A Star to Charm near Me(近くで魅せる星)

7月7日七夕の事務所のとあるアイドルルーム…
あずき「プロデューサー!」
「お、あずき達か…って珍しい格好だな。それも4人ともなのか」
「エヘヘ、どうカナ?似合ってる?」
穂乃香「あずきちゃんの実家の方から先日届いたそうです」
「この時期は蒸し暑いから、こういうのって本当にいいよね」
穂乃香「私は長袖でないので少し落ち着かないところもあるのですけど…」
「雨降ったりしてるからこの時期はいいよな。そういえば色も柄も合ってる感じなんだ」
あずき「プロデューサーの分もあるよっ」
「え?俺の分もなのか?」
あずき「5着目と一緒に手紙も入ってたんだっ。五人一緒に写真撮って送ってって、ほらこれー」
「プロデューサーサン、そんなスーツ脱いじゃってこれ着ちゃおうヨ」
「そんなこと言ったって…まあ仕事終わってるけどさ」
あずき「ほらほらーっ、早く着替えようよー」
「ちょっと待ってくれよ。これからまずケーキとか取りに行かないとだし」
「それならケーキ持ってくる時はこれに着替えて来るってことでどうかな?」
「忍まで…忍だったら止めてくれると思ったんだがなあ」
「だって面白そうだし、せっかくのあずきちゃんの誕生日なんだから」
「まあいいけどさ。しかしなあこの甚平、そんなに安いものでもないんだろ?あずき」
あずき「んー、よく分かんないけどあんまり高くはないと思うよっ」
「おいおい、それでいいのか呉服屋の娘よ」
あずき「いいのっ!」
穂乃香「やっぱり今日は皆さん浴衣の方も多いですね」
「七夕の時と祭りの時はどうしてもみんな見せに来たがるんだよな」
穂乃香「ただちょっと天気が残念そうです」
「昨日までは夜も晴れてたんだけどなあ…今日に限って曇りとかね」
あずき「でもいいのっ。あずき達は別に楽しみがあるからねー」
「それで俺はどこに行けばいいんだ?」
「一番小さい会議室借りたんだ」
「寮じゃないとは珍しいな」
「あんまり遅くなるとアタシが帰れなくなっちゃうモン」
「何だ?そういう理由なら俺が送っていってもいいんだぞ?」
「えっ?プロデューサーサン送ってくれるの?」
「そういう理由ならな。明日も学校なんだから仕方ないだろう」
あずき「それなら最初の予定通りアタシの部屋にしよっ」
穂乃香「そうですね。そちらの方が準備している食べ物も持って行きやすいですし」
「そうと決まったら、ちひろさんに会議室の鍵を返してくるよ」
あずき「いってらーっ。じゃあプロデューサーはケーキ取りに行ったら、ちゃんとその服で来てねー」
………
ここは寮のあずきの部屋。
あずき「フーーーーー…」
三人『あずきちゃん(チャン)、おめでとー!!』
「おめでとう、あずき」
あずき「みんなありがとー!」
穂乃香「では、切り分けましょうか」
「5等分は難しそうだからそれなりに切って選んでもらおうかな」
「はい、あずきチャンへのプレゼントダヨっ」
あずき「ありがとー、中身は何かなっ?」
「あずきチャンは何かとオシャレサンだから悩んだんだよネー」
「うんうん。それに今年は逆に甚平までプレゼントされたしさ」
穂乃香「それなので、実用的なところから選びました」
あずき「あーっ、髪留めっ!それも花のがたっくさんっ」
「あずきちゃんいつも髪纏めてるからいいかなって。そんなに高いものでもなかったからいっぱい買ったんだ」
あずき「髪留めはいくつあっても困らないからねー、ありがとーっ」
穂乃香「あずきちゃん、ケーキ切れましたけどどこがいいですか?」
あずき「それじゃあ…このプレートが載ってるリンゴが多そうなのでっ」
穂乃香「これですね…、はいどうぞ」
あずき「ありがとう穂乃香ちゃん」
「じゃあここからは好きなの先着順っ、アタシここがイイ!」
「あっずるいっ!アタシもここが良かったのに」
「まあまあ柚も忍もさ、今日はあずきが主役なんだからな」
柚・忍『はーい…』
あずき「そういえばプロデューサーは?」
「ああ忘れてた。俺からのプレゼントは…あ、忘れた。おそらく車の中だ」
あずき「えーっ」
「後で取りに行くか…明日以降じゃダメだよな?」
あずき「むーっ…それならプロデューサー」
「何だ?」
あずき「あずきも柚ちゃん送る時についてくー」
「俺はいいけどさ、門限大丈夫か?」
あずき「柚ちゃんの家ってここからどれくらいかなー?」
「送ってもらうし車でってことだよネ?最寄り駅くらいなら1時間半掛からないくらいで着くんじゃないカナ」
「寮長に言えば…門限は多少大目に見てくれると思うよ」
穂乃香「私たちからも言っておきますから、おそらく大丈夫ですよ」
「よし、それならいいか……」
………
あずき「柚ちゃん、また明日ねー」
「あずきチャン、プロデューサーサンまたネー!この甚平もありがとーっ」
「また明後日なー柚」
あずき「あ、あずき前に行っていいかなっ?」
「いいぞ。シートベルトは忘れないでな」
あずき「はーい」
柚を無事に家まで送り届けた二人。後ろに柚と二人で座っていたあずきは助手席へと移動した。
「さて寮まで戻るとするか…時間は何とかなりそうだな」
あずき「プロデューサーも結局甚平のままだねっ」
「免許証と鍵はちゃんと持ってたし、運転には支障なかったからな」
あずき「そっかー。でもさすがに靴なんだねっ」
「草履で運転して捕まったら何も言い訳できないぞ」
あずき「そこだけ違和感凄いもんねー」
「それは仕方ないさ。…あれ?そういえば明日って柚は事務所来ないよな?」
あずき「さっきのっ?明日はあずきが泊まりに行く日なんだー。明後日がラジオだからっ」
「なるほど…毎週生放送だもんな」
あずき「最初は毎週当日に行ってたけど、電車とか急に何があるか分かんないんだもん」
「本当はあずき達の方も忍達と同じ2週に1回生放送の予定だったんだけどな」
あずき「あずき達は毎週生の声を伝えたい…ってわがまま言っちゃったんだよねー」
「それに関しては今後あずき達に任せるよ」
あずき「うんっ!」
「あ、そういえば忘れてたな。俺からの誕生日プレゼント、そこのとこに入ってるから開けてくれよ」
あずき「え?えっと、これだよねっ?」
パカッ
あずきが助手席側のダッシュボードを開けるとそこには小さな紙袋が一つ入っていた。
バタンッ
「…恥ずかしいからさ、それは帰ってから開けてな。俺なりにあずきに似合うと思ったものを悩んで選んだからさ」
あずき「…ありがとっ…中身は…なんとなくだけど分かったよ」
「…触っただけで分かったのか?」
あずき「これでもっと…あずきはセクシー大作戦すればいいんだよねっ!」
「…ああ。最初のファンをこの一年で悩殺できるように頑張るんだぞっ」
あずき「もー、本当はあのチャイナドレスの時にドキッとしてたのは知ってるんだからねー」
「そ、そんなことはないぞ…」
あずき「あー、顔赤くなってるー」
「そう言ってるあずきもだからな」
あずき「うう…もープロデューサーなんて知らないんだからっ!ばかぁーっ」
ポカポカポカポカ
「痛い痛い痛い痛い、あずきもそんな叩くなって……」
そんな他愛の無い会話をしながら二人は仲良く寮のある事務所へと帰っていった…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの14本目。誕生日SSシリーズのあずきです。
浴衣はありきたりなのであえて甚平っていうのもアリかなと。浴衣の日ではあるらしいですけど。
Happy Birthday! Azuki MOMOI!!
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2016・07・07THU
飛神宮子
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