We are dreaming of that(いつか夢見てるから)

「今年も結局誰にもあのお仕事来なかったネー」
穂乃香「どれくらいの人がやられているんでしたっけ?」
あずき「確かプロデューサーさんが何か言ってなかったかなー?」
「そういえば言ってたね。確か4分の1くらいだって言ってた気がする」
ある日のこと、フリスクの4人はアイドルルームで他愛も無い話に花を咲かせていた。
穂乃香「4分の1ということは40人くらいでしょうか」
「4人に一人だったらアタシ達の誰かがやっててもいいのにー」
「確か秋口にも枠少ないけどあるんじゃないっけ」
あずき「今度こそプロデューサーが取ってきてくれればいいねっ」
「じゃあじゃあ、みんなはどんなのしてみたいのカナ?」
穂乃香「そうですね…」
あずき「穂乃香ちゃんはぴにゃ禁止でっ」
穂乃香「えっ…」
「まあ当然だね。穂乃香ちゃんはぴにゃ柄のドレスって言いかねないし」
「んー、それじゃあ誰からっ?」
あずき「あずきからでいいかなー?」
「いいよ。あずきちゃんはどんな感じにしてみたい?」
あずき「あずきはやっぱり洋式かなー」
「実家が呉服屋だからだよネ?」
あずき「うんっ。和服は実家で見慣れちゃってるから逆にやりたくないって思ってー」
「それは分かるかも。じゃあ洋式だけど、あずきちゃんの家からしたら結構な人呼びそうだよね」
あずき「そんなことないよっ。学校での友達とか同じ担当プロデューサーのアイドルとか番組でお世話になってる人くらいじゃないかな?」
穂乃香「ご実家が伝統的なお店ともなると、どんな方がお相手になるんでしょうね」
あずき「あずきもそれはまだ分かんないかなー。だって今はこんな職業になっちゃってるしっ」
「やっぱり親とかには何か言われてるのカナ?」
あずき「それはちょっとあるかなっ。今はまあ自由にしててもいいけどとかねー」
「あずきちゃんってこんな感じでも良いところのお嬢さんだもん、勝てないよ」
穂乃香「確かに私たち四人の中では…」
あずき「そ、それならっ穂乃香ちゃんだってバレエやってたでしょっ」
穂乃香「バレエはそういうのは関係ないですよ。趣味で行なうものですから」
あずき「うーっ…」
「それでどういうのやりたいのー?」
あずき「でもそう考えるとある程度の人は呼ばなきゃなのかなー」
「あずきちゃんの家くらいだと親が結構な知り合いを呼びそうだよね」
あずき「そうなるときっとホテルの広間とか大きな結婚式場とかになっちゃうのかなー」
穂乃香「相手の方もやはりある程度呼ぶとは思いますので、きっと大きな会場でしょう」
あずき「本当は全部ウェディングドレス大作戦したいけど、最初は和装になるかもねっ」
「親の顔を立てるとそうなるかもしれないね。でもお色直ししたらドレスかな?」
あずき「一生に一回だもんっ、親が何て言っても絶対に着たいっ!」
「それはそうだよ。それくらいはわがまま通していいんじゃない?」
「アイドル活動で着たとしても、それは別問題だよネ」
あずき「そうそうっ。あとは柚ちゃん達三人に進行任せちゃおうかなっ」
穂乃香「私たちよりもこの346プロは適任の方が多そうですけど…」
あずき「あーそっかぁ。確かに柚ちゃん達は友人代表で居てもらいたいし…」
「もしアタシ達誰が結婚してもそうなりそうだよね」
「友人代表スピーチはやっぱり忍チャンかな?」
「ええー、アタシっ!?」
「だって穂乃香チャンだと真面目過ぎそうだし、アタシやあずきチャンだとフランク過ぎちゃうよ!きっと」
「もうそういう時は三人でやればいいでしょっ」
あずき「忍ちゃんの時は大変そうだねーっ」
穂乃香「確かにこういう時に忍ちゃんがいないのは不安があるかもしれません」
「そういう忍チャンはー?」
「アタシ?アタシかあ…アタシの家は普通だもん。普通にこじんまりと挙げるのかなあ」
あずき「そこはどうなの?穂乃香ちゃん。忍ちゃんの家に行ったことあるのって穂乃香ちゃんだけだよねっ」
穂乃香「そうですね…親御さんも良い方ですよ」
「きっと親戚と友達だけ呼んでって感じになると思うよ」
「何か忍チャンの旦那サンになる人ってしっかり物っぽい気がするカナ」
あずき「んー、逆に忍ちゃんが養ったりしてねーっ。この人はアタシが守らなきゃって感じでっ」
「言われるとあずきちゃんのが否定できないかも…自分でも案外引っ掛かりそうな気がしてきたよ…」
穂乃香「しっかりした人の時は籍だけ入れるということもありますよね」
「んー、それは嫌だなあ。さっきも言ったけどせめてウェディングドレスは着たいなって」
「もし来年とかお仕事の衣装で着れたらどうする?」
「やっぱりそれはそれだよ。結婚式って憧れるものだもん」
あずき「だよねーっ」
穂乃香「私やあずきちゃんもそうですが、忍ちゃんの場合そうなると難しいのは場所ですね」
「えっ?」
あずき「あー、そっかー。どんな所でやるかっよりもどこでやるかって考えなきゃっ」
「それもそうだね。どこの人と結婚するかで決まるけど、遠くだと厳しいかなー」
「なるほどー。遠くの出身だとそういう苦労もあるんだネ」
「今でこそ新幹線があるけどさー、やっぱり東京までが呼べる限界かな」
穂乃香「柚ちゃんはその点は安心ですね」
「まあねー」
あずき「そういう柚ちゃんはどうかなっ?」
「アタシ?アタシも友達と親戚呼ぶくらいカナ。あっ、そうだっ!」
「ん?」
「あのガーデン形式っていいカモ。ああいうの憧れるナー」
穂乃香「柚ちゃんらしいですね。晴れた庭で爽やかな風と日差しの中でって似合ってると思います」
あずき「そういう青空の下で最後は一緒に鐘を鳴らすとかねっ」
「そんな感じのとこでみんなでワーッてやってみたいっ」
「あー、何か想像できるなあ。柚ちゃんは建物の中でやるのは教会で誓いの儀式くらいな気がする」
「きっと退屈するかと思うし、それなら楽しい方がいいモンっ」
あずき「みんなシャンパンとか持って、立食形式で色んな人と談話してー」
「柚ちゃん自身もその場には留まってなさそう」
穂乃香「皆さんと色んな人のカメラに撮られに行ったりとかですか?」
「あー、それ絶対にしてると思うヨ」
「逆にチャペルでの誓いの儀式の時はガチガチに緊張してそう」
あずき「それって誰でも緊張するんじゃないかなー」
「でもそれ以上に参列してるアタシ達が緊張してそうだよね」
穂乃香「そうかもしれません。こういう場所だと特にそうなるかと思います」
あずき「柚ちゃんの場合だと普段と180度違いそうだからねー」
「でもその後のこと考えて、案外気楽にやってるかもヨ」
「それもあるかー。そんな柚ちゃんの相手になる人は大変かもね」
「えーっ、こんないい子なのにー?」
あずき「真面目な人…は違うよねー。でも確実に波長が合う人ってことになりそうかなっ」
「分かるなー。ノリが合う人じゃないと柚ちゃんの場合はきつそうだね」
穂乃香「それは誰であっても相手として大事なのでは…?」
あずき「そう言う穂乃香ちゃんはどうなのっ?」
「穂乃香ちゃんは…意外と想像つかないかもしれない」
あずき「あの緑のは別にすると、結婚式も相手も考えるのが難しいねー」
「穂乃香チャン自身は何か希望ってあるのカナ?」
穂乃香「そう…ですね…」
結局のところ最初に言われた『ぴにゃ禁止』は5分も経たずに崩れ去ったのは言うまでもなかったという…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの13本目。
よくよく考えると実はこの4人は誰一人衣装として着ていないんですよ。
一人一人理想のものは違うことでしょう。あ、穂乃香は本文の通り想像が難しかっただけです、はい。
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2016・06・30THU
飛神宮子
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