I want to See the Smile(笑顔が見たいから)

穂乃香「それでは…」
四人『メリークリスマス!』
パンパンパンパンッ
四人の手に持ったクラッカーが一斉に放たれた。
穂乃香「今日はお招きありがとうございます」
「もう穂乃香チャン、そんな堅苦しくなくていいのにさ」
あずき「そうだよっ、もっと楽にして穂乃香ちゃん」
「あずきちゃんはもっと人の家だって自覚した方がいいんじゃないかな…」
「いいのいいのっ、クリスマスパーティは人数多い方が楽しいモン」
「でも今日は疲れたねー、穂乃香ちゃん」
穂乃香「そうですね…昨日がイベントで今日生放送してでしたし」
あずき「あずき達もだよね。たくさん人が来て大変だったよっ」
「でもファンの人と交流できる機会ってなかなか無いからネー」
穂乃香「特に私達みたいな学生だと、そういう時間も限られますから」
「あー、それはそうだね。大学生とかになれば平日でも上手く時間取れることもあるみたいだけどさー」
あずき「美波さんとかフレデリカさんとか、あと成人している人だと早苗さんとか清良さんとかねっ」
「仙台の握手会会場の方はどんなカンジだったのカナ?」
穂乃香「こっちはやはり普段来れない方も多かったみたいで、近くに来てくれて嬉しいって感想も多かったですね」
「そうだったなぁ。青森とか秋田とかから来てくれた人もいたし」
穂乃香「東北は各県広いですから、隣の県までも遠かったりしますし」
あずき「あーそうなんだっ。長野も広い方だけど、東北とか隣の新潟も結構広いって聞くし」
穂乃香「大宮会場はどうでした?」
「アタシ達は東京に近い分だけ人数が半端無かったよネ」
あずき「抽選の倍率も相当高かったって聞いたよっ」
「そうだろうね。何せその抽選券すら瞬殺だったんでしょ?」
「らしいよ。特設ステージの周りも人垣だったくらいだモン」
「そっちじゃなくて良かったって、今つくづく思ったよ」
あずき「でも楽しかったよっ。好きなだけ騒げた感じもするしっ」
「そうだネー」
「あ、そうだ。今日のクロストークで言ってたプレゼント交換、そろそろしよっか」
穂乃香「そうですね、あまり遅い時間に騒ぐのも迷惑になりますし」
あずき「そだねー、プレゼント交換大作戦しよっ」
「それじゃあ誰からするノ?」
「ここは最年長の穂乃香ちゃんでいいんじゃない?」
穂乃香「私ですか?」
「そうだネ、穂乃香チャンからは何カナ?」
穂乃香「私から皆さんには、こちらです」
紙袋を一袋ずつ三人へと手渡した穂乃香。
あずき「開けてみてもいいかなっ?」
穂乃香「はい、どうぞ。皆さんに合えば良いのですが…」
ガサガサガサ
「うわっ、これって毛糸の帽子っ!?」
「アタシのは手袋だよ」
あずき「あずきはマフラーだっ」
穂乃香「本当は皆さんに一組ずつ差し上げたかったんですが、さすがに間に合わなくて…」
「これ手編みだよね、凄い…丁寧に作ってあるよー、ありがとう穂乃香ちゃん」
「穂乃香チャンのことだから絶対にぴにゃ関係だと思ってたのに…でもありがとっ」
あずき「これはこれから役立つよっ、ありがとう穂乃香ちゃんっ!」
「最初から凄いの来ちゃったねー、次は誰が行く?」
あずき「…じゃああずきがいいかな?」
「いいよー、あずきチャンは何にしたの?」
あずき「あずきは…はい、これだよ」
あずきは箱を一つずつ三人へと手渡した。
「小さいけどその割には重たいね」
穂乃香「何でしょう」
「開けてもいいよネ?」
あずき「いいよっ、使って感想聞かせて欲しくてねっ」
パカッ
「これって…身体に塗るヤツだっけ?」
あずき「うんっ。他の薫りってどうなのかなって思って選んでみたよっ」
穂乃香「柚ちゃんはなんでした?」
「アタシは…これはみかんかな?忍チャンは?」
「アタシはバラだね。穂乃香ちゃんは?」
穂乃香「私は何の葉っぱでしょう…」
あずき「穂乃香ちゃんのはお茶のだったはずだよっ」
穂乃香「お茶でしたか…東京は乾燥しますし、これは寮で使いましょうか。あずきちゃん、ありがとうございます」
「ありがと、あずきちゃん。確かにこっちは向こうに比べると乾燥するよね」
「アタシは昔からだから慣れちゃってるケド、冬は大変だよネ。あずきチャンありがとう」
「さて、柚ちゃん。どっちが先に出す?」
「忍ちゃんに任せるヨ」
「…じゃあアタシが先にいこうかな。はい、これがアタシからだよ」
袋を一つずつ手渡しした忍。
「手編みの穂乃香ちゃんの後に既製品なのが申し訳なくなってきたよ」
穂乃香「そんな…忍ちゃんの選んでくれたものですから、そこまで気にしなくても…」
「忍チャン、こればかりは才能の問題ダヨ」
あずき「選ぶ才能っていうのも大切なことだからねっ」
「そうだけどさー…何かね」
穂乃香「あの…開けてみてもいいですか?」
「いいよ。アタシはこの時期、これ愛用してるからみんなにもって思ってさー」
ガサガサガサ
穂乃香「これは、靴下ですか?」
「うん。それも寝る時用の靴下だよ」
あずき「これ触り心地凄くいいね。特に中の方凄い良い素材じゃないかなっ」
「履いたらよく寝れそうだナー」
「履いて寝ると凄く温かくていいよー。だからこの時期は手放せなくなっちゃったんだ」
「穂乃香チャンに引けをとらなかった一品ダヨ、ありがとっ忍チャン」
穂乃香「忍ちゃんありがとうございます。これは大切にしますね」
あずき「今日から使っちゃおうかなっ、ありがと忍ちゃんっ」
「さて…じゃあ最後は柚ちゃんかな?」
「アタシだね。アタシからも…布製品になっちゃった」
柚は袋を一つずつ手渡しした。
「前の約束みんな覚えててなんか感動しちゃった。さっきお風呂で見たケド…」
「本当にコレはさ、こういう時にしか着ないよね」
穂乃香「こうやって見えない所で一つになるのも、こういう機会くらいしかありませんし」
あずき「あれ?もしかしてこの中身ってっ…」
ガサガサガサガサ
「うん。今度はみんなにコレ付けてもらいたいなって思ってネ」
「みんな同じシリーズの色違いかー」
「アタシのはこれの黄色だけど、みんな着てくれたら嬉しいなって」
あずき「柚ちゃん…うん、次はこれ着る大作戦だねっ」
「もちろんだよ」
穂乃香「はい。ぜひやりましょう」
柚の心配顔がみんなと同じような笑顔へと変わるのもそう時間は掛からなかった…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの19本目。
前作のあとがきで書いていた通り、今回は去年はやらなかったXmasSSです。
大切な掛け替えのない仲間だから、自分が使って欲しいものをプレゼントしたい…そうありたいものです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2016・12・23FRI/NAT
飛神宮子
短編小説に戻る