Turn over the World(ひっくり返してみる世界)

ある日のアイドルルーム…
「アタシ達に別々のお仕事なんて珍しいネ」
穂乃香「最近はフリスクで活動が多かったですから」
「それじゃあ聞いてもらえるかな。穂乃香のはこれで、忍のはこれだな」
穂乃香「ありがとうございます」
「ありがと。どんなお仕事だろう?」
「柚は…こっちか。あずきはこれな」
「ありがとー。こういうのってワクワクするねー」
あずき「ありがとっ。忍ちゃんは誰とだった?」
「アタシは…うひゃあ、琴歌さんかあ。穂乃香ちゃんは?」
穂乃香「私は茜さんですね。そうなるとお仕事の内容は…柚ちゃんはどうです?」
「アタシはこずえチャンだよ。あずきチャンは?」
あずき「あずきはねー、都…さんだっ」
「どうしたんだあずき。名前言うのに戸惑ったみたいだな」
あずき「年上だったんだ…同い年くらいだと思ってた。身長はあずきよりずっと大きいんだけどっ」
「アタシよりも大きいくらいだもんね。でも服装がね…同い年だって初めて聞いた時に驚いた気がするよ」
「あれー何だかアタシだけ歳が違う気がするー」
「それはな…もう一つ案はあったんだが、日程が合わせられなくてな。そっちも年齢は違うよ」
穂乃香「柚ちゃんのもう一つって何ですか?」
「もう一つは柳さんとだな。柚だけは両極端だったんだ」
「ってことは、アタシ達も他に候補があったの?」
「それぞれ何人かいたな。ま、とりあえず各々の詳細について話すから聞いてもらえるかな」
 
綾瀬穂乃香×日野茜編
ここは事務所内のダンス用のレッスンルーム。カメラではレッスン風景を撮影しているようだ。
「穂乃香さんのダンスは何というか、優雅ですね!」
穂乃香「ありがとうございます茜さん。茜さんのダンスは快活で見ていて楽しいです」
「ありがとうございます!普段からそういう曲も多いですからね」
穂乃香「この曲の振りは面白いのはいいんですけれど、ステップがどうも慣れませんね」
「ここはですね…」
キュキュッキュキュキュッ タンダダンッ
「こうすればいいんです!」
穂乃香「なるほど…ここで脚を…」
タタンッタントタッ
穂乃香「こうですか」
「そうです!私はこれをレッスン前の足慣らしによく使います」
穂乃香「そうなんですね、私はレッスン前は…」
グイーーー
穂乃香「よく柔軟をやりますよ」
「ほお…凄いですねぇ、さすがはバレエをやっていただけあります!」
穂乃香「茜さんはどうですか?」
「私も穂乃香さんほどではありませんが」
グイーー
「これくらいは何とか…あ!ということはあの脚を上まで上げるヤツもできるんですね!」
穂乃香「このI字バランスですか?」
グイーーーン
「おおー、お見事です!綺麗にスラリと伸びています!」
穂乃香「この柔軟性のおかげでケガはなかなかしないんです」
そのまま熱が入りすぎてしまい、いつの間にか数時間たってしまったことを二人は後で知ることになったという…
 
工藤忍×西園寺琴歌編
ここは西園寺邸。そこにはいつもより緊張した面持ちの忍がいた。
琴歌「そんなに硬くならなくてもいいんですの、忍さん」
「でも、アタシこういう場所は慣れてないっていうかさ…琴歌さん」
琴歌「もう舞台の時間からは逃げられませんから」
「それは分かってる。よしっ…うんっ!」
琴歌「では参りましょう、忍さん」
「行こう、琴歌さん」
………
司会『これより催し物といたしまして、西園寺家のご息女であられます琴歌様と同じ事務所に所属されています工藤忍様による歌のご披露です』
パチパチパチパチパチパチ
琴歌・忍『こんにちはー』
琴歌「本日は皆さまお集まりいただき、ありがとうございます。西園寺琴歌です」
「琴歌さんと同じ事務所に所属しています、工藤忍といいます」
琴歌「この素敵な会に花を添えられますよう、一生懸命披露いたします」
「皆さん、今日はよろしくお願いします」
琴歌「では短い時間ですので、早速ではありますがお送りします。では、音楽の方をよろしくお願いします」
………
「んあーっ!無事終わったーっ。お疲れさま、琴歌さん」
琴歌「お疲れさまでした、忍さん」
「緊張したよ。今日はカメラも入ってたしさ、集まった人たちってお偉いさん…だよね?」
琴歌「はい…社長さんなども多くおりましたよ」
「失礼のないようにって思うと大変だったなって」
琴歌「フフフ、私の場合は環境に慣れてしまったのかもしれませんね。あ、そういえばさっきお父様から…………」
コショコショコショコショ
「ええっ!?ほ、本当!?アタシをなの!?」
琴歌「はい。いずれプロデューサーからお話が行くかもしれませんね…」
その後、忍にどえらい所からソロのお仕事が来ることになったんだとか…
 
喜多見柚×遊佐こずえ編
ここはとあるお店の前…
「こずえチャン、大丈夫ー?」
こずえ「こずえはじゅんびOKだよー。ゆずはー?」
「アタシは大丈夫だよっ。じゃあお願いねー」
こずえ「んー…。こずえのぉー…おいしいものたべるじかんー。今日はねー、このお店だよぉ…」
びしっ
こずえ「それじゃーゲストの人よぶねー。ゆずー」
「はーい、ゲストの喜多見柚だよっ。それでここは何のお店なのカナ?」
こずえ「ここはねー、からあげの専門店だよぉ…」
「美味しそうな匂いはそれかー」
こずえ「ゆずー、入ろー」
「うん、もうこの薫りだけでお腹空いてきちゃったよー」
………
「終わったーっ!お疲れさま、こずえチャン」
こずえ「おつかれさまなのぉ…」
「部位によってもあんなに味が違うなんてねー」
こずえ「ゆずもよく食べてたー」
「こずえチャンだってお腹もうポンポンじゃない?」
こずえ「こずえのおなかー、まだ入るよー」
「うえー、この後にもう1軒だよネ」
こずえ「次のお店までは車で移動だよぉ、ゆずはだいじょうぶー?」
「たぶん大丈夫、でも調子に乗ってご飯多く食べなきゃ良かったなー」
こずえ「もう車来たってー、ゆずも乗ろうよぉ」
「そだね。…やっぱり小さい子には敵わないネ」
こずえ「どしたのー?」
「ううん、今行くよー」
アヤサンやマキノサン、ありすチャンが言ってたのはこういうことか…と感じていた柚であった…
 
桃井あずき×安斎都編
ある日のとある撮影スタジオの控室…
「おお…これが憧れの和装探偵の姿ですか…」
あずき「着付けはこんな感じで大丈夫だね。都さん似合ってるっ」
「そうですか、そう言ってもらえると嬉しいです」
あずき「でもお願いされてびっくりしちゃったー。都さんがこういうシチュで撮影したいなんて」
「いつも洋風の探偵姿ばかりなので、たまには変えてみたいなと思っていたんですよ」
あずき「あずきの家の宣伝にもなるからねー」
「しかし、あずきさんは意外と小さいんですね」
あずき「それよく言われるなー、会ってみると柚ちゃんより小さいのが意外とかね」
「そうです。私も忍さんなどと同じくらいかと思っていましたが…」
あずき「あずきのとこは穂乃香ちゃんがちょっと出てて、あずきがちょっと低いくらいだよ」
「なるほど…あずきさんの場合は衣装が大人っぽいからでしょうか」
あずき「そうかもっ。これで完璧だね、男装の和装探偵だよっ」
「こちらのわがままでこんな配役にしてしまってすみません」
あずき「メイドは去年もやったから大丈夫っ」
「こうして鏡で見ると、大正浪漫を感じますね」
あずき「このシックな感じでクラシカルなのがまたいいね」
「あずきさんに仕えてもらえるなら、いい仕事ができそうです」
あずき「あ、そういえばどんな感じの写真なのかな?」
「スタジオは昔の探偵事務所のような場所と聞きましたよ」
………
「ええっ!?次はそんな内容の写真なのですかっ」
あずき「さ、さすがにあずきも恥ずかしいなあ…」
「するふりだけでも良いとは言いますが…」
あずき「あずきはそういう場面も…ちょっとは覚悟していたけどね」
「そ、それは…確かに定番の場面と言いますか…わ、分かりました。やりましょうか」
その後お互いのユニットの全員に冷やかされるわけだが、それはまた先のお話である…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの33本目。ちょっと趣向を凝らした短編4部構成です。
意外な相手との組み合わせに見えますが、組んだ相手はそれぞれ同じ共通点です。
柚の相手がこずえか清良さんだった点で分かるとは思いますが…ね。
それぞれほかの候補は、穂乃香があやめと愛結奈さん、忍が清美と小梅、あずきはみりあでした。
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2018・01・31WED
飛神宮子
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