#041〜デリカテッセン〜

ここはとある駅…
「参ったな、急に降ってくるなんて…」
ご主人さまは急に降ってきた雨に、駅で足止めを食らっていた。
「しょうがないな、ここは家に電話掛けて誰か来てもらうしかないな」
と、携帯電話を取りだしたその時…
「あー!ご主人さまなのー!」
「くるみっ!?」
目線の先に傘を差してどこかに向かおうとしていたくるみがいた。
トトトトト
そのままご主人さまの許へと向かうくるみ。
「ご主人さま、おつかれさまなの」
「どうしたんだい?くるみ。こっちの方に用事でもあったの?」
「そうなの、らんちゃんにお使いを頼まれたの」
「それで何を買って来いって?」
「えっと…このメモに書いてある物なの」
「…なるほどね、この材料ってことは今日の夕食はスパゲッティかな?」
「どうして分かったの?」
「材料を見れば分かるよ、それでこれから商店街に行くんだね?」
「そうなの」
「僕も一緒でいい?」
「はいなの!ご主人さまなら大歓迎なの!」
「ありがとう、くるみ」
「え?どうしてお礼なの?」
「実はさ、傘持ってきてなくってさ」
「あ…本当なの」
「だからさ、傘も一緒になるけど…いいかな?」
「くるみは別に構わないの」
「よし、じゃあ行こうか」
「うん」
………
「お、くるみちゃんこんばんは」
「八百屋さん、どうもこんばんはなの」
「今日は兄ちゃんと一緒におつかいかい?」
「はいなの、さっき偶然駅で会ったの」
「で、今日は何を買いに来たん?」
「えっと…キャベツが3玉と、シメジ4つと舞茸4つお願いなの」
「おうよ、今用意するから待っとってな」
 
「まいどありー、また来てなー!」
「はいなのー!」
「何だか悪い気がするなあ…こんなサービスしてもらうだなんて」
ご主人さまとくるみが持った袋には、明らかに買った物以外の物まで入っていた。
「八百屋さん、くるみが行くといっつもサービスしてくれるの」
「そうなんだ、ありがたいなあ本当に」
「次はあのスーパーなの」
「ん?何かスーパーで買うような物あったっけ?」
「ご主人さま、さすがにこれはスーパーじゃないと無いの」
と、メモの一部を指すくるみ。
「ああ、それかあ。確かにスーパーじゃないと売ってないか」
「ご主人さま、早く行くのー」
二人はスーパーへと向かって行った。
………
「最後はお肉屋さんなの」
「うん…ってあれ?家にベーコンって無かったっけ?」
「ううん、ご主人さまは今日の朝使ったの憶えてないの?」
「今日の朝…ああ、そうか。今日の朝ご飯は焼いたベーコンだったっけ」
「そうなの、だからベーコンと明日の朝のおかずの分も買いに行くの」
「なるほどね」
そしてお肉屋さんにて…
「おう、くるみちゃん」
「お肉屋さん、こんばんはなのー」
「今日は何をお使いだい?」
「えーっと、鶏の手羽先とベーコンを500ずつなの」
「両方とも500でいいんだね?」
「はいなの」
「そんなに荷物なのに、持って帰れるん…って兄ちゃんと一緒かい」
「そうなの」
「ようし500ずつな、今包むから待ってな」
………
「ほい、これがお釣りな。あと、これ二人で食ってくれや」
別に何やら入った紙袋が渡された二人。
「ありがとうなのー」
「ありがとうございます」
「まいどー」
「ご主人さま、中身は何なの?」
「何だろ…あっ」
と、ご主人さまが中を見ると…
「あーっ、コロッケなの!」
「うーん、二つしかないし…食べながら帰ろっか」
「いいの?ご主人さま」
「おまけに貰ったものだしさ、お使いのご褒美だよ」
「それなら食べるの!」
夕方の帰り道、仲良くコロッケを食べながら家への道を行く二人だった…
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あとがき
しばらく「100のお題」を連続で行こうかなと思います。
12本目は久々のP.E.T.S.から。
さて題材ですがお惣菜と言うと、最初に頭に浮かんだのが「コロッケ」でした。
本当はもう少しお惣菜を出すつもりだったんですけどね。
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2009・07・12SUN
飛神宮子
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