We Understand Each Other(分かりあえる人)

徐々に季節の風が涼しくなってきた頃のこと…
「…ったく、何だよ急に」
健太郎はぶつぶつ言いながらHONEY BEEへと歩みを進めていた。
「まあ後で蹴り飛ばされるよりもマシか」
何だかんだでその口調は諦め半分喜び半分である。
「はあ…今日は何に付き合わされるんだか…」
そのまま健太郎は店へと入っていった。
 
「結花ー、来たぞー!」
「いらっしゃい、健太郎」
「で、用件は何なんだ?いったい」
「ああ、まずはこれ食べて」
目の前に何やらサンドイッチが出された。
「食っても大丈夫なものだよな?」
「そう…健太郎は私に蹴られたいと」
「食べます」
「大丈夫だってば、毒なんか入ってないから」
パクっ
「ん?どうした?こんな甘いの作って、太るぞ」
「アンタは一言多いっ!」
バキャッ
座っていたところの後頭部を蹴られる健太郎。
「…準備動作の無い蹴りは反則だろ…」
バタッ
当然の如く机へと突っ伏すことになった。
「新メニューとして考えたんだけどどう?」
「男の俺に言わせると、もう少し甘さを控えた方がここのコーヒーには合うと思うぞ」
「やっぱりそうよね、分かってたんだけど一応聞きたかったから」
「何だ?俺は新メニューのために自分の店を休みにして来させられたのかよ」
「ふーん、じゃあ昼ごはんはいらないと。まあ私はいいけど」
「いや、家に帰ればいくらでもあるからな」
「せっかくアンタのために色々用意したのに」
「じゃあ貰っとく」
「じゃあって何よ、じゃあって」
「ほら、次の出せよ」
「ん。まあ今日はこれだけじゃないから」
「まだ何かあるのかよ…ったく」
「今日は近くで2軍戦があるから、ついてくるでしょ?」
「…ついてこなかったらお前の蹴りが飛んでくるのは目に見えてるからな」
「だからまずは時間もあるし、こっちを片付けて欲しいのよ」
「分かったから早く持ってこいって」
「今持ってくるからとりあえずそれは横に置いといて」
 
試食タイムも終わって…
「しっかしこんなに食わせるとはな…」
「いいじゃない、昼ごはん代浮いたでしょ?」
「まあな。しっかし料理の腕かなり上がったな」
「調理の方も半分近くやってるし、上がらない方がおかしいじゃない」
「それもそうか、これでどうして貰い手が居ないんだろうな」
「アンタは一言余計!」
ドガンッ
「くっ…だから準備動作の無い蹴りは反則だろ…」
バタンッ
「余計なこと言うからでしょ?」
「こっちの話全部聞いてからにしろって、まったく」
「まだ何か言いたいことでもあったの?」
「無きゃそういうこと言わないだろ」
「そうね、じゃあ言ってみなさいよ」
「ああ。ま、こんな暴力女に貰い手は居ないだろうな」
「…くっ」
とりあえずここは押さえた結花。
「まあそれで貰い手が無かったら、俺が貰ってやるからな」
「健太郎…」
その言葉に顔を紅く染めた結花。
「な、なにバカなこと言ってるのもう」
「これでも長年付き合ってる仲だろって」
「確かにもう大概長いからね、私たちも」
「ま、さっきのは一応本気だからな」
「一応ありがたく受け取っとく」
「それじゃあ行くか、時間は大丈夫なのか?」
「そうね、そんな時間無いしそろそろ出ないとダメかも」
「結花の方は準備は出来てるんだよな?もちろん」
「健太郎が来る前に全部やってあるわよ」
「で…俺はアレ着なきゃダメなのか?」
「もちろんよ」
「…ったく、どうせ着ないと蹴り飛ばされるオチだしな。本当に結花の貰い手は大変だな」
「ほら、つべこべ言わない。着いたらでいいから着てよ」
「ああ、分かってる。ところで店は空けてっていいのか?」
「おじさんは奥に引っ込んでるだけだから呼んでくればいいだけ」
「どうりでずっと居なかったわけだ」
「じゃ、ちょっと奥で用意してくるから店の前に居てよ」
「分かった」
 
試合観戦が終わり、店へと戻った二人…
「相変わらずお前の行った試合の勝率だけはいいな」
「当然でしょ、勝てる相手を選んで見に行ってるんだから」
「そういうことか、納得した」
「でも…今日はありがと」
「ん?」
「アンタの店を休みにさせてまで私のわがままに付き合わせて」
「いいんだよ、こっちだってスフィーをそっちのリアンちゃんに付き合わせたわけだし」
「それで大丈夫なの?そろそろ時間的に危ないんでしょ?」
「こっちが帰る頃には向こうも帰るって言ってたから大丈夫だ」
「でも不憫な身体よね」
「それももう少しの辛抱だってよ」
「そっか、じゃあもう少ししたら二人は帰っちゃうのね」
「そうだな…でもな」
ギュッ
「健太郎!?」
「結花とだったら、寂しくないからな」
「健太郎…うん」
二人の心は静かに繋がっていった…
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あとがき
観飛です。
Leaf系SSは5本目までバラバラになりましたね、今作はまじかる☆アンティ〜クから。
結花は昔から好きだったキャラの1人で、一度は書いてみたかったのです。
ちなみに私は元近鉄ファンなのですが、結花の影響も若干あります。
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2009・09・18FRI
観飛都古
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