Peculiarity(独特なもの)

「そういえば穂乃香ちゃん、この曲知ってる?」
♪〜
忍はあるフレーズを口ずさんだ。
穂乃香「…んー、そうですね。何となくどこかで聞き覚えがあるような気がします」
とある日の事務所。オフだったフリスクの4人は自分たちの担当P用のアイドルルームにいた。
「え?あずきチャン知ってる?」
あずき「あずきは知らないかなっ。全然聞いたこともないよ」
「やっぱりアタシと穂乃香ちゃんしか知らないんだね」
穂乃香「おそらくそうなのでしょうか。それにしても何の曲だったかが思い出せなくて」
「アタシもCMソングだったくらいしか分からないんだけど」
「それって東北地方限定ってことカナ?」
あずき「たぶんそうだよね…あれ?でもそういえば何かそっちで誰か反応していた気がするよっ」
穂乃香「あちらにいるのは…都さんと椿さん、頼子さんとマキノさんでしょうか」
「試しにもう一回歌ってみたらどうカナ?」
「ええーっ、まあいいけどさぁ」
♪〜
忍はもう1度口ずさみ始めた。
あずき「忍ちゃんストップ!」
「えっ!?」
♪〜
忍が歌うのを止めた後も誰かが鼻歌を歌っているようだ。
「あの4人の誰かが続きを歌っているみたいだねー」
………
♪〜
マキノ『椿さん、その曲は?』
椿『この曲ですか?フフフ、あちらにいる忍さんに釣られてつい…』
頼子『穂乃香さんも知っているようですね』
『あの二人ということは、東北に関係する曲ですねっ』
マキノ『あら、でも椿さんは東北の出身ではないわね』
椿『私の出身地に関係もしている曲ですから』
頼子『…確か椿さんの出身は日本海側でしたね』
『ふむ、これはなかなか謎ですね』
………
「向こうの話からすると椿サンカナ?」
あずき「そうみたいだねっ、確か椿さんは…」
穂乃香「どちらの出身でしたっけ?」
「その様子だと柚ちゃんは知ってるんだよね?」
「だって、アタシ達のラジオの方の範囲のアイドルだからねー」
あずき「そうだったそうだった。どうしてか名前を何回も言ってた気がするよっ」
そこに…
コンコン ガチャっ
沙織『失礼します、風香ちゃんこっちに来てながったですかね?』
マキノ『あら、どうしたの?風香さんはこっちには来てないけど』
沙織『マキノちゃんのとごに書類持っていぐ言って出てったんですけど、電話持っていってねぐて捕まんねーて』
マキノ『そうね…来たら私から連絡入れるわ』
沙織『そうしてもらえるとうれしいべさ…何だかさっきから懐かしい曲がわだすの耳に聴こえてきます』
椿『もしかして…私の鼻歌の曲ですか?』
沙織『その曲、大曲の花火大会でも流れるからわだすにとっては夏の曲だわ』
椿『そうなんですか。そういえば沙織さんも東北の方でしたね』
沙織『だけんどもどうしてその曲知ってるんです?この曲は確か東北電力だけの曲だったはずだべ?』
椿『私の地元も東北電力ですからこの曲のCMも流れているんですよ』
沙織『はあ、そうだったべか。確か椿さんとこは…』
………
「椿さんはそっちの担当で東北電力ってことは…端っこの新潟だったかな?」
穂乃香「そういえば東北電力は東北だけでは無かったんでしたね」
あずき「そういうことだったんだっ。でも地元限定って結構あるよねー」
「確かにアタシは十万石饅頭のあのフレーズがみんな知っているって思ってたモン」
あずき「あ、そういえば確か聞いたことがあるんだけどっ…焼きそばにワカメスープって言えば?せーのっ!」
穂乃香・忍「「焼きそば○○○○○!」」
「えっ!?聞いたことはある気がするけど…」
「柚ちゃん知らないの?ワカメスープって言ったらね、穂乃香ちゃん」
穂乃香「私はカロリー制限とかでほとんど食べたことは無いのですが、CMはたまに見ていましたので」
あずき「あずきも実際はそこまでよく分からないんだけど、東北と信越だけの販売なんだって」
「それじゃあアタシだけが知らないって話じゃないかー」
穂乃香「私たちは基本的にはラジオの組で分かれしまいますから」
「確かに2・2に分かれることはあっても県単位じゃなくて1人だけ違うってのは珍しいかもね」
「そうかも。ここだとあずきチャンだけが北陸新幹線沿線だったり」
あずき「でも柚ちゃんのとこ両方通るよねっ」
「エヘヘ、まあそうなんだけど。あー…もう一つだけアタシだけ違うの思い出しちゃったカモ」
穂乃香「何でしょう?柚ちゃんだけ違うことって…」
あずき「利き手は違うよね。確かこれもあずきたち2・2で分かれるはずだもん」
穂乃香「あずきちゃんと私が右利きで…」
「柚ちゃんとアタシが左利きなんだよね」
「だからあのグラビアはバランス良く撮れたんだったよね」
あずき「撮影の時に利き手の方を上げたのってそういうことだったんだー、実はあずき知らなかったかも」
穂乃香「元々は私とその次の忍ちゃんの撮影の時にそうなったのがきっかけ…だったんでしょうか」
「でもこれじゃないってことは…なんだろう?」
あずき「それって前に何かで話したことあったっ?」
「何かの番組で話したカモ。詳しくは覚えてないなー」
穂乃香「そういえば何か薄っすら記憶があるような気がします。クイズ番組のVTR収録でしたでしょうか」
あずき「あーっ!思い出したっ。柚ちゃんだけ血液型が違うっていうことでしょ?」
「正かーい。正解者のあずきチャンには10ゆずポイント差し上げまーす」
「それって何かに使えるの?でも去年の夏くらいにあったね、確か柚ちゃんだけBだっけ」
「そうだよー。柚チャンはみんなと違ってB型で偶数の月偶数の日産まれなんだぞ」
あずき「何だか柚ちゃん、唯一多すぎっ」
「うう…アタシだって好きでこうなったわけじゃないモン…」
柚はいじけ始めてしまった。
あずき「もう柚ちゃん…」
ぎゅうっ
ソファで隣に座っていたあずきが柚のことを優しく包み込むように抱きしめた。
あずき「ゴメンっ…あずきの発言はちょっと言い過ぎちゃった」
「ううん…でも暖かい…ありがと、あずきチャン」
「何だろう…あの世界はちょっと近寄れない感じになってるし」
穂乃香「あのままにしておいた方が良さそうな気がしますね」
「うん。私達はお茶を入れてこようか、もう冷えちゃってるから」
穂乃香「そうですね…柚ちゃん、あずきちゃん、ちょっと行ってきます」
「次は何にしようかな、穂乃香ちゃんはどうする?」
穂乃香「私は紅茶にしようかなって。あの粉レモネードを1すくい入れると無糖のレモンティーになっていいんですよ」
「やっぱりちょっと酸っぱい?」
穂乃香「あの酸味がレモンティーって感じで…」
そんなことを話しながら忍と穂乃香は4人分のカップとともに給湯室へ向かうために向かいのソファから立ち上がった…
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あとがき
飛神宮子です。
(何となく)月刊フリルドスクエアの5本目。その地方独特のものってありますよね。
忍が口ずさんでいたのは「元気ですか」という河島英五さんの東北電力のCMソングになった楽曲です。
焼きそばは分かる人は分かったと思いますが「焼きそばバゴォーン」のことです。
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2015・10・31SAT
飛神宮子
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