えは全部合ってるっていうさー」
あずき「やっちゃったねっ。その子大丈夫だった?」
「あの落ち込みっぷりは半端じゃなかった」
コンコン
あずき「あ、来たのかな?はーい、鍵開いてるよっ」
ガチャっ
穂乃香「失礼します、あずきちゃん」
あずき「おつかれさまっ。寒かったでしょ、入って入ってっ」
穂乃香「おじゃましますね」
「あれ、何か持ってきた…みたいだね、穂乃香ちゃん」
穂乃香「はい。部屋に多かったのでそれを…」
「え、なになに?何持ってきたの?穂乃香チャン」
穂乃香「バレンタインの戴いた物がまだ消費しきれていないんです…」
あずき「穂乃香ちゃんって貰う方なんだよね。持ち帰ってくるの大変そうだったっ」
穂乃香「憧れられているみたいでして…手作りの物は先週中に片付けて、日持ちがする市販の物がまだ残っていまして…」
「チョコかあ、この時間に食べて…明日もより一層レッスン頑張ろう…」
「アタシ達は明日はラジオ終わりで合流だねー」
あずき「だから今日は早く寝ないとだねっ」
穂乃香「それなら私たちは早めにお暇しますか、忍ちゃん」
「そうだね、二人だけの時間にしてあげた方が良さそうだし」
「うっ…あ、アタシは別にそうじゃなくてもいいケド…ねー、あずきチャン」
あずき「う、うん。そういうつもりで来てもらったんじゃないしっ」
「そっちこそどーなんだー、穂乃香チャンに忍チャン」
「アタシ達?アタシ達は何だかんだ毎日顔合わせてるからね、穂乃香ちゃん」
穂乃香「そうですね。食堂とか大浴場などで何かと一緒ですから」
「これは…ボロが出ないね…あずきチャン」
あずき「この二人はいっつもこうだもんっ」
「(何を合わせるというのは…ね、穂乃香ちゃん)」
穂乃香「(合わせるところが…ですよね、忍ちゃん)」
「あのさー、二人だけの世界に入ってるみたいだケドー?」
あずき「忍ちゃんっ、穂乃香ちゃんっ、帰ってきてー」
「あ、ゴメンゴメン。ちょっと考え事してたから」
穂乃香「あ、皆さん食べてください。せっかくの頂き物ですから」
「…ま、いっか。そだね、でも市販品とはいえ美味しそうだなー」
あずき「色んなチョコの味見大作戦開始だねっ」
結局夜遅くまで談議に花を咲かせることになる四人であった…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの34本目。
バレンタインの後日談のようなお話になりました。今月はバレンタイン自体でも書いていますが…。
ライブがやり易い春休みも近いことですし、こういう特に高校生組のユニットは今頃がレッスンの最盛期でしょう。
それにしてもアイドルだと女の子でもバレンタインは学校などで貰ったりするものなんでしょうかね…?
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2018・02・25SUN
飛神宮子
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