#064〜洗濯物日和〜

麗らかな春の休日のこと…
「真紀子さーん、多汰美さーん、洗濯物はありますかー?」
「おお、八重ちゃん。せやったらこれ頼めるか?」
「あ、これってこの前買ったのですよね?」
「せや、一回洗ってから着よ思うてな」
「分かりました。多汰美さんは何かありますか?」
「あ、だったら八重ちゃん。これ頼めるかな?」
「ジャージの上下ですね、分かりました」
「んー、最近は運動するにもいい季節じゃから、汗かいてたけんね」
「う…初老ボディな私にはきつい言葉です…」
「それなら八重ちゃんも運動するけ?」
「確かにしたいところですが…膝がこうでは…」
「あー、八重ちゃんそうやったな。サポーター無いんときついんやったっけ」
「そうなんです…あ、あとシーツも出してもらえますか?あと、布団は各自で干しちゃってください」
「了解…んー…はいこれ、八重ちゃん」
「了解や。ほいっと、八重ちゃん」
「ありがとうございます、それじゃあ洗ってきますねー」
タタタタタ
八重は洗濯物を持ってへ洗濯場へと向かっていった。
「はー、せやけどええ天気やなあ多汰美」
「確かにいい天気じゃなあ」
………
「ふんふふ〜ん♪ふんふんふ〜ん♪」
鼻歌交じりに洗濯機に洗濯物を入れていく八重。
「あ、お母さんの洗濯物は…」
「あら八重、洗濯中かしら?」
「お母さん、まだ回してないから大丈夫。お母さんは洗濯物ある?」
「んー、そうね…これとこれ、あとこれもお願いね」
「お母さん…」
八重の手には今渡された…
「お母さん、もうちょっと歳を考えてってば」
「あら八重、心は若々しい方がいいでしょ?」
「でもこれは…」
「あら、洗ってくれないのかしら?」
「ううん、分かったけど…」
「あら、シーツも洗うのかしら?」
「うん、今日はいい天気だもん」
「私の部屋のは…もうあるのね」
「さっきお母さんが居ないときに入って取ってきたから」
「ありがとう八重、お願いするわね」
「うん」
「あ、そうそう。今日は知り合いの所に行ってくるわ」
「晩ご飯はいるの?」
「夜には帰ってくるけど、遅くなるからいらないわ」
「分かった、それじゃあ行ってらっしゃい、お母さん」
「行ってくるわね、八重」
………
「さて、干そうっと」
洗濯物が山積みの洗濯籠を抱えて物干し台へと向かう八重。
「んーっ!と…届かないなあ…むーっ!」
背伸びを一杯してシーツを干そうとしている八重。
「七瀬、貸して。私がやるわよ」
「あ、ありがとうにわちゃん…え?にわちゃんっ!?」
「あによ、どうしたの?」
「ど、どうしてにわちゃんがっ!?」
「七瀬に会いに来た…じゃダメ?」
「う、ううん」
「だって、休日に一人だと淋しいから」
「あれ?和弥さんは?」
「母さんは会社の人の結婚式だって、父さんも一緒」
「そっか、今日は…」
「うん、いいかな?」
「もちろん、お母さんも構わないって言ってくれると思うし」
「あ、次はこのシーツ干せばいいの?」
「うん、にわちゃんシーツ全部お願いできる?」
「分かった…って何でこんなにシーツがあるのよ」
「だって、折角の洗濯日和だからまとめて洗わないと勿体無くて」
「そっか、てことはこれはおばさんと七瀬と青野と由崎のか」
「うん。でもありがとうにわちゃん、私だけだとシーツも干せないから」
「いいのよ七瀬」
ぎゅうっ
景子は八重の身体を真正面から思い切り抱きしめた
「に、にわちゃんっ!?」
「七瀬はこの大きさでいいの、七瀬は…」
「え、えっと…」
「うわ、この暑いんに何やっとんねんにわ」
「八重ちゃん洗濯終わったけ?」
「青野に由崎、居たの?」
「居るも何も今日はまだ家出てへんからな」
「そうじゃけんね、今日は出かけようと思ってたんじゃけど」
「七瀬は今日時間あるの?」
「私ですか?大丈夫ですけど」
「んー、ちょっと一緒に買い物行きたいなって思ったんだけど」
「それなら多汰美さん達と一緒で…」
「ううん、七瀬と二人っきりで…ね」
「何やにわ、私らと一緒やと拙いことでもあるんか?」
「まあまあ、まきちー、私らは私らで行けばいいじゃろ」
「ちょ、ちょっと多汰美。ま、ええか」
「それじゃあにわちゃん、これ干したら行きましょうか」
「そうね、そうしよっか」
4人の少女の休日はまだ始まったばかりである…
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あとがき
「100のお題」、7本目はトリコロから出しました。
以前このタイトルの作品があった?それも2年前?あれは無かったことにしてください。
まったく…講○社があんなことしなきゃ…
もし解除されたら一部SS再び戻しますから。
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2008・05・06HOL/TUE
観飛都古
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