Abditory(秘密の場所)

11月の3連休の土曜日、ここはとある少し大きめのライブホール。
穂乃香「少し緊張してきました」
「土曜日にこうして揃うのは始める前以来だね」
あずき「さああずき達の大作戦開始っ!」
「会場も盛り上がってるね。トラブルが無く進めばいいけど…」
「もう忍チャン、そんなこと考えちゃだめだよ。こういうのは気楽にいかないとさー」
穂乃香「皆さん、もうすぐ始まるようですよ」
「うん、頑張ろうか。やるだけのことはやってきたんだしさ」
あずき「よしっ、みんなー、行くよーっ!」
ワーーーーーーー
穂乃香・忍『フリルド!』
観客『ネットワーク!!』
柚・あずき『フリルド!』
観客『クロッシング!』
四人『せーのっ!』
全員『公開生放送スペシャル!!』
♪〜
パチパチパチパチパチパチ
穂乃香「皆さんこんにちは、綾瀬穂乃香です。会場は凄く盛り上がってますね」
「そうだね、工藤忍だよ。今日はフリスクの二つのラジオ番組合同の公開生放送です」
「こんにちはー、喜多見柚だぞ。150人くらいのリスナーのみんなと一緒にお送りしているよっ」
あずき「今日はみんなで楽しいラジオ大作戦だねっ、桃井あずきだよ」
穂乃香「それでここは本当にどこなんでしょうね」
「本当にどこなんだろう、私たちもどこの県でやってるかくらいしかしらないんだよね」
「たぶんどうしてかな?ってラジオの前のリスナーのみんなは思っているよね」
あずき「今日はラジオ公開生放送のツアー大作戦っだったんだよ〜」
ワーーーーーーー
「この会場までミステリーツアーみたいに連れてこられたんだよね」
穂乃香「応募された方は募集の際に集合場所の選択があったので分かるかと思いますが、そこからバスでこの会場までやってきたんです」
「アタシとあずきチャンは埼玉からだよ。埼玉組のみんなー大丈夫かなー?」
あずき「あずき号と柚ちゃん号の2台でね、みんなアイマスクしてたの見たのはびっくりしたよっ」
「アタシと穂乃香ちゃんは宮城からだったんだ。結構長旅だったね」
穂乃香「忍ちゃん号と私穂乃香号の2台をこちらに向けて走らせて頂きました」
「しかもみんな位置情報が分かるスマホとかを回収されちゃってるんだよね」
穂乃香「この番組が終わるまでの辛抱ですから、あと少し我慢してくださいと先ほどスタッフの方が言われてました」
「今回は本当に場所が漏れないようにってね、ここまで徹底するなんて思わなかったよ」
あずき「そういえばみんなバスの中とかどうだったのー?」
「アタシはサイン会したりアタシ達の曲を歌ったりだったカナ」
「アタシはちょっと面白いことしてたよ」
穂乃香「どんなことしてたんですか?」
「みんなアタシの趣味を知ってたみたいで、みんな色んなオマケをくれたんだよ」
あずき「そっかー、あずきは趣味が金魚すくいだからそういうのはできなかったなっ」
「あずきチャンは何してたの?」
あずき「あずきも基本的には柚ちゃんと一緒だよ。ただちょっとしたゲームとかもしてた」
「それで穂乃香ちゃんは?」
穂乃香「私は、その…秘密です」
「あー、ずるーいっ」
穂乃香「そ、そんなことより時間がありませんよ、コーナーもやらないとですから」
「あっ…そうだね。ではこの番組は東北地方の○○○系列全6局と」
「北関東と信越のラジオ局6局をネットしてお送りするねー」
穂乃香「今日ですがFAXはお休みでメールのみの受付けになります」
あずき「メールはいつものあずき達や忍ちゃん達の番組のメールアドレス、どっちでも大丈夫だからねっ」
「今日のテーマは秘密にしてたこと、秘密にしてることでメール待ってるよー」
穂乃香「それでは今日のコーナー紹介です。今日は午後1時までたっぷり2時間お送りします」
「まずはアタシのコーナー、『忍コレクション』だよ。今日はさっきもらったコレクションの中からも紹介できるかな?」
あずき「その次はあずきの、『救いの女神A』っ。今日は4人でみんなの悩みを救っちゃうよ」
穂乃香「そして私のコーナー『アン・ドゥ・トロワ』をお送りします。皆さんの何でもベスト3、今日も既に色々頂いています」
「最後はアタシの『シャトル・ハート』だね。今日はいつもの二人だけじゃなくて忍チャンや穂乃香チャンにも演じてもらうよー」
「はい…ってええっ!?アタシ達も!?」
あずき「もちろんだよっ。あずき達、いつも恥ずかしい想いしてるもんねー」
「ねー」
穂乃香「あのコーナー、何度か録音で聞きました…諦めた方がいいみたいですね…忍ちゃん」
「そうみたい…うん。頑張ろう」
穂乃香「はい、では参りましょう。まず最初のコーナーは…」
 
「エンディングだよ〜っ」
えーーーーーーー
「みんなお決まりの『えー』をありがとっ」
アハハハハハハハ
穂乃香「来週ですが、私達のフリネットは生放送の翌週ですので収録放送になります」
あずき「それであずき達のフリクロも収録放送にすることになったんだよね」
「フリクロは確か初めてなんだっけ?」
「そうだねー、この後に食事を兼ねた休憩を挟んで次もこの会場からお送りするよ」
穂乃香「今日の分だけじゃ勿体無いですから…皆さーん、まだまだ大丈夫ですかー?」
ワーーーーーーー
あずき「うん、大丈夫そうだっ。収録大作戦も盛り上がっていくよー」
パチパチパチパチパチパチ
穂乃香「今日は生放送のネットにご協力いただいたFM○○○○さんとFM××××のスタッフの皆さん、ありがとうございました」
忍・柚・あずき『ありがとうございましたー』
「これでどこの県が会場だったかは、みんな分かっちゃったねー」
穂乃香「はい、でもおかげさまで楽しい放送をお送りすることができたと思います」
あずき「穂乃香ちゃん、真面目だねっ。あずきも穂乃香ちゃんや忍ちゃんの新たな一面が見れて良かったなー」
「アタシも、あずきちゃんや柚ちゃんが普段そんなことやってるんだってびっくりしたよ」
「いやー、穂乃香チャンのあのセリフは永久保存物ですなあ…ナンチャッテ」
穂乃香「あう…あれはもう忘れてもらいたいです…」
「でも別の一面が出せたんじゃないかな、穂乃香ちゃんそういうのも出来るってことが見せられたってことでね」
穂乃香「忍ちゃん…はい」
あずき「忍ちゃんに穂乃香ちゃん、いい雰囲気のとこ悪いんだけどエンディングの時間だからねっ」
「うんうん。本当に二人は最初に組んだ二人だから、よくそういう風になっちゃうんだよねー」
「えー、そうかな?柚ちゃんとあずきちゃんだって最近あったよね…ね?」
あずき「う…その件に関しては黙秘させてもらうよっ」
「そーだそーだー」
穂乃香「皆さん、そろそろ締めの時間だと番組のスタッフさんが言ってますが…」
「そうみたいだね。今日は本当に面白かったよ、お相手は工藤忍と」
あずき「今日の生放送大作戦は大成功だったね!桃井あずきとーっ」
穂乃香「皆さんにこうしてお会いできて良かったです、綾瀬穂乃香と」
「こんな楽しいならまたやりたいねっ、喜多見柚でお送りしましたっ!」
「今日は締めのセリフはいつものをちょっと変えていくよ…ってアタシからだった」
あずき「もう、忍ちゃんー。はいっ」
「6つの場所を丸く繋げて…」
「6つの場所からみんながクロス…」
あずき「クロッシングとネットワークで…」
穂乃香「みんなを結んで繋げます!私たち…」
四人『フリルドスクエア!!!!』
♪〜
穂乃香「みなさんお疲れ様でしたー」
パチパチパチパチパチパチ
「それじゃあまずはみんなから預かったものをお返しと、お弁当配布と一緒に握手会だね」
「4人ずつ号車と番号で呼ぶから、待っててね」
穂乃香たちが呼びかけている間にスタッフと業者がステージへと運び入れていく。
あずき「お返しと同時に場所とかの情報発信は解禁するんだよね」
穂乃香「はい、スタッフの方によると本当に外には漏れていないみたいです」
「うわー、監視とかしてたのかな?はい、準備ができたようなのでそれでは始めたいと思います」
「受け取った人から自由時間にしてねー、2時半から番組収録だからそれだけは約束ダゾっ」
あずき「穂乃香ちゃんが機器の番号確認、忍ちゃんが返却係、あずきがお弁当、柚ちゃんが飲み物の配布だよっ」
穂乃香「呼ばれた方は皆さんから見て左側からステージの方にお願いします。ではまず最初の4人です…」
………
穂乃香「戻ってないという方はいらっしゃいませんか?…………はい、ではまた2時半にお会いしましょう」
その穂乃香の言葉で4人はようやくステージからはけて行った。
 
「ふう…みんなおつかれー」
楽屋の部屋へと戻った4人。
「やっぱりいつもの倍だもん、疲れたーっ」
穂乃香「そういえばここってどこなんでしょう?」
あずき「ええっと、あずきのスマホは…あった。ちょっと調べてみるね」
スマホを操作してみるあずき。
あずき「お、あずき達の番組のツイートによると…○○県××市の△△△△△会館だって」
「へえ、全然知らないよ。何でこんな場所になったのかな?」
「どうかなぁ?でもでもまずはご飯食べよっ。アタシお腹が空いちゃってるモン」
穂乃香「そうですね、時間もそれほど無いですし後でプロデューサーに聞きましょう。では…」
四人『いただきまーす』
 
「そういえばさ、穂乃香ちゃんはバスの中で何してたの?さっき秘密にしてたけど」
穂乃香「実は…皆さんからぴにゃグッズをもらったり、歌とか同じようなことはしていたんです。でも…」
「でも?それからどうしたのカナ?穂乃香チャン」
穂乃香「サービスエリアでの休憩の出発前に、皆さんに見たいと言われてアレを披露してしまいました」
あずき「アレってもしかして…アレだよね?」
穂乃香「はい…今日はズボンで本当に良かったと思ってます」
「穂乃香ちゃんのとこもアタシのとこも半分以上男の人だったよね」
穂乃香「とてもじゃないですが、恥ずかしくてあの場では言えませんでした」
「なるほどねー。でもみんな一生の思い出になったんじゃないカナ」
あずき「そうだよ、アイドルが目の前で披露してくれるなんてきっとみんな目の保養になったよっ」
「それで笑顔になってくれたのならいいんじゃないかな?」
穂乃香「そう…ですね。あ、そうです!忍ちゃん、そろそろ再来週分のテーマ決めないと」
あずき「あずき達も生放送じゃないからもう決めないとかなー」
穂乃香はの表情も苦笑いから少しずつ微笑みへと変わっていっていた…
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あとがき
飛神宮子です。
(何となく)月刊フリルドスクエアの6本目。3作目で予告したラジオです。
こういうのって現代ではどこまでシークレットにできるものなのでしょうかね。
穂乃香がやったことですか?バレエのI字バランスですよ。
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2015・11・29SUN
飛神宮子
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