It's good to have Friends like you(持つべきものは友)

時は遡って24日22時、アイドル全員の眼が一つのサイトに集中した。
その30分後、いつもとは違う声が寮のとある館の1階廊下に聞こえた。
 
まずそれが起こる少し前の、同じ館の3階の光景を見てみよう…
コンコン
笑美「はーい」
あずき「笑美さんいますかーっ?」
笑美「おるでー」
ガチャっ
笑美「あ、あずきはんやない。えらい急やけどどないしたん」
あずき「あの、今日の点呼なんだけど…寮の中にはいるけど出られなくなっちゃって…」
笑美「何かあったん?」
あずき「ちょっと……………という事情があって代理大作戦をすることになってっ」
笑美「事情は分かったわ、そらまあ仕方ないな。ええで、居るいう形で点呼取っとくわ」
あずき「ありがとうございますっ」
笑美「それなら××はんによろしく言っといてなー」
あずき「はいっ」
バタンッ
あずき「よしっと、じゃあ時間もあんまり無いし1階に行こうっと」
あずきはその足で1階へと階段を降りていった。
 
コンコン
「………」
あずき「入るよーっ」
ガチャっ
あずきは1階にあるアイドルの居室へと入っていく。
あずき「おーい、忍ちゃーんっ」
あずきが部屋の主の名前を呼ぶが返事は聞こえてこない。
あずき「いないってことは寝室かな?」
ガチャっ
あずき「忍ちゃ…」
その時、ドアを開けたあずきの目に飛び込んできたのは…
「………んっ……んんっ…」
ベッドに顔を埋めて伏せている部屋の主の姿だった。
あずき「忍…ちゃん…?」
「えっ…だ、誰っ…?」
あずき「誰って、声を聞けば分かるでしょーっ」
「あ、あずきちゃん…どうしてここに…?」
あずき「あずきは穂乃香ちゃんから連絡受けてきたんだけどー」
「あっ…ゴメンっ。階長じゃないあずきちゃんに連絡すれば良かったの忘れてた」
あずき「あずきってそんなに頼られないんだ…」
「ゴメンゴメン、今日はお願いしていい?」
あずき「あずきのとこの階長には断ってきたから大丈夫っ」
「こんな泣き腫らした顔じゃ…階回れないもんね」
あずき「寝る前にちゃんと顔洗ってきた方がいいよっ」
「うん、そうさせてもらおうかな。あ、やり方は分かる?」
あずき「前に見た気がするからたぶん分かるよ」
………
コンコン
千秋『はい…』
ガチャっ
あずき「こんばんはっ、千秋さん」
千秋「あら…どうしたの?」
あずき「今日はあずきが階長代理することになっちゃいましたっ」
千秋「工藤さんは何かあったの…?」
あずき「みんなの前に出せる顔じゃないって…それだけは言っておきます」
千秋「………?よく分からないけれど…代理の人が居るならそれはそれでいいかしらね」
あずき「あのっ、雪美ちゃんもいます?」
千秋「それは大丈夫よ、もう寝ちゃってるわ」
あずき「分かりました。では失礼します、おやすみなさいっ」
千秋「おやすみなさい、桃井さん」
バタンッ
あずき「次はっと…」
コンコン
『はーい』
ガチャっ
あずき「海さん、こんばんはー」
「あれ?あずきじゃない。どうしたの?」
あずき「今日は忍ちゃんがちょっと色々あって点呼だけ代理でしてるんですっ」
「ふーん、そうなんだ。大変だね」
あずき「大事な友達のためですからっ」
「いいね、そういうのさっ」
あずき「エヘヘ、何だか恥ずかしいですね」
「じゃあおやすみ、あずき」
あずき「おやすみなさーい」
バタンッ
あずき「次は102でいいんだよね…」
渡り廊下と空き部屋を挟んで部屋へと向かうあずき。
コンコン
マキノ『はい』
ガチャっ
あずき「マキノさん、居ます?」
マキノ「いるわよ…そう、やっぱり読み通りだったわ」
あずき「へ?」
マキノ「忍が来ないことは感付いていたの。そうなれば来るのがあずきなのは自明の理だったのよ」
あずき「そっかー。あずきが来て驚かなかったのは、マキノさんが初めてだったっ」
マキノ「忍にはおめでとうと言っておいて…おやすみなさいあずき」
あずき「えっ…あ、はいっおやすみなさいっ」
バタンッ
あずき「びっくりしたー…次は向かいの…」
コンコン
『はい』
ガチャっ
あずき「つかささん、泉ちゃん、居ますかーっ?」
「はい、あずきさん…って、あずきさん?」
あずき「今日は忍ちゃんの代理だよっ」
「そうなんだ…あ、つかささんもいるけど、ちょっと今手を離せないって」
あずき「了解っ、じゃあ泉ちゃんおやすみっ」
「うん…おやすみ…」
バタンッ
あずき「…やっぱり今日は騒がしい部屋もあるねっ」
コンコン
泰葉『はい』
ガチャっ
あずき「こんばんは泰葉さん」
泰葉「え?あずきちゃん?」
あずき「あっ、今日は忍ちゃんの代理ですっ」
泰葉「そうなんですか、大変ですね」
あずき「ううんっ、もうあと一部屋だもんっ」
泰葉「フフフ、そうですね。ではお休みなさい」
あずき「おやすみなさーい」
バタンッ
あずき「…えっと、ここまでのを入力して入力して…うん、これで大丈夫っ。後は最後の部屋っ」
あずきはデータを入力をしながら渡り廊下を挟んだその部屋へと向かった。
コンコン
あい『はい』
あずき「失礼します」
あい「この時間帯に珍しい来客だね…あずきくん急にどうしたんだい?」
あずき「あのですね……………そういう事情で点呼だけ忍ちゃんの代理ですっ」
あい「そうか…それなら仕方ないな…忍くんに私からもおめでとうと伝えておいてもらえるかな?」
あずき「はいっ」
あい「それじゃああずきくんも早く戻ってゆっくり休むんだよ」
あずき「はーい。おやすみなさいっ、あいさん」
バタンッ
あずき「これで入力して送信して…終わりだねっ。忍ちゃんの部屋にもーどろっと」
ガチャっ
忍の部屋へと帰って来たあずき。
あずき「忍ちゃん、行ってきたよーっ。はいタブレット」
バタンッ
「ありがとうあずきちゃん、はいこれお礼だよ」
あずき「…んきゅっ…ごきゅっ…ごくっ…はあっ、疲れたー」
「お疲れさま、本当に今日はゴメンね」
あずき「いっつも穂乃香ちゃんも忍ちゃんもこんな大変なことしてたんだね」
「割と毎日やってるからもう慣れちゃったけどさー」
あずき「あ、マキノさんとあいさんからおめでとうだって」
「えっ…うん、ありがと…」
あずき「あっ、あずきからも言ってなかったっけ。おめでとう、忍ちゃん」
「…まだ中間だけどね…」
あずき「でもそれだって大切なことじゃないかなっ。伸び上がるための第一歩だよっ」
「うん…」
あずき「あずきだって悔しいんだからっ。自分の人気もまだまだなんだって柚ちゃんと忍ちゃんに見せ付けられたもん」
「………」
あずき「だからこそ、一緒に走り抜けていこうっ」
「…うんっ、そうだねっ。今日は色々とありがとうあずきちゃん」
あずき「どういたしまして、忍ちゃん。じゃああずき、そろそろ部屋に戻るね」
「うん。おやすみ、あずきちゃん」
あずき「おやすみ、忍ちゃん」
忍の心、あずきの心、それぞれにまた一つ何か新しい光が灯っていく…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの23本目。というかこれあずきSSになっちゃってますね…。
今更ながら総選挙中間発表を受けてのSSです。4月も終わり、いよいよ選挙期間も佳境ですね。
悔いは残さないように、一つ一つの積み重ねこそ大事なことですからね。
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2017・04・30SUN
飛神宮子
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