Step to a Shining Place(輝く場所へのステップ)

1月のある日曜日、とあるアイドルルーム…
「柚ちゃん達、それ何?」
「プロデューサーサンが持ってきたんだヨ」
あずき「去年のあずき達のグラビアとかの写真をまとめたアルバムなんだってー」
穂乃香「去年ですか…」
「あれ?どうしたの穂乃香チャン」
穂乃香「去年はその…全部見ていただければ分かるかと思います」
「何だろ、穂乃香ちゃんがそう言うのって珍しい気がするけど」
あずき「じゃあ見てみよっかー」
「最初は…忍ちゃんだネ」
「あー、あれ去年だったっけ。お掃除やさん、懐かしいなっ」
穂乃香「この清掃員とのギャップが凄かったです」
「あの衣装は新しい自分になれた気がするよ」
あずき「忍ちゃん、ハロウィンの時もそれ着たんだっけ?」
「うん。ハロウィンの仮装にするのはどうかと思ったんだけど、これ気に入ってたしさー」
「あの黒一色に黒の網タイツがまたいいんだよネ」
「タイツって脚の線が出るから結構気を使ったなあ…懐かしいよ」
穂乃香「それで次は誰でしょう…」
あずき「次は柚ちゃんだっ」
「温泉いいなー」
「気持ち良かったけど、温泉の撮影ってやっぱり恥ずかしいネ」
あずき「一応バスタオルの下には水着着てるけど、裸だと思えって言われると余計だよね」
「ウン。でもチューブトップだからズレたら大変だし」
穂乃香「これ見てたらまた温泉行きたくなりました」
「上手いこと休み合わせられればなあ。ラジオの調整頼んでみる?」
「そだネ。近場で良いから、もしだったらスパ銭でもいいじゃん」
あずき「温泉でセクシー大作戦やろうねっ」
「そこにいるまだ温泉の撮影したことがない二人は特に見てみたいナー」
穂乃香「ええっ!私と忍ちゃん…ですよね?」
「…そう言うと思ったよ」
あずき「じゃあ次行こうっ…って次はあずきだっ」
「ホントにこのミニチャイナ、後ろからチラチラ見えそうだったよネ」
穂乃香「見ていてこっちも少しハラハラしました」
「でもさー、こういうのあずきちゃん似合うんだよね」
あずき「ありがとっ。我ながら中華街で見つけた時は『コレだっ!』って思ったもんだっ」
穂乃香「あずきちゃんって身長は小さいですけれど、体形はその…見ただけで良いって分かりますし…」
あずき「穂乃香ちゃんにそう言われると自信になるっ」
穂乃香「え?」
「まあまあ。でもこのこっちのレポートも良かったよネ。お土産も美味しかったしっ」
「アレってウケ良かったんでしょ?」
あずき「プロデューサーは次は二人のどっちかって言ってたしっ」
穂乃香「忍ちゃんも柚ちゃんも頑張って下さいね」
「期待されるのもどうなのカナ?えっと次は…やっと穂乃香チャンだ」
「何か持ってるみたいだけど、これって事務所だよね」
穂乃香「あ、はい。ちょうど予定確認をしていたところで、振り向いたらもう撮られてました」
「自然な感じだよねっ。これだけ自然な撮られ方ってことは…撮影した人は内部の人?」
穂乃香「はい…同じ担当プロデューサーなのが仇でした…」
「あー、椿サンかー…」
「それは仕方ないね…」
穂乃香「プロデューサーに頼まれていたみたいで油断していました」
あずき「それでも自然な笑顔なのが、穂乃香ちゃんもやっぱりアイドルだねっ」
穂乃香「えっ、そうでしょうか…ありがとうございます…」
「これで前半終わりかな?後半は…やっぱりアタシだー」
穂乃香「モデルチャレンジでしたね…あっ…」
「あ、穂乃香ちゃんやっぱり思い出した?」
穂乃香「はい…あんな大人数の前で着たと思うと…その…」
「そういえば美嘉サンに聞いたけど、この写真の方って美嘉サン達を参考にしたって本当?」
「情報の出所は半分くらい妹の莉嘉ちゃんだけどね」
あずき「忍ちゃんのオフショルダーって新鮮だねっ。セクシーを目指したの?」
「まあそんなとこかなー。せっかくのお仕事だし新しい自分を見せたかったから」
穂乃香「そうでしたか。それでファッションショーの方も大成功でしたね」
「あれだけの人がいるランウェイでさ、ライブとは違って初めて過ぎた経験だった」
「雰囲気とかやっぱり違ったの?忍チャン」
「服が主役でそれを見に来てるけど、それを引き立てるのが自分だって思うと緊張凄かった」
穂乃香「それは分かります。これを生業にしている方は度胸のある方々なのだと思いました」
あずき「あ、何か思い出したっ!9月のラジオの公開生放送でこれ着てたんでしょ?」
「えっ?アタシその話は知らない…もしかしてアタシがお休みした時かー」
穂乃香「そうですね…あの時はそちらはピンチヒッターがいましたよね」
あずき「そうだよ。二人ともあの時はチャイナドレスで楽しかったっ」
「まあステージでは吹っ切れるけど、ああいう場所だとね。アタシも恥ずかしかったし」
穂乃香「次、次行きましょう。次は…その時の柚ちゃんですか」
「そうだネー。クイズ番組が決まってプロデューサーサンとちょっと特訓もしたなー」
「あの単語帳って役に立ったの?」
「ぜーんぜん。やっぱりクイズ番組って難しかったケド楽しかったー」
あずき「でもどうして柚ちゃんにオファーがきたのかなっ」
「プロデューサーサン、アタシくらいが適度だって言ってくれたケド何だろうね?」
「(言えないけど、………だろうね…)バラエティの適応力じゃない?」
穂乃香「(たぶんそうかと…)確かに私達の中ですと、一番バラエティで活躍されますよね」
「そっかー、アタシはそういう風に思われてたかー」
あずき「でも柚ちゃん居ない時のラジオ、大変だったんだからねっ」
「あ、思い出した。まさか早苗さんがゲストだとは思わなかったよ」
「アタシは知ってたけどネ。一応誰かは聞いとかないとって思ったし」
穂乃香「そうだったんですか」
あずき「まあ決まったの、忍ちゃん達がそっちの局に行くくらいギリギリだったからねっ」
「なるほどねー。それで次はあずきちゃんか」
あずき「あー、学園祭の時のだー」
「コレっていつものあずきチャンだよネ」
「…言っちゃ悪いかもしれないけど、確かにいつも見てるあずきちゃんだよ」
あずき「うう…この時もぷちセクシー大作戦中だったのにっ!」
穂乃香「そういえばこの制服の横のジッパーって開くんですか?」
あずき「プロデューサーには触らせなかったけど、ちゃんと動くようになってたよっ」
「そういうトコも含めてやっぱりいつものあずきチャンだった」
「うん。ちょっとヘタレちゃうところとかもさ」
あずき「で、でもその後のホットスナックの模擬店は頑張ったもん」
穂乃香「お土産のアメリカンドック、美味しく頂きましたよ」
あずき「ありがとう穂乃香ちゃん、優しい言葉掛けてくれたの穂乃香ちゃんだけだよ…」
「ゴメンゴメンって。あ、穂乃香ちゃん以外全員9月にお仕事だったんだ」
「あ、本当だネ。あと最後は…」
穂乃香「12月末の私です」
「この穂乃香ちゃん、凄い真剣に剣玉やってるけどどうしたの?」
穂乃香「プロデューサーさんから剣先に入ったら褒めてくれると言われてつい…」
「着物姿が絵になるっていいなー。身体の線が綺麗だからカナ?」
あずき「あずきが見ても綺麗だって思うよっ。着るの苦労してたよね?」
穂乃香「はい、やっぱり分かりますか?」
「あれ?あずきちゃんどうして知ってるの?」
あずき「あずきの実家に、ある物の注文入ったんだもん。あずきも実家で着る時はコレ無いと着辛いしっ」
「さすがは呉服屋のご令嬢だー」
「そして巫女さん姿かー。神社に本当に居そうな女の子だね」
あずき「お正月にバイトで社務所とかに居そうだねっ」
穂乃香「こちらに関しては道明寺さんにお世話になりました」
「そっちも現役がいたかー。本当にこの事務所って幅広いナー」
「うんうん。さすがに居ない職業もあるけどある程度までは何とかなるもんね」
あずき「あれ?これで最後だけど…どうして穂乃香ちゃん最初に落ち込んでたのかな?」
穂乃香「その…」
「アタシ理由がやっと分かったよ。そういえばそうだった」
穂乃香「忍ちゃんなら分かって貰えると思ってました。一度この事は言ってましたよね」
「確かに言ってたよ。じゃあ柚ちゃんにあずきちゃん、穂乃香ちゃんの最後の大きなお仕事っていつだった?」
「いつって…?」
柚・あずき『あっ…』
あずきと柚は顔を見合わせた。
「今年最初のラジオでテーマもあってこの事言ってたんだ。だから今年は大きな仕事をまた挑戦したいって」
あずき「同時刻に放送しているから、あずき達が知らないのも当たり前だったね」
穂乃香「ゴメンなさい、こんな事で落ち込んでしまっていて…」
「これはプロデューサーサンが悪いっ!穂乃香チャンのせいじゃないよ」
「お仕事の巡り合わせというのもあるからさ」
穂乃香「はい…頑張りますね…」
あずき「よし、これから穂乃香ちゃん励まし大作戦に行こっ!」
「そだね、お腹ももういい具合に空いちゃってるし。その後カラオケとかもしたいナー」
「穂乃香ちゃん、どう?」
穂乃香「…皆さんと一緒のユニットで私、本当に良かったです」
三人の心遣いに心のどこかが少し温もりを帯び始めた穂乃香であった…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの20本目。
去年のフリスク4人のお仕事振り返り。ちょうど忍→柚→あずき→穂乃香でローテーションしてますね。
その中で穂乃香は去年SR(大きなお仕事)が無かったんですよね…今年こそは…です。
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2017・01・29SUN
飛神宮子
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