Gift of May(皐月の贈り物)

ここはゴールデンウィーク真っ只中の美汐の家…
ずずずずず…
縁側で美汐の出したお茶を啜っている祐一。
「相沢さん、少し下品です」
「いいじゃないか、お茶は啜るものだろ?」
「そうですが…」
「だいたい、こんなゴールデンウィークの真っ只中に縁側で過ごしている高校生なんているか?」
「ここにいるではないですか」
「いや、一般的にだな」
「それは…」
「でもな…」
ぎゅっ
「キャッ!」
横にいた美汐の肩を引き寄せる祐一。
「悪いとは思ってないけどさ」
「もう…でも、今日はどうしましょうか」
「そうだな…まあそれはまずこの柏餅を食べてから考えるか」
「そうですね、それからでも遅くありませんから」
「あむっ…美味いな、これは天野の手作りか?」
「そうです。はむっ…昨日母と一緒に拵えました」
「なかなか甘さ控えめで食べやすいな」
「はい…今回は甘さを抑えてみました」
「しかもこれが、この渋いお茶に合うときたもんだ」
「ありがとうございます、相沢さんの口に合えて嬉しいです」
「よし、んぐっ…天野はあとどれくらいで食べ終わりそうだ?」
「あと3口くらいですから、もう少し…」
「分かった、まあゆっくり食べててくれな」
 
ずずず…
「さて、どうしましょう?」
「そうだな、天野はどこか行きたい場所はあるか?」
「そうですね、相沢さんが行きたい場所ならどこでも」
「うーん、そうだな…あ!そうだ、ちょっと付き合ってもらってもいいか?」
「何でしょう?」
「…………なんだけど、ダメか?」
「なるほど…しかし私が決めても良いのですか?」
「ああ、構わない。ちょうど相談する人も欲しかったんだ」
「それならば、やはりデパートにしますか」
「いや、その前に商店街も見たいな」
「分かりました。では参りましょう」
「ああ」
………
商店街に向かう道を歩く二人。
「もう母の日も近いのですね」
「秋子さんにはお世話になってるしな」
「それで予算はどれくらいですか?」
「っと、これくらいだな」
「分かりました、それなら………はどうでしょう?」
「それで喜んでくれるかな?秋子さん」
「そこまでは分かりません。でもあとは相沢さんの心次第かと思います」
「そうかな、うっし分かった」
「それでサイズとかは分かりますか?」
「ああ、一応調べてはある」
「それならば参りましょう」
………
カランカラン
二人は買い物も終え、百花屋へと入った。
「いらっしゃいませ、2名様ですか?こちらへどうぞ」
案内されたテーブルへと座る二人。
「今日はありがとうな、天野」
「いいえ、こちらこそ私の母へ良い物が選べました」
「ここの支払いはおごるから、何でもいいぞ」
「そんな…悪いです」
「いや、それに行く前に柏餅を食べさせてもらったんだしさ」
「それならば…お言葉に甘えますね」
「ああ、本当に何でもいいからな」
「でも、今日は行く前に甘い物も食べてしまいましたし…」
「そうだな…」
「そういえばさっきから気になっているのですが…」
「ん?あれか?」
「はい…」
「しゃあないな。北川ー、お前らどうしたんだ?」
「んあ?おう、お前らこそお揃いでどうしたんだ?」
「ああ、俺たちは母の日の買い物だけど、お前たちは?」
「私たちは…いいじゃない相沢君」
「ああ、お熱いことお熱いこと」
「相沢さん、茶化さなくてもいいじゃないですか」
「そんなこと言ってもなあ…ま、いいか」
「それにしても相沢君もいいとこあるのね」
「さすがに秋子さんにはお世話になりっぱなしだからな」
「ま、そこがお前の良いところだけどな」
「フフフ…そうですね」
「それじゃ邪魔したな、せっかくのデート中に」
「相沢君!」
「さて、俺たちは俺たちで楽しむとするか」
「そうですね、相沢さん」
「…あなたたち、本当に良いコンビになったわね…」
「そうか?香里」
「天野さんも、こんな相沢君によく付き合ってられるわよね」
「そんな相沢さんが…好きですから」
「本当に…よく手懐けたわね、相沢君も」
「まあまあ、香里もその辺でやめとけよ」
「そうするわ…で、これからどうするの?潤」
「そうだな………」
「あっちはあっちで落ち着いたみたいだな、天野」
「そうですね、それでこれ…一緒に食べましょう」
「お、選んでたのか…で、一緒で良いのか?」
「はい…相沢さんとなら一緒でも…」
「天野がそれで良いって言うならいいけどさ。すいませーん」
二人の姿は呆れるほどにラブラブだったと、祐一は後に香里や北川に聞かされたという…
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あとがき
観飛です。
ようやく美汐SS4本目。相変わらずのバカップルです(苦笑)
やっとジャンル独立…ですね。
しっかし、時期を少し逸しちゃいましたね…反省。
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2009・05・11MON
観飛都古
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