Under the Mantle of May's Night(五月の夜の帳の下で…)

5月最後の土曜日、まだ5月だというのに初夏を感じさせる暑さの日でした。
穂乃香「柚ちゃん、まだこの教科は半分ですよ」
「だってー、テスト範囲広すぎなんだもーん」
「さっきからそればっかりじゃんか。それはアタシ達に言わないでって」
あずき「高校になってから急に難しくなったもんねっ!」
「そう言うあずきチャンだって進んでいる様子が無いんだケド?」
あずき「ううー、だってーっ…忍ちゃんここ教えてー」
「ここが違うんじゃない?この形容詞はそっちに掛かるんだって」
あずき「あーもう面倒だよー」
柚ちゃんはあずきちゃんと一緒にラジオ終わりで寮に来ました。
「勉強を教えてって言ったのは柚ちゃんとあずきちゃんの方なんだから」
穂乃香「そろそろ紅茶を淹れますね、それともコーヒーの方がいいですか?」
「アタシはコーヒーお願い、穂乃香ちゃん」
「穂乃香チャン、麦茶ってあるー?」
穂乃香「みんな来るからちゃんと冷やしてありますよ」
あずき「あ、あずきはー緑茶が欲しいなー」
穂乃香「緑茶は…ちょっと近くの部屋の方からもらってきますね」
ガチャっ バタンッ
私は近くの方の部屋へ緑茶をもらいに行くことにしました。
穂乃香「持ってそうなのは…この時間、食堂は開いてませんし」
談話スペースに私の答が待っていました。
菜帆「あら穂乃香ちゃんこんばんは〜、穂乃香ちゃんも食べます?」
そう言いながら菜帆ちゃんは小さなお饅頭を差し出してくれました。
穂乃香「こんばんは菜帆ちゃん。頂きたいのですが…部屋で人を待たせてまして」
美由紀「そうなんだー」
菜帆「何人ですか〜?せっかくですからどうぞ」
穂乃香「それは悪いですよ菜帆ちゃん」
菜帆「いいんですよ〜」
美由紀「穂乃香ちゃん、いっぱいあるからいいよー。これいっぱい過ぎて困ってたんだもんねー」
菜帆「ですよね〜」
穂乃香「それならば、私の分を含めて4つ頂けますか?」
美由紀「はい、穂乃香ちゃんっ」
穂乃香「ありがとうございます。それと悪いのですが、緑茶を頂けませんか?ちょうど自分のを切らしてまして…」
菜帆「緑茶ですか〜?そこのポットの脇の茶筒が私のなんで、そこからどうぞ〜」
穂乃香「それではそちらも頂いていきます」
私は持ってきた急須に茶葉を入れました。
穂乃香「では失礼します。色々とありがとうございました」
美由紀「またねー」
菜帆「うふふ、またです〜」
ガチャっ バタンッ
あずき「おかえりっ、お茶はどうだったー?」
穂乃香「はい、そちらの談話スペースに居た菜帆ちゃんに頂いてきました」
「その手に持っているのは?」
穂乃香「おまんじゅうもおすそ分けしてもらったんです」
「おおっ、これは脳に糖分補給の時間カナ?」
あずき「この後またさらに食べるのに?」
穂乃香「えっ?」
「ああ、何でもないって。そういえばさっき持って来てたね」
「確かにそこ通った時に美由紀チャンと座ってたー」
あずき「まずはそれを頂いてから続きだねっ」
穂乃香「皆さん大丈夫ですか?あまり根詰めすぎるのも身体に毒ですけれど」
時刻はいつの間にか夜10時を回っていました。
「アタシと穂乃香ちゃんは今日は収録だったけど、二人は通常放送だったんだしさ」
「まだまだ大丈夫ダヨ」
あずき「柚ちゃんはあとどれくらい?」
「アタシはあと1教科カナ?明日ちゃんと遊びたいし今日中になんとか片付けたいヨ」
「穂乃香ちゃんは?」
穂乃香「私はもう確認するくらいですから。忍ちゃんもですよね?」
「うん。今日は二人が来るまで一緒にやってたからさ」
あずき「あずきももうあと次の1教科だけだから、明日は何とか時間取れそうだねー」
穂乃香「あずきちゃんに柚ちゃん、明日はどこか遊びに行くんですか?」
柚・あずき『へ?』
穂乃香「えっ…?」
柚ちゃんとあずきちゃんがキョトンとしてます。何か私、おかしなことを言ったでしょうか…?
「まあ穂乃香ちゃんがこうならそれでいいんじゃないかな。ほら、食べたら続きするよ」
「ソウダネー。穂乃香チャン…じゃなくてこれは忍チャンの方がいいカナー」
「ん?どれどれ…」
あずき「じゃああずきは今度は穂乃香ちゃんに教えてもらおうっ」
穂乃香「は、はい。何でしょうか…?」
………
それから約2時間でしょうか。時計の針もてっぺんを回る頃でした。
あずき「とりあえず終わったーっ」
「あずきチャンも終わったみたいダネ」
穂乃香「もうこんな時間ですか。えっと柚ちゃんは今日は誰の部屋でしたっけ?」
「今日はあずきちゃんの部屋だよね」
あずき「んーっ!そろそろ寝よっかー」
「そうだねー。明日は早いカモだし」
あずき「あ、ちょっと部屋に一度行ってくるねーっ」
「この部屋に持ってきたい物もあるからネ」
「もう廊下暗いかもだから気を付けてね」
ガチャっ バタンッ
柚ちゃんとあずきちゃんは一緒に私の部屋を出て行きました。
穂乃香「え?もう遅いですし、部屋に帰るじゃないんですか?」
「もしかして…本当に気が付いてないの?」
穂乃香「わ、私がでしょうか…」
「柚ちゃんが来たのはこのためでもあるのにさ」
ガチャっ
その戻ってきた二人の手には…
柚・あずき『♪ハッピーバースデートゥーユー ハッピーバースデートゥーユー』
穂乃香「………あっ………」
私は自分の勘の悪さをこの時ばかりは恨みました…
「ハッピーバースデー ディア穂乃香〜」
あずき「(…あれ?今ちょっとっ…)」
「(これは後で追求だネっ)」
三人『ハッピーバースデートゥーユー♪  おめでとーーー!!』
穂乃香「忍ちゃん…柚ちゃん…あずきちゃん…ありがとうございます………!」
こうやって祝ってもらえるなんて…幸せ者ですよね。
「ほら、さっき『またさらに食べる』ってあずきちゃんが言ってたでしょ」
穂乃香「わぁ…これって特製ですよね?」
二人が持って来てくれたのはぴにゃこら太の形をしたケーキでした。
「よーし、ローソク点けて消してもらったら食べちゃおうネ」
穂乃香「このケーキを食べちゃうのはちょっとかわいそうですけど、せっかくのケーキですからね」
あずき「それじゃあろうそく点けるよっ」
………
ケーキは4人であっという間に無くなってしまいました。
「ところでさー、忍チャン」
「ん?」
あずき「さっきのハッピーバースデーで穂乃香ちゃんのこと呼び捨てにしてたよねー」
「…えっ!?そ、そうだった!?」
「んー、どういう関係なのカナー?」
「な、なんでもないってば。そうだよね、穂乃香ちゃん」
穂乃香「それは…忍ちゃんと私はそれくらいの関係のような…」
「穂ー乃ー香ーちゃーん…天然も大概にしてよ…」
あずき「こ、これは予想以上かもしれないー」
「これは明日…じゃないね。今日のお買い物の時にじっくり聞こうね、あずきチャン」
あずき「そうだねー、柚ちゃん」
4人でのショッピング…それはとても楽しかったですよ。
だけど買っていただいた誕生日プレゼントと引換えに…でもそれもいい思い出かもしれないです!
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの12本目。
今月は穂乃香の誕生日SSです。穂乃香の場合は自分のこと忘れてそうですよね。
5月の子だと以前は伊織と双海姉妹、今は自分+αと穂乃香の2本あるんで結構悩むんですよ。
Happy Birthday Honoka AYASE!!
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2016・05・29SUN
飛神宮子
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