Under the Starlit Sky(星空の下で)

「天野、天野ー」
「くぅ…すぅ…」
つんつん
と、水着の胸を少し突いてみる祐一。
「キャッ!相沢さん何するんですか!」
「寝たお前が悪いんだろ?せっかくの沖縄だってのに」
そう、二人は沖縄へと旅行に来ていた。まあ二人だけではなくいつもの面子が揃ってはいるのだが。
「それに二人で星を見ようって言ったのは美汐だろ?」
「そうでした、すみません」
二人以外はみんな腹ごなしに夜の海に泳ぎに出ている。ここは秋子さんが借りたリゾート島なのだ。
「でもゴメンな」
「何がですか?別に謝られることなど無いですが」
「いや、本当は二人だけで旅行するつもりだったのに、金が無くてさ」
「いいんです、その気持ちだけでもう」
「秋子さんにバイトをあまりしないでくれって言われてるからなあ」
「それはしょうがないかと思いますが」
「ま、それでもいいかって最近は思ってるけどな」
「でも…秋子さんの借りたここ、凄いですね」
「ああ、どこから情報を仕入れたかはよく分からないけど…」
「みんなもとても楽しそうで…真琴も嬉しそうでした」
「ああ、栞とか名雪もあゆもみんな楽しんでたな」
「もう一日中泳ぎ通しで…んー…少し疲れました」
「そうだったな。天野の泳ぐ姿、なかなか良かったぞ」
「…ありがとうございます、そう言われると悪い気はしません」
「俺はどうだった?」
「相沢さんですか?そんなに泳いでは無かったじゃないですか」
「そうだけど…ま、そうだったかな」
「でも…かっこ良かったです」
「サンキュ、天野」
「それにしても夜になるとやっぱり静か…でもないですね」
「ああ、みんなまだ泳いでるんだろうな」
「そうみたいですね、向こうがあれほど騒がしいということは…」
「北川がハーレムみたいになっているのには閉口だけどな」
「フフフ、そうですね」
ここは他のみんなが泳いでいる海岸近くの岩場である。
「でも夜になってもこれだけ水温があるんだもんな、やっぱり沖縄だよ」
「はい、この時間でも泳げるなんて思ってませんでした」
「まだたぶん気温も30度くらいあるんだろうな」
「でもここでは暑いのは普通ですから、それは当然ですが…」
「でも俺たちの地元じゃこんな気温にはなかなかならないもんなあ」
「それもそうですね、さすがにバテそうでしたけど」
「そうなのか?それならちょっと寝転がるか?」
「でも…これほど岩場だと身体が傷が付きそうで…」
「それは大丈夫だ」
「え?」
「傷が付いても俺が引き取ってやるからさ」
「相沢さん…」
「当然だろ?恋人としてそれくらいは」
「返品は許しませんからね」
「お前がそんなに言うなら…」
チュッ
祐一は美汐の唇へと口付けをした。
「受取印だ。これで問題ないだろ?」
「…確かに受け取られました」
「よし、それじゃあほら」
ゴロンっ
祐一は美汐の側の腕を置きながら寝転がった。
「はい…」
ポフっ
そんな美汐はその腕に頭を乗せて寝転がった。
「気持ちいい…です」
「そうか?」
「何だか、心がとても温かくなっていく気がします…」
「そうか。俺も…そうなのかもしれないな」
ピトッ
美汐はその身体を祐一へと密着させた。
「お、おい天野!?」
「くっついてもいいじゃないですか、二人しか居ないんですから」
「ま、まあな…まあいいか」
と、そこに…
「あらあらただでさえ暑いのに、熱いわねお二人さん」
「本当だな…ったく、見せ付けてくれちゃってなあ」
もう一組のカップルである香里と潤がやって来た。
「香里!?それに北川!?」
「お前らが来ないからみんな暇してるんだぞ…ったく」
「そうよ、ねえ北川くん」
「ああ、ちょっとみんなが怖いから逃げてきたくらいだからな」
「…そいつは悪いことしたな」
「そうですね、どうしますか?相沢さん」
「そうだな、そろそろ俺たちももう一泳ぎしに行くか?」
「はい、みなさんに恨まれる前に行った方が良さそうですね」
「ん、分かった。俺たち先に行ってるから、すぐに来いよ」
「分かってるって、すぐに行くから」
「それじゃ行きましょ、北川くん」
どうやらこの二人の仲も満更ではないようである。
「ま、もう少しゆっくりしてから行こうな」
「相沢さんも悪い人ですね」
「そんな人を好きになったのはどこの誰だ?」
「ここの私…です、もちろん」
「だったらもう少しだけ…いいだろ?」
「はい…相沢さんの望むままで…」
「何だ、天野も悪い奴だな」
「相沢さんほどではありません、たぶんですが」
「この小悪魔め」
「フフフ、それでもいいです。相沢さんにだけ憑く小悪魔ですから」
「こんな可愛い小悪魔に憑いてもらえるなら、まあ幸せか」
「相沢さん…」
「よし、そろそろもう一度泳ぎに行くか?」
「そうですね、皆さんを待たせてますし」
祐一と美汐は起きて、みんなの居る海へと向かい始めた…
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あとがき
観飛です。
ようやく美汐SS3本目。相変わらずのバカップルです(苦笑)
あと1本でジャンル独立、何とかして頑張ろうかなと。
次のkeyは晴子さんにでもしようかなー、早苗さんもありかなー。
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2008・07・04FRI
観飛都古
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