Kohaku and Formula(琥珀さんと化学志貴)

夏の暑さがまだ少し残る、ある秋の日のこと…
CH2COOH
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CH2COOH
化学の宿題をやり始めて最初に書いた化学式がこれだった…
コンコン
「はい、どうぞ」
カチャッ
「志貴さん、失礼しますよー」
「あれ?どうしたの?琥珀さんがここに来るなんて…」
「志貴さん、今お時間はございますか?」
「うーん、あると言えばあるんだけど…」
「あら?もしかして宿題中でしたか?」
「うん、ちょっと苦手なんだよね、これ」
「えっとこれは…フフ、私のことですね」
「え?どうして?」
「あとでお教えします、実物なら地下にありますから」
「あ、もしかして薬とか作るの得意なくらいだから、こういうのも得意なの?」
「はい。あ、そうです。宿題お手伝いしましょうか?」
「いいの?」
「ええ、他ならぬ志貴さんのためですから構いませんよー」
………
「ふー、終わったぁ…」
「終わりましたねー、有機化学で助かりました」
「そうか、薬ってそういうのが多いんだっけ?」
「はいー、でも久し振りに頭を使いました」
「よし、じゃあこれで終わりだな。ところで琥珀さんの用件って何だったの?」
「あ、そうでした。あの、一緒にお出かけしませんか?」
「どこに行くの?」
「志貴さん、ここは何も言わないで黙ってついて来て下さいな」
「???まあいいけど…」
………
15分後、琥珀の着替えが終わってお屋敷を出た二人。
「やっぱり服が変わるとイメージが変わるね」
「わたしがですか?」
「うん、いつもより可愛いよ。和服の琥珀さんもいいけど、洋服の琥珀さんもね」
「むー、それじゃあいつもは可愛くないというんですね?」
「ううん、いつも可愛いって琥珀さんは」
「もうっ、そんなこと公衆の面前で言うなんて恥ずかしくないんですか?」
ちょっと顔を紅くしてしまう琥珀。
「え?まあ少し恥ずかしいかな、でも事実を言ったまでだし」
「そうですかー(志貴さんのこういうところに、みんな惹かれちゃうんですね…)」
「ところでどこに向かっているの?俺たちって」
「え?あ、そーでした。ちょっと必要なものがありましてそちらへ…」
「欲しい物って…秋葉とか翡翠とかと一緒じゃだめだったの?」
「はいー、ちょっと今回の買い物は特に秋葉さまには見せられませんから」
「もしかして…怪しい薬とかじゃ…ないよね?」
「どきっ…ち・ちょっとだけですよー、ほとんどは直接お屋敷に届くようにしてますから」
「ちょっとって…まあいいか。ってことはメインの買い物は別のなの?」
「実は…………なので、秋葉さまや翡翠ちゃんはちょっと…」
「そういうことか…」
「はい、志貴さんなら一緒に出てもいいかなって思ったんです」
「まあいいや、俺もちょうどそろそろ買おうと思ってたところだし」
「それはちょうど良かったです、それじゃあそこに行く前にちょっと寄り道しましょ」
「あ、うん…って何だか怪しい裏通りな気がするんだけど…」
「そんな、まあついてきて下さい。ここの薬品は純度が高くて安いんです。屋敷にいつもは届かない薬も扱ってくれてますし」
「…まあ琥珀さんを信用しておこう、ここは」
「すいませーん。いつものアレ、無くなったんでお願いできますか?」
「あら、いらっしゃい琥珀さん。お届けは明日でいいのかい?」
「そーですね…月曜日にお願いします」
「OK、いつものセットでいいんだね?」
「あ、塩化金酸だけ無しで。代わりに安息香酸を一瓶お願いできます?」
「んー、最後の一瓶だけど何とかするわ」
「あ、あと今あります?C4H6O4って」
「ハハ、こいつのことかな?琥珀さん」
「そうですそうです。志貴さーん、さっき言ってたのちょっとお見せします」
「へえ、これがさっき言ってたやつか…で、何でこれが琥珀さんなの?」
「フフフ、志貴さんちゃんと答え言ってるじゃないですか」
「へ?」
志貴はそのラベルを見て納得した。
「そういうことか…やられたよ」
「そういえば琥珀さん、誰なんだい?そこの彼は」
「あ、はいー。私の主人の兄の志貴さんです」
「あー、いつも言ってる彼か。大変だな、君もこんなのを彼女に持つなんて」
「そんな風に言うこと無いじゃないですかー、ねー志貴さん」
チュッ
琥珀は軽く志貴に口付けした。
「えっ!?」
「こんな所で見せ付けてくれるじゃない、アンタも」
「信用してもらうにはこれが一番ですから。あ、これお返ししますね」
「何だ買わないのかい?まあいいけどさ。じゃあ月曜日に届けるな」
「はいー、お待ちしております。お金はお屋敷の方で払いますから」
………
「ところで志貴さんは何を買う予定なんですか?」
「どんなのがいいのかな?あんまり分からないんだよな」
「志貴さんが買ったものなら、どんな物でも喜ぶと思いますよ」
「そうかな、それならいっそのこと化粧品関係にしようかな」
「それは良い案ですねー」
「でも良く分からないからさ、琥珀さん選んでくれるかな?」
「はい、おまかせくださいっ」
「それじゃあどっちを先に行く?」
「先に志貴さんのほうにしましょう、確か一階でしたから」
二人は店内を奥へと歩みを進めていった…
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あとがき
今回初となったゲーム系SS、まずは慣らし運転の「月姫SS」です。
まあいつも書いてますけど、クロスオーバーの方で。
こちらも題材としてはいっぱいあるので、けっこう書けそうです。
こっちのHNは…「観飛都古」でいこうと思います。
ではでは、これからもよろしくお願いします。
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2006・01・27FRI
観飛都古
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