Frilled Square VS. Producer in Halloween(ハロウィンとPとフリスクと)

ここは十月最後の週末のとあるプロデューサールームである…
今日はとあることを大々的に行っても構わないとされた日。プロデューサーの運命やいかに…
 
ROUND 1 綾瀬穂乃香(黒猫)
コンコン
「はい、どうぞ」
ガチャっ
穂乃香「失礼します。おはようございます、プロデューサー」
「おはよう穂乃香」
穂乃香「あ、あの…その…」
「ん?ちゃんと言わないと分からないよ」
穂乃香「とっ…トリックオアトリートです…」
「穂乃香はトークバトルの時の黒猫か」
入ってきた穂乃香は黒猫の衣装に身を包んでいた。
穂乃香「はい…久しぶりなのですが、恥ずかしいです…」
「でもそんな格好されていると男としてはな…いたずらの方をされたくなるぞ」
穂乃香「ぷ、プロデューサー!」
「まあよし、仮装は合格だな。1から13まで選択肢があるから選んでくれる?」
穂乃香「選ぶのですか?では…8番をお願いします」
「8番だな…8番は…はい、この箱だ。あ、でもせっかくだし1回くらいネコっぽいことしてくれないか?」
穂乃香「えっ!?えっとその…………にゃんっ……」
穂乃香は顔の横にネコの手を添えて、聞こえるかどうかくらいの声で一言だけ啼いた。
「…ごちそうさま」
穂乃香「うう…恥ずかしい…ありがとう…ございます」
「中身は確かドーナツだったはずだ。くれぐれも別部屋のあのアイドルには見つからないように」
穂乃香「分かりました、では失礼します…」
ガチャっ
出て行く穂乃香の顔はすっかり紅く染め上がっていた…
 
ROUND 2 工藤忍(清掃屋)
コンコン
「はい、どうぞ」
ガチャっ
「失礼します。プロデューサーさん、おはよう」
「おはようしの…」
「お菓子を出せ!さもなくば…分かってるな?」
忍はプロデューサーに向かっておもちゃのライフルを突きつけた。
「ちょ、ちょっと待て!話せば分かる、話せば分かるから!」
「…なーんて、プロデューサーさん。ビックリしたっ?」
「人にいきなり突きつけるのはやめてくれよ」
「はーい」
「でもそれ今年の誕生日くらいだったよなあ」
「うん。撮影楽しかったなー」
「まあ今年は他にも大きな仕事もできたしな」
「つい最近だと思ったけど、もう1ヶ月前かあ…」
「来年も良い仕事ができればいいな」
「お願いねー、楽しみにしてるからっ」
「ああ、分かってるさ。よし、じゃあ1〜13でお菓子を選んでもらえる?8以外でな」
「そうだなあ…それじゃあ9番でっ」
「9番は…この袋だ。中身はゼリーのはずだな」
「あれ?みんな違うんだ」
「まあそんな感じだ…って穂乃香にはさっき聞いたのか?」
「うん。穂乃香ちゃんはドーナツだったよね」
「まあそういうことさ」
「ありがとね、プロデューサーさんっ」
ガチャっ
突きつけられた物の感じに、動悸が治まらないプロデューサーなのであった…
 
ROUND 3 桃井あずき(チャイナドレス)
コンコン
「はい、どうぞ」
ガチャっ
あずき「失礼しまーす。プロデューサーさん、おはようっ」
「おはようあずき…ふむ、そうきたのか」
あずき「あずきが今まで着たことあるので一番ハロウィンっぽいのがコレだったっ」
「まあそうだよなあ…あんまり仮装させる系はあずきにはさせてなかったしさ」
あずき「ロワイヤルの時の衣装と迷ったんだけどね」
「ああ、それにしなかったのは?」
あずき「あれは4人揃えての衣装だけど他の3人はみんな着ないって言うからー」
「納得した。だからそのチャイナドレスかあ…」
あずき「あずきは結構好きだよっ。セクシーさが結構凄いし」
「背は小さいけどスタイルはいいから映えるんだよな」
あずき「ありがとっ!セクシーメロメロ大作戦は大成功かなっ」
「あずきがそう思えているならいいんじゃないか?」
あずき「実際のところはどうなのー?」
「…ここが会社で良かったと思ってる」
あずき「実は…ちょっとだけこことかきつくなってたんだー」
「成長期だもんな。そこらへんは今度の計測でちゃんとしておいてくれ」
あずき「はーい。そうだっ、プロデューサーさんトリックオアトリートっ!」
「おお、忘れてた。そこのホワイトボードに書いてある数字から選んで」
あずき「選ぶの?それじゃあ…5番!」
「5番はこの袋だな。中身は確かエクレア…じゃない、ワッフルだ」
あずき「向こうでさっそく食べていい?」
「みんな食べてただろ?止めはしないぞ」
あずき「そうだよね、ありがとっ!お礼の…セクシーポーズっ」
「そうやって大人をからかうんじゃないって」
あずき「あー、紅くなってるっ。でもありがと、プロデューサーさんっ」
ガチャっ
忍とは別の意味で動悸が治まらないプロデューサーなのであった…
 
ROUND 4 喜多見柚(ハロウィンヴァンパイア)
コンコン
「はい、どうぞ」
ガチャっ
「失礼するネ。プロデューサーサン、おはよーっ」
「おはよう柚…って、懐かしいの着てきたな」
「ウンっ、四年ぶりカナー」
「ここに入って1年目の終わりくらいだったか」
「そうだねー、裕美チャンとか真奈美サンと一緒だったよネ」
「そうだったな。本当に無邪気なヴァンパイアって感じで好評だったぞ」
「エヘヘ、さっすがアタシっ」
「そこで調子に乗るなって。それでどうしたんだ?」
「あーっ、そうだったそうだった。プロデューサーサン、トリックオアトリートっ」
「はい、よくできました。このまま忘れて帰ったら笑ったんだがなあ」
「いくらアタシでもそんなことしないモン」
「そりゃそうか。じゃあそこのホワイトボードに残っている番号から選んでくれ」
「あれ?3つだけじゃなくてもっと消えてるんだネ」
「穂乃香と忍の後にニューウェーブとか来てたからな。というかあずきにしても随分と来るの遅かったな」
「昨日の今日だからしかたないモン。昨日もラジオのお仕事だったしー」
「ああそうか、穂乃香達の方は収録分だったな。じゃあ一緒に来たのか?」
「うん。あずきチャンがハロウィン大作戦するから昨日も泊まるって聞かなくてネ」
「なるほどな、それで何番にする?」
「んー、じゃあねー…11番っ!」
「おお、ついに選んだ人が出たか」
♪〜
プロデューサーのパソコンからファンファーレが鳴り響く。
「へっ!?どういうこと?」
「今回数あるお菓子で一番大きいぞ。11番はそこの冷蔵庫に入っているから持って行ってくれ」
柚が冷蔵庫を開けるとそこには…
「うわあっ!でかっ!」
「カボチャプリンだ。それ作るの時間掛かったもんだよ」
大きな器に一杯のカボチャプリンがあった。
「え?プロデューサーサンお手製!?」
「そんな大きいのが市販されているわけないだろう。今回の目玉にしたんだ」
「プロデューサーサンってそういうとこあるよネ」
「イベント事は少しは楽しまなくちゃな。ま、当たりってことでカロリー消費のダンスレッスンのオマケも付くぞ」
「……エーーーーーーーーッ!!!!???」
その日一番の叫び声がプロデューサールームに響いたという…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの17本目。
4人の仮装をそれぞれに分けて。…フリスクのSSでPが出るの、なんと3作ぶりでした。
それにしてもあずきはチャイナドレス以外それほどコスっぽいのは無いんですよねえ…なかなか。
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2016・10・31MON
飛神宮子
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