Warmth in Holy night(聖なる夜に温もりを)

時刻は12月第4土曜日の11時…
穂乃香「せーの…」
四人『メリークリスマス!!』
パンパンパンパンッ
ラジオ放送の開始と同時に四人の声、そしてクラッカーが鳴らされた。
穂乃香・忍『フリルドネットワーク!』
柚・あずき『フリルドクロッシング!』
四人『合同クリスマススペシャル〜!』
穂乃香「時刻は11時になりました。リスナーの皆さんこんにちは、綾瀬穂乃香です」
「こんにちはー、工藤忍だよ」
「こんにちはっ、喜多見柚だぞ」
あずき「こんにちは、桃井あずきだよっ」
穂乃香「今日はいつもフリクロを放送している○○のスタジオからフリネットの局を含めた12局をネットしてお送りしています」
「まさか今月2回目の合同放送になっちゃうとはね」
「この放送だけ聞いてる人に言うと、アタシの誕生日だった12月2日もだったんだー」
あずき「穂乃香ちゃんと忍ちゃんがサプライズゲスト扱いでね」
穂乃香「誕生日の放送、楽しかったですね」
「うんうん。あのキョトンとした顔は忘れられないよ」
「もー、みんなしてアタシのこと驚かすんだモン」
あずき「楽しかったからいいってことっ。それで今日は今年最後の放送だよ」
穂乃香「ですので私たちからのクリスマスプレゼントも用意しています。届くころにはお年玉になっているかもですが…」
「もう年末かあ…みんなお仕事まだあるけどねー」
「冬休みには入ったけど、まだ大変だよね。でもみんなはまだいいよー」
あずき「どうして?柚ちゃん」
「アタシは帰省が無いから結構ギリギリまで入っちゃってるんだー」
穂乃香「そういうことですか。忍ちゃんはどうです?」
「実は地元で年末年始に少しお仕事入ってるよ」
穂乃香「私も同じく少し入ってます。地元局の方からオファーが来てまして」
あずき「あずきは入ってないけど、実家の手伝いかなっ。呉服屋は成人式まで大忙しだもん」
「みんな忙しいんだ。何かこれくらいのことで音を上げてるアタシじゃダメだね」
あずき「頑張ってね柚ちゃん」
「うん。頑張るよ」
穂乃香「それでは今日の番組ですが、コーナーはお休みです。両番組ともに年明け2回目から再開します」
「今日のメールテーマはクリスマスだよ。思い出でも予定でも何でも送ってくれると嬉しいな」
あずき「FAXは埼玉048の〜〜〜、メールは〜〜〜@〜〜〜〜、ツイッ○ーのハッシュタグは#………だよっ」
「今日はアタシ達4人がアイドルのみんなから集めてきたプレゼントがあるから、欲しい人は番号を書いて送ってネ」
穂乃香「番号はこの後番組公式ツイッ○ーとブログにあらためて掲載します。では忍ちゃんからどうぞ」
「まずはアタシ達から、1番はアタシ達のライブTシャツに4人のサインを入れて4名様だよ」
あずき「こっからは貰ってきたヤツだねっ。全部1名様だよ」
「2番は温泉の時に一緒だったイヴさんから、その時使ってた温泉マップにサインを入れてだよ。じゃあ次は柚ちゃん」
「アタシは3番で今回歌わせてもらった曲のポスターにアタシと肇チャン、巴チャン、比奈サン、裕美チャンのサインを入れてっ」
穂乃香「これは凄い1枚ですね…」
「全員のはさすがに厳しかったからねー。じゃあ次はあずきチャンっ」
あずき「あずきはメイドの時に一緒だった西川さんから、撮影で使ったスプーンと色紙にサインをもらってきたよー。4番だねっ」
「このスプーンちょっと高そうだネ」
穂乃香「どうなのかな、よく分からないんだけどねー。最後は穂乃香ちゃん」
あずき「では私からは5番でパン作りで一緒だったキャシーさんが作ったパンの人形を頂きました」
「パンの妖精…だっけ?」
穂乃香「はい。確か『ミスターパン』という名前だったかと」
「何ていうか可愛いけど味のある容姿だよネー」
「分かるなあ。それじゃあもう一度おさらいだよ」
穂乃香「はい、1番が私たちのライブTシャツです。2番がイヴさんの温泉マップ、3番が5人のサイン入りポスターになります」
あずき「4番が西川さんが撮影で使ったスプーン、5番はキャシーさん特製のパンの人形だよっ」
「プレゼントが欲しい人は、おたよりの最後に希望の番号を書いてネ」
「じゃあそろそろCMだって。CM前の1曲は…」
四人『Snow wings!!』
………
ラジオが終わってここは柚の家。
「明日だけど、みんなはどうするの?」
「アタシは特に何もないよ」
穂乃香「そうですね…私はそろそろ帰省の準備というかお土産を買おうかなと」
あずき「あ、あずきもそうしよっかな」
「んー、それならアタシも一緒に行きたいな」
「そっか…もうそんな時期だもんね。年末かあ…」
「柚ちゃん、別に今生の別れとかじゃないんだしさー」
「そうなんだけどねー。アタシだけ特に帰るとかでもないし」
あずき「というか付いてこないのっ?」
「ううん、行く行くっ」
「もうクリスマスかぁ…一年って本当に早い気がするよ」
あずき「この世界にいると、ちょっと先取りしたりもあるからたまに訳が分からないことになるよねっ」
穂乃香「分かります。この前はお正月の番組収録で次がクリスマスだったりして…」
「携わって裏が分かると、あらためてテレビとか多く出てる人は凄いと感じるよ」
「アタシ達はまだ人数が多いからそこまででもないケドね」
「ま、まずは25と26の収録乗り切ろうよ」
穂乃香「これで今年のフリスクのお仕事はお終いですからね」
あずき「次は来年の4日だよねっ」
「三が日終わる前に戻ってこないとなんだよねー」
穂乃香「でもその前に…これはやらないとですよ」
「やりたくないケド、やらないと大変だもん…やりたくないケドー」
あずき「聞ける機会があるうちに聞いとかないとだねっ。あずきは寮でもいいけどさー」
「穂乃香ちゃんはどこまでやった?」
穂乃香「各教科そこまで多くは出なかったので、貰った日にある程度は片を付けておきました」
「アタシも地元でお仕事があるって分かってたから、とりあえず戻ってきて片付けられるくらいまではね」
「穂乃香チャンも忍チャンも相変わらず優秀すぎだよー。アタシなんかまだ真っ白だぞー」
あずき「あずきもまだ全然手を付けてないよ」
「それじゃあアタシと穂乃香ちゃんで見てあげるから、まずは自分でやること」
柚・あずき『はーい』
………
「電気消すぞー」
あずき「いいよっ」
カチャッ
柚は部屋の電気を豆球に変えた。
「こうやって4人で寝るのってこの前の柚ちゃんの誕生日以来かな?」
穂乃香「そうでしたね。あの日も泊まることになりましたから」
あずき「柚ちゃん、身体すぐ冷えちゃったねっ」
ギュっ
あずきはベッドに入ってきた柚の身体を抱きしめた。
「んんー…あずきチャンの身体、温かいなー」
「もうまたそうやって人が見てるところでイチャイチャしてー」
あずき「忍ちゃん達もイチャイチャすればいいじゃんかっ」
「そうだぞー。別に知らないわけじゃないんだからねー」
「え、うん…いいのか…な。ね、ねえ穂乃香ちゃん…ギュってしてもいい?」
ぎゅうっ
言葉ではない、その穂乃香の行動が全ての答えであった。
「穂乃香…ありがと…」
穂乃香「忍さん…温もり、作り合いましょうね」
それを見ていた二人は…
「ねえ、あずきチャン…アタシ達より濃厚になってない?」
あずき「う、うん…まあいいんじゃないかなっ。あずき達も温かくなろうよ」
「そだね…」
聖夜の前夜、一つの部屋の二つの温もりが四つの心を溶け合わせていく…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの32本目。今年もやってきましたクリスマスです。
クリスマスの時期ですが、きっともうお正月の仕事とかもしているでしょう。
そして暫く会えなくなる年末年始。だからこそ温もりは忘れないように感じていたい…ものでしょうね。
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2017・12・22FRI
飛神宮子
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